中共が踏んだアフリカの地雷…ダルフールで非難加速
パリで大規模な国際会合が開かれた。ダルフール問題には、有名ミュージシャンも加勢して非難が集中。虐殺支援国・中共への風圧は更に高まっている。
「沈黙は死をもたらす」
6月25日、パリ・エリゼ宮で開かれたダルフール紛争国際会議で、仏のサルコジ大統領は、問題解決に向けて強い意思を示した。さらに、こう宣言する。
「(ダルフールの)状況を無視することは、紛争に加担するに等しい。決断の不在、対応の欠如は受け入れられないことだとわれわれは知っている」
▽ダルフール国際会議(AFP)
ダルフール問題に関する大規模国際会議は、先のハイリゲンダム・サミットで大枠が決まり、今回開催の運びとなった。フランスの肝いりである。
エリゼ宮には、米国のライス国務長官を始め、約20ヵ国の外相及び高官が参加。我が国からは岩屋毅外務副大臣が出席した。議長は、ダルフール強硬派の仏クシュネル外相だ。
▽出席した岩屋毅外務副大臣(ロイター)
ダルフール大虐殺での軍事面・資金面で支える中共は、外相を派遣せず、高官(副大臣格)をパリに送ってお茶を濁したようだ。また会議には国連事務総長の潘基文も姿を見せた。
潘基文は「ダルフール紛争は気候変動が原因だ」との論文を6月16日付けの米国紙に発表し、世界から失笑されたばかりだった。
▽パリ会議での潘基文・左端(AFP)
パリ・ダルフール会議は、虐殺を続けるスーダン政府と、反政府勢力を和平のテーブルに付かせることを目標としている。解決には国際社会、そして主要国の後押しが必要だ。
ダルフール問題をめぐっては、6月中旬に大きな動きがあった。
【スーダンPKO2週間で暗雲】
6月17日、スーダンのバシル大統領は、首都ハルツームを訪れたUN代表団に対し、平和維持部隊の受け入れを確約した。部隊はUNとAU(アフリカ連合)の合同で、規模は2万3,000人と発表された。
しかし、口約束だけ事態は何ら進展していない。
パリ・ダルフール会議には、スーダン政府高官も姿を見せないばかりか、推進役となるAUも代表派遣を見送った。問題解決に向けた具体的な一歩を築くことが出来なかったのだ。
▽訓練するAU部隊(AFP)
やや焦りがあったのか、サルコジ大統領の発言は、脅し口調で猛々しいものだった。
「スーダンは協力すれば、われわれから多大な支援が得られ、拒否すれば我々が断固たる態度を取るであろうことを知るべきだ」
強硬手段の示唆だ。一方でそれは、スーダンへの武器輸出を続け、虐殺政権を支援する中共にインパクトを与える言葉でもある。
▽仏クシュネル外相とライス長官(AFP)
「ダルフール争における責任を、国際社会は真に果たしてきたと思わない」
米国のライス長官も前日のサルコジ大統領との会談で、そう語り、20万人の犠牲者と200万人超の難民を生んだことに国際社会が無力であったことを反省し、決意を示した。
しかし、一方で100万人を軽く超す餓死者を出した金正日を対話の相手にするのであれば、説得力ゼロだ。ライスの対ダルフール姿勢を決定付けているのは、米国で盛上がる「セーブ・ダルフール」の動きである。
【非難決議に逆ギレする中共】
米国下院は、ダルフール問題に関する強烈な決議を本会議で採択した。6月5日のことだ。それはスーダン政府を直接非難するものではなく、バックにいる中共を牽制する内容だった。
「ダルフールでの大量虐殺をやめさせるように影響力を行使することを中国政府に求める」
賛成票410、反対票0…採択された決議のポイントは、7000万ドル相当を超す武器支援や、100億ドルに達するスーダンへの投資額など具体的な数字を挙げ、中共を公式に非難している点だ。
▽中共製武器を操るスーダン兵(AFP)
更に、提案者のジョン・タナー議員(民主党)は、同決議案審議の際に、こう述べていた。
「このままだと北京五輪はジェノサイド五輪となる」
だが、この決議案に対して中共当局は「粗暴な内政干渉だ」と反発し、軽く一蹴している。見習う必要はないが、ホンダ決議案に対するリアクションとしては参考になるだろう。
しかも、ホンダ決議案は、捏造に基づく60年前の創作話であり、一方のダルフール問題は、現在も続く悲劇だ。比較することすら出来ないレベルの違いである。
▽中共兵器で破壊された村(CBS)
ヨーロッパ及び米国で熱を帯びるダルフール問題だが、相変わらず我が国では“無風状態”が続いている。朝日新聞もパリ会議を報じたが、逆に沈静化を狙った記事だった…
【朝日もダルフールで火消しに躍起】
6月25日のパリ・ダルフール会議に関して中共プロパガンダ紙の『朝日新聞』は逸早く報じた。実に意外である。しかし、よく読んでみると、ダルフール紛争に懐疑的な論調でまとめている。
ただ、現地で活動する国際救援団体「国境なき医師団」スーダン問題副担当のガブリエル・トルジヨ氏(36)は「現地の状況は改善に向かっており、西欧諸国の介入はかえって混乱を招く。現地の援助担当者が軍と同一視されて攻撃されかねない」と仏政府の方針変更に懸念を表明した。(朝日新聞6月25日)
さすがダルフールで虐殺する側に立つ非道新聞だ。どうしても国際的な介入を避けたいようである。
基本的な知識だが、今回のパリ・ダルフール会議を主導したのは「国境なき医師団」創始者の仏クシュネル外相である。その時点で整合性が付かなくなっている…
▽議長を務めたクシュネル仏外相(AP)
「国境なき医師団」は、国際合同部隊の派遣はスーダン政府軍との武力衝突に必ず発展するというリアルな視点で捉えている。その際には現在続いている人道活動もストップする事態になると懸念しているのだ。
国境なき医師団のトルヒーヨ医師は、4月のインタビューで、朝日新聞に掲載された発言と同じ主旨のコメントをしているが、続きがある。
「現在は飢餓も感染症も大きな問題にはなっていません。しかし、治安については非常に心配です。皮肉にも、昨年5月に和平協定が調印されて以来、戦闘が再開しています」
参照:『国境なき医師団』ニュース4月23日
▽ダルフール難民キャンプ2月(AFP)
改善に向かっているのは飢餓と感染症で、治安に関してはレッドゾーンに入ったままである。更に『国境なき医師団』は、隣国チャドに被害が拡大していることを強く警告している。
この問題は、人権派を自称してきたサヨクの欺瞞体質がハッキリ分かるケースだ。
【ダルフールも米国の陰謀だと…】
未だに、わが国の左派言論人や反日メディアがダルフール問題を直視せず、発言を控えている。中には米国内のダルフール非難は、イラク問題から煙に巻く陰謀だと言いたい向きもあるようだ。
「アメリカの陰謀」…難解なテーマは陰謀論に持ち込めばOKという安易な思考ルーチンである。
米国ではこの春先から一気にダルフール問題への注目度があがり、非難キャンペーンが加速している。その背後には何があったのか?
▽米で行なわれたダルフール救済デモ
宮崎正弘氏は5月末のリポートで、最もラディカルな米国のダルフール関係団体「SAVE DARFUR」は、米国の主要な宗教団体が結集したものだと明かしている。
そこに加わっているのは、ユダヤ系組織やイスラム教会、更に米国で圧倒数を誇るエバンジェリカル(福音伝導派)など錚々たる組織だそうだ。
彼らが結集した背景にあるのは「ジェノサイドを見逃したことへの反省」である。ダルフール大虐殺が最も酷かった時期は2003年春から2004年にかけてだった。
▽炎上するダルフール地方の村
ちょうどその頃、米国の関心はイラク戦争に集中し、米メディアはアフリカ中央部で起きている悲劇に目を向けなかったのだ。見逃していたのである。
現在の関心の高さは、その反省であり“リバウンド”の様相が濃い。知識人を中心に「深く自戒している」というのが真相のようだ。
【ハリウッドが声を上げ始めた】
今月12日、米国でダルフール救済を訴えるCDが発売された。ジョン・レノンの楽曲をU2など有名バンドがアレンジしたトリビュート・アルバム『Instant Karma』。
そこにはアムネスティのキャンペーンの一環として多数のミュージシャンが参加している。日本では6月27日に『MAKE SOME NOISE』というタイトルで発売される。
▽日本盤CDジャケット
タイトルは「声をあげよう」という意味で、アムネスティによるキャンペーンのキャッチフレーズでもある。発売元ワーナーの公式HPを見ると、ダルフール問題の基礎知識まで解説されている。
参照:『MAKE SOME NOISE』公式ページ
これまで反日メディアが無視し続けているニュースの解説が、CDブックレットには掲載されている…本末転倒の異常事態である。米国でダルフール問題の先頭に立っているのは意外にも音楽家や俳優陣だ。
▽カンヌに現れた『オーシャンズ13』俳優陣
8月日本公開の映画『オーシャンズ13』もキャンペーンを推進し、カンヌでも出演者がダルフール救済を呼びかけた。プロデューサーは5月の時点で900万ドルの義援金を掻き集め、話題になった。
ちなみに北京五輪芸術顧問であることから非難の的となったスピルバーグ監督は、反省して100万ドルを提供したという。
これらが単にスーダン政府非難を行なっているのであれば、中共も冷や汗を流す程度で済むだろう。しかし、状況は北京にとって最悪だ。
【IOC会長の異例のコメント】
米国のダルフール救済キャンペーンの特徴は、下院本会議決議に見られるよう中共非難に直結。さらに北京五輪への異議を挟み込んでいることだ。
急先鋒の団体『SAVE DARFUR』は、中共とスーダンの繋がりを強調し「致命的な連携」と表現。ストレートに問題を中共にリンケージさせているのだ。北京は充分に警戒し始めているだろう。
▽『SAVE DARFUR』HPより
参照:『SAVE DARFUR』HP
ハリウッド関係者の中でダルフール救済の先頭に立ち、「ジェノサイド五輪」の名付け親でもある女優のミア・ファローは、新たに北京を悩ませるキャンペーンを計画中だ。
北京五輪開催予定日のちょうど1年前にあたる8月8日から反虐殺を訴える聖火リレーを行ない、アフリカ・欧州・アジアを巡らせるという。更に、9月の国連総会にあわせて米国内でも聖火を走らせる。
そのゴールは米国の中共大使館だ。
▽先頭に立つミア・ファロー
ただし五輪ボイコットは直接呼びかけないという。北京五輪開催を支持している訳ではなく、五輪を逆手にとって追い込む戦術だ。虐殺五輪の開催をキャンペーンの頂点に持って行く計算だろう。
6月23日、IOCのロゲ会長は独メディアに対し「ボイコット運動は間違った行為だ」と発言した。五輪のドンとしては当たり前だ。だがそれは、敢えてロゲ会長がコメントするまで逆風が高まっていることを示す。
異例の発言と言って良い。
▽『SAVE DARFUR』制作のポスター
宮崎正弘氏は「反日キャンペーン」なんぞ何処かへ吹き飛ばす、大々的な「反中国キャンペーン」が世界的規模で始まった…と指摘しているが、その動きをロゲ会長の発言が裏打ちしている。
一旦は中共寄りにシフトしたハリウッドも、再び数年前の反中共姿勢に戻る可能性すら出てきているのではないか?
▽バシル大統領と胡錦濤(AFP)
国際社会が「スーダン=中共」に向ける眼差しは、日増しに厳しくなっている。中共は思わぬ所、遠いアフリカで“地雷”を踏んでしまった。それは既に炸裂し、世界各地で延焼…自業自得である。
どこまで中共が耐えられるのか…北京五輪の開催予定日まであと1年1ヵ月だ。
〆
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参考記事:
AFPBB6月25日『パリでダルフール紛争国際会議「断固とした態度を」とサルコジ大統領』
朝日新聞6月25に値『仏、積極介入へ方針転換ダルフール問題で外相級会合』
AFPBB6月18日 スーダン大統領、国連・AU部隊「無条件」受け入れを確約
産経新聞6月14日『米女優、“聖火リレー”で中国に抗議』
イザ6月7日『米下院 ダルフール問題で中国抗議決議』
参照:
宮崎正弘の国際ニュース・早読み5月31日
救え!!ダルフール難民
「沈黙は死をもたらす」
6月25日、パリ・エリゼ宮で開かれたダルフール紛争国際会議で、仏のサルコジ大統領は、問題解決に向けて強い意思を示した。さらに、こう宣言する。
「(ダルフールの)状況を無視することは、紛争に加担するに等しい。決断の不在、対応の欠如は受け入れられないことだとわれわれは知っている」
▽ダルフール国際会議(AFP)
ダルフール問題に関する大規模国際会議は、先のハイリゲンダム・サミットで大枠が決まり、今回開催の運びとなった。フランスの肝いりである。
エリゼ宮には、米国のライス国務長官を始め、約20ヵ国の外相及び高官が参加。我が国からは岩屋毅外務副大臣が出席した。議長は、ダルフール強硬派の仏クシュネル外相だ。
▽出席した岩屋毅外務副大臣(ロイター)
ダルフール大虐殺での軍事面・資金面で支える中共は、外相を派遣せず、高官(副大臣格)をパリに送ってお茶を濁したようだ。また会議には国連事務総長の潘基文も姿を見せた。
潘基文は「ダルフール紛争は気候変動が原因だ」との論文を6月16日付けの米国紙に発表し、世界から失笑されたばかりだった。
▽パリ会議での潘基文・左端(AFP)
パリ・ダルフール会議は、虐殺を続けるスーダン政府と、反政府勢力を和平のテーブルに付かせることを目標としている。解決には国際社会、そして主要国の後押しが必要だ。
ダルフール問題をめぐっては、6月中旬に大きな動きがあった。
【スーダンPKO2週間で暗雲】
6月17日、スーダンのバシル大統領は、首都ハルツームを訪れたUN代表団に対し、平和維持部隊の受け入れを確約した。部隊はUNとAU(アフリカ連合)の合同で、規模は2万3,000人と発表された。
しかし、口約束だけ事態は何ら進展していない。
パリ・ダルフール会議には、スーダン政府高官も姿を見せないばかりか、推進役となるAUも代表派遣を見送った。問題解決に向けた具体的な一歩を築くことが出来なかったのだ。
▽訓練するAU部隊(AFP)
やや焦りがあったのか、サルコジ大統領の発言は、脅し口調で猛々しいものだった。
「スーダンは協力すれば、われわれから多大な支援が得られ、拒否すれば我々が断固たる態度を取るであろうことを知るべきだ」
強硬手段の示唆だ。一方でそれは、スーダンへの武器輸出を続け、虐殺政権を支援する中共にインパクトを与える言葉でもある。
▽仏クシュネル外相とライス長官(AFP)
「ダルフール争における責任を、国際社会は真に果たしてきたと思わない」
米国のライス長官も前日のサルコジ大統領との会談で、そう語り、20万人の犠牲者と200万人超の難民を生んだことに国際社会が無力であったことを反省し、決意を示した。
しかし、一方で100万人を軽く超す餓死者を出した金正日を対話の相手にするのであれば、説得力ゼロだ。ライスの対ダルフール姿勢を決定付けているのは、米国で盛上がる「セーブ・ダルフール」の動きである。
【非難決議に逆ギレする中共】
米国下院は、ダルフール問題に関する強烈な決議を本会議で採択した。6月5日のことだ。それはスーダン政府を直接非難するものではなく、バックにいる中共を牽制する内容だった。
「ダルフールでの大量虐殺をやめさせるように影響力を行使することを中国政府に求める」
賛成票410、反対票0…採択された決議のポイントは、7000万ドル相当を超す武器支援や、100億ドルに達するスーダンへの投資額など具体的な数字を挙げ、中共を公式に非難している点だ。
▽中共製武器を操るスーダン兵(AFP)
更に、提案者のジョン・タナー議員(民主党)は、同決議案審議の際に、こう述べていた。
「このままだと北京五輪はジェノサイド五輪となる」
だが、この決議案に対して中共当局は「粗暴な内政干渉だ」と反発し、軽く一蹴している。見習う必要はないが、ホンダ決議案に対するリアクションとしては参考になるだろう。
しかも、ホンダ決議案は、捏造に基づく60年前の創作話であり、一方のダルフール問題は、現在も続く悲劇だ。比較することすら出来ないレベルの違いである。
▽中共兵器で破壊された村(CBS)
ヨーロッパ及び米国で熱を帯びるダルフール問題だが、相変わらず我が国では“無風状態”が続いている。朝日新聞もパリ会議を報じたが、逆に沈静化を狙った記事だった…
【朝日もダルフールで火消しに躍起】
6月25日のパリ・ダルフール会議に関して中共プロパガンダ紙の『朝日新聞』は逸早く報じた。実に意外である。しかし、よく読んでみると、ダルフール紛争に懐疑的な論調でまとめている。
ただ、現地で活動する国際救援団体「国境なき医師団」スーダン問題副担当のガブリエル・トルジヨ氏(36)は「現地の状況は改善に向かっており、西欧諸国の介入はかえって混乱を招く。現地の援助担当者が軍と同一視されて攻撃されかねない」と仏政府の方針変更に懸念を表明した。(朝日新聞6月25日)
さすがダルフールで虐殺する側に立つ非道新聞だ。どうしても国際的な介入を避けたいようである。
基本的な知識だが、今回のパリ・ダルフール会議を主導したのは「国境なき医師団」創始者の仏クシュネル外相である。その時点で整合性が付かなくなっている…
▽議長を務めたクシュネル仏外相(AP)
「国境なき医師団」は、国際合同部隊の派遣はスーダン政府軍との武力衝突に必ず発展するというリアルな視点で捉えている。その際には現在続いている人道活動もストップする事態になると懸念しているのだ。
国境なき医師団のトルヒーヨ医師は、4月のインタビューで、朝日新聞に掲載された発言と同じ主旨のコメントをしているが、続きがある。
「現在は飢餓も感染症も大きな問題にはなっていません。しかし、治安については非常に心配です。皮肉にも、昨年5月に和平協定が調印されて以来、戦闘が再開しています」
参照:『国境なき医師団』ニュース4月23日
▽ダルフール難民キャンプ2月(AFP)
改善に向かっているのは飢餓と感染症で、治安に関してはレッドゾーンに入ったままである。更に『国境なき医師団』は、隣国チャドに被害が拡大していることを強く警告している。
この問題は、人権派を自称してきたサヨクの欺瞞体質がハッキリ分かるケースだ。
【ダルフールも米国の陰謀だと…】
未だに、わが国の左派言論人や反日メディアがダルフール問題を直視せず、発言を控えている。中には米国内のダルフール非難は、イラク問題から煙に巻く陰謀だと言いたい向きもあるようだ。
「アメリカの陰謀」…難解なテーマは陰謀論に持ち込めばOKという安易な思考ルーチンである。
米国ではこの春先から一気にダルフール問題への注目度があがり、非難キャンペーンが加速している。その背後には何があったのか?
▽米で行なわれたダルフール救済デモ
宮崎正弘氏は5月末のリポートで、最もラディカルな米国のダルフール関係団体「SAVE DARFUR」は、米国の主要な宗教団体が結集したものだと明かしている。
そこに加わっているのは、ユダヤ系組織やイスラム教会、更に米国で圧倒数を誇るエバンジェリカル(福音伝導派)など錚々たる組織だそうだ。
彼らが結集した背景にあるのは「ジェノサイドを見逃したことへの反省」である。ダルフール大虐殺が最も酷かった時期は2003年春から2004年にかけてだった。
▽炎上するダルフール地方の村
ちょうどその頃、米国の関心はイラク戦争に集中し、米メディアはアフリカ中央部で起きている悲劇に目を向けなかったのだ。見逃していたのである。
現在の関心の高さは、その反省であり“リバウンド”の様相が濃い。知識人を中心に「深く自戒している」というのが真相のようだ。
【ハリウッドが声を上げ始めた】
今月12日、米国でダルフール救済を訴えるCDが発売された。ジョン・レノンの楽曲をU2など有名バンドがアレンジしたトリビュート・アルバム『Instant Karma』。
そこにはアムネスティのキャンペーンの一環として多数のミュージシャンが参加している。日本では6月27日に『MAKE SOME NOISE』というタイトルで発売される。
▽日本盤CDジャケット
タイトルは「声をあげよう」という意味で、アムネスティによるキャンペーンのキャッチフレーズでもある。発売元ワーナーの公式HPを見ると、ダルフール問題の基礎知識まで解説されている。
参照:『MAKE SOME NOISE』公式ページ
これまで反日メディアが無視し続けているニュースの解説が、CDブックレットには掲載されている…本末転倒の異常事態である。米国でダルフール問題の先頭に立っているのは意外にも音楽家や俳優陣だ。
▽カンヌに現れた『オーシャンズ13』俳優陣
8月日本公開の映画『オーシャンズ13』もキャンペーンを推進し、カンヌでも出演者がダルフール救済を呼びかけた。プロデューサーは5月の時点で900万ドルの義援金を掻き集め、話題になった。
ちなみに北京五輪芸術顧問であることから非難の的となったスピルバーグ監督は、反省して100万ドルを提供したという。
これらが単にスーダン政府非難を行なっているのであれば、中共も冷や汗を流す程度で済むだろう。しかし、状況は北京にとって最悪だ。
【IOC会長の異例のコメント】
米国のダルフール救済キャンペーンの特徴は、下院本会議決議に見られるよう中共非難に直結。さらに北京五輪への異議を挟み込んでいることだ。
急先鋒の団体『SAVE DARFUR』は、中共とスーダンの繋がりを強調し「致命的な連携」と表現。ストレートに問題を中共にリンケージさせているのだ。北京は充分に警戒し始めているだろう。
▽『SAVE DARFUR』HPより
参照:『SAVE DARFUR』HP
ハリウッド関係者の中でダルフール救済の先頭に立ち、「ジェノサイド五輪」の名付け親でもある女優のミア・ファローは、新たに北京を悩ませるキャンペーンを計画中だ。
北京五輪開催予定日のちょうど1年前にあたる8月8日から反虐殺を訴える聖火リレーを行ない、アフリカ・欧州・アジアを巡らせるという。更に、9月の国連総会にあわせて米国内でも聖火を走らせる。
そのゴールは米国の中共大使館だ。
▽先頭に立つミア・ファロー
ただし五輪ボイコットは直接呼びかけないという。北京五輪開催を支持している訳ではなく、五輪を逆手にとって追い込む戦術だ。虐殺五輪の開催をキャンペーンの頂点に持って行く計算だろう。
6月23日、IOCのロゲ会長は独メディアに対し「ボイコット運動は間違った行為だ」と発言した。五輪のドンとしては当たり前だ。だがそれは、敢えてロゲ会長がコメントするまで逆風が高まっていることを示す。
異例の発言と言って良い。
▽『SAVE DARFUR』制作のポスター
宮崎正弘氏は「反日キャンペーン」なんぞ何処かへ吹き飛ばす、大々的な「反中国キャンペーン」が世界的規模で始まった…と指摘しているが、その動きをロゲ会長の発言が裏打ちしている。
一旦は中共寄りにシフトしたハリウッドも、再び数年前の反中共姿勢に戻る可能性すら出てきているのではないか?
▽バシル大統領と胡錦濤(AFP)
国際社会が「スーダン=中共」に向ける眼差しは、日増しに厳しくなっている。中共は思わぬ所、遠いアフリカで“地雷”を踏んでしまった。それは既に炸裂し、世界各地で延焼…自業自得である。
どこまで中共が耐えられるのか…北京五輪の開催予定日まであと1年1ヵ月だ。
〆
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参考記事:
AFPBB6月25日『パリでダルフール紛争国際会議「断固とした態度を」とサルコジ大統領』
朝日新聞6月25に値『仏、積極介入へ方針転換ダルフール問題で外相級会合』
AFPBB6月18日 スーダン大統領、国連・AU部隊「無条件」受け入れを確約
産経新聞6月14日『米女優、“聖火リレー”で中国に抗議』
イザ6月7日『米下院 ダルフール問題で中国抗議決議』
参照:
宮崎正弘の国際ニュース・早読み5月31日
救え!!ダルフール難民
この記事へのコメント
それにしても朝日は相変らずですね。今や「何処の国の新聞か」と云ふ揶揄がすつかり陳腐なものに思へる程、中共の走狗に成り下つてます。部数も広告収入も減つてゐるとの事ですから、いづれ倒産の報に接する事が出来るだらうと密かに楽しみにしてゐます。
Most of Japanese Mass-media support China.
こうした運動が世界的な広がりを見せている中で、日本には「支援する国会議員の会」しかないのでは「バスに乗り遅れる」ことになる。
先日、某議員に「反対する国会議員の会」を立ち上げるよう申し入れしました。
潘基文が「気候変動が原因だ」と言っていたとは知らなかった。さすが半島人のセンス!!
殿岡事務所では、8月5日に大阪で「北京オリンピック反対」と「内モンゴルにおける人権弾圧に抗議する」デモ行進を予定しているそうです。
ウイグル人やチベット人からの投稿もあり、次号で紹介されるとのこと。また、秋にはラビア・カーディル氏(世界ウイグル会議の主席)の来日も実現する見込みとのこと。
殿岡事務所の財政は楽ではないようです。冊子(1部800円・年間5000円)の購読者を増やすことが活動を支えることになります。貴殿からもPRしていただけたら幸いです。
殿岡事務所
http://uygur.fc2web.com/uygur17.html
03-3664-1666
国内のマスコミが最小限にしかダルフール問題を扱っていない事の異常さを感じます。中国への遠慮が 此処まで浸透しているのか?
そう云えば 中国が南京事件60周年で反日捏造映画を何本もつくって対日キャンペーンを張ろうとしている事も、韓国の慰安婦決議支援の動きも 殆ど「 報道 」されてはいません。問題は日本のマスコミの姿勢であり 誰が此処までマスコミを支配し影響を及ぼしているかです。自由にニュースを見る事が出来る「ネット」も一部の人しか見ないもので 関心の無い人にもニュースを識らしめる為には やはり マスコミによる報道が必要でしょう。
このヒロシマ原爆級の数を元に反戦を訴える左翼団体や日教組がダルフールに就いて無関心なのは何故か?
媚中朝日新聞だけでなく、多くの新聞社、マスコミが沈黙を守っているのは何故か?
犠牲者が20万人になる前に、彼等はそれに気付いていた筈である。
その報告が遅れた原因は何処にあるのか?
日本のマスコミの反日分子は、一体どこまで深く巣食っているのか?
彼等はヒューマニストの仮面を被った自己利益誘導最優先団体である。
But many japanese mass-media support such redchina becauseof dirty corruption by redchina.
えっ? ジェラードはPCで「東アジア黙示録」以外は見ないの?
マスコミ関係で働く知り合いを作って見ると良いです。
また、現地を訪れてマスコミの報道と現状がどれだけ違うかを確認してみるべきです。
海外で確認したいのであれば、外国語も勉強しなければなりませんが。
インタビューされてる人間の言っていることと、日本語のテロップがまるで正反対のことなどザラにあります。
ダルフール紛争に関しても、英語のサイトなどを覘いて見るべきでしょう。
この事に限らず日本のメディアでは報道されないことはいっぱいありますよ。特に特定アジア関連のことは。
ネットでは世界の新聞も読むことが出来ます。翻訳も出来ます。
信じられないのであれば自分で調べてみては?
ジェラード君とその同胞は日本のマスコミに働きかけ通名報道廃止を実現させてください。
ところで北京オリンピック開催されるのでしょうか? シナ国内が環境問題、住民暴動、毒野菜、劣悪な労働環境の暴露で混乱を極めています。
今回のサミット報道はかなり矮小化されていました。逆に見ると中共には「痛いサミット」だったように思われます。
>チャチャさま
シナ植民地3ヵ国との連携は視野に置くべきですね。今続くプロパガンダの犠牲者として貴重な情報もふんだんに持っています。
>キラーT細胞さま
ロゲ発言には嫌悪感を抱きましたが、冷静に見ると風圧がある証左です。朝日の報道姿勢はシナ犬である実例を示していますね。
>とおる様
戦略的虐殺関係…イイ感じですね。「致命的な連携」と温和に訳しましたが「暗黒的友誼」であることは事実です。
>何か出来ないかな、我々も様
開催が近付くにつれて環境面での具体的な報道が出てくると思います。選手村の健康被害は確実に出そうですね。
>風来坊さま
おお、ラビアさん遂に来日の可能性ですか。北京が卒倒する程の破壊力があると思います。貴重な情報ありがとうございます。
>CYOITO~困った様
ダルフールに関しては音楽・映画ファンの方が知識潤沢かも知れません。マスコミがいかに偏向した情報を流しているか分かります。
欧州でその様な動きが出てくると想像します。チベット系団体等の主張を補強する現在進行形の問題がダルフールにはあります。
>カッパ子さま
本当に悪夢ですね。実際に五輪推進議連のようなチームがあるのは日本だけではないしょうか。世界の恥さらしです。
>最近の読者さま
「国境なき医師団」HPには日本語版もあるので、一面ですが現状は把握できるんですがねえ…
>アセアンさま
日本では産経等がマメに報道し始めています。反日系各紙は相変わらずベタ扱いですが、海外ではかなり手厚く伝えられていますね。
>台湾さま
特亜の中でも中共では際立った違いもあります。ネット時代で海外との格差が明らかになってきたことも反日紙の痛い所でしょう。
>J.J様
毒問題など最近のシナ絡みの報道には、やはり五輪開催を見越しての批判が底にあるように感じますね。完全に逆風です。
ジェラードって、私にとって本当に参考、否勉強になります。福島みずぽ辻元清美や岡崎トミ子、阿部知子等の糞サヨクが何故、中国の問題をスルーするのか?判る気がします。恐らく関心が無い。所詮福島達は朝鮮人の利益代弁者だからです。ジェラードが(問題の存在を否定と言う形で)興味を示さないのと合致します。朝日新聞は、明らかに中共擁護。必死すぎて気の毒です。ひと思いに楽にしてやりたいです。
>さすがダルフールで虐殺する側に立つ非道新聞だ。どうしても国際的な介入を避けたいようである。 冷笑。
ホント、日本のサヨクたる朝鮮右翼は朝鮮人に関わる事意外は、全く無関心なのだと感じさせます。それにしても、日本共産党吉川春子は、大笑いですね。国会前で、今更朝鮮人従軍慰安婦抗議行動を為して。日本共産党は、誰の味方か?を晒しています。自衛隊を貶めようとした志井和夫といい、参院選終った感じがします。スレ違いスマソ。夜が深けたら又来ます。
ダルフールの件、全く放送されて無い様ですね、NHKは勿論、朝日やTBSがソウなのは解りますが、FTVやNTV迄控えめなのは、シナからの特別な報道規制が懸かっているからだと思います。
でも、被害者は20万人にも上るのですよ、女子供から老人と言った、無抵抗の弱者まで入っているのが明らかなのに、是を大声で非難できないのなら、以後、人権を語る資格はない。
マスコミが報道協定でムリなら、国内で活動中の人権擁護団体はドウした、広島に匹敵する死者を出しているスーダン政府を公に援助しているシナに対して、抗議の声一つも上げられないのなら、そこもシナの影響下にあると言うことか。
シナは、覇権主義の悪夢に酔っているダケだ、そんな偏向した運動など、本当に弾圧されて居る人を救う処か、誰の為にもならない事は火を見るよりも明らかなことだ、寧ろ、害にしかならないから止めてしまえ。
自分達のやっている事を、冷静に振り返って観よ、本当の弱者の為に活動してきたのだろうかと。
ダルフールの件、ほんとに報道されてませんね。国内の人権団体の方々もだんまりですね。
ホワイト・バンド運動の人たちは今こそ立ち上がるべきだと思うんですが、どこに行ってしまったんでしょう。いや、不思議です。
今回の記事で、ダルフールの虐殺により被害が隣国チャドに広がっていることがフランスを始めEU諸国の強硬姿勢に繋がっているのではないかと思います。チャドが混乱すれば周辺のサハラ以南諸国に飛び火なんて時間の問題です。コンゴ・ナイジェリアが再燃すればアフリカ大陸は北と南から破壊と混乱の波で挟み撃ち、という事態を想像してしまいました。最悪でもとにかくスーダン一国に封じ込める、これがアフリカを自己の縄張りと考えるEU諸国の本音ではないでしょうか。
フランスを始め欧州各国の怒りは、sdi氏が↑で指摘して居られる様に、伝統的にアフリカは欧州各国の裏庭であり、中進国と言う認識しかないが、軍拡を続けるシナにそこを荒らされた事への危機感が第一の理由だろう。
そのシナに経済面で掣肘を加え得る立場にあるのは、多額の投資をしている日本であると看るのは順当では無かろうか、しかし、日本は、国際舞台でシナから、南京大虐殺などで政治的な攻撃を受けている事が喧伝されているから、この矛盾した情況を抱えた日本の出方は、オリンピック開催中止後の情況推移への読みに大きく関係すると看るのは当然だろう、勿論、已然として日本の背後に控えている米国の意志が、日本の対シナ姿勢に大きく関わるのは、承知の上だろうが。
外務省の判断だけでは無理な局面だが、温はコノ事態を予測して居て、わざわざ釘を刺しに来たのではなかったか、オリンピック開催の邪魔をするなと。
もし、そうなら、この問題は対応が本当に難しいが、日本は公式声明として、人権問題には一定の良識的な水準で対処する事を示しておけば良いし、オリンピックは選手の参加辞退続出で参加不可能とすればよい。
シナの自滅・自縛は、傲慢さ故であり、誰の所為でもない、唯、適切な時期に、適切な手を打たないと、巻き込まれる可能性が大だと、肝に銘じて貰いたい。
何人かの方がおっしゃるとおり、日本国内の人権団体がダルフール問題に対して、全く言及しないということは、彼らが人権など全く歯牙にかけていない証左でしょうね。
彼らにとっての人権問題というのはご主人様の意向如何によって変わるものだとつくづく思います。
そういえば、昨日政府がチャド、中央アフリカに対しダルフール紛争に伴う難民を救済するために緊急無償資金協力を行うことを閣議決定したそうですね。
外交方針として「自由と繁栄の弧」を掲げている現在では、ダルフールのような問題は「その前提を脅かすものとして厳しいものである」とはっきり明言できる環境ができつつあるということかもしれません。
あと一歩踏み込んで北京五輪ボイコットまで行くことが出来ればいいのですが。
ジョージブッシュⅡがイラク攻撃を計画していた時、フランスはドイツロシアと共に、反対の態度を鮮明にしました。私は当時、フランス全土で繰り広げられた反米(イラク侵攻反対)デモを、羨ましく眺めていました。フランス及びフランス人がとても格好良く見えたのです。それに対し、我が日本は、小泉前総理大臣がいち早く、ブッシュⅡ支持を掲げ、アメリカ合衆国追従の立場を鮮明にしました。但し、小泉前総理大臣の決断と掲げた鮮明な旗印には、冗談抜きで敬意を持ちました。「仕方が無いよね。今の日本じゃ。北朝鮮のノドン怖いし」。小泉前総理大臣に対する敬意とは裏腹に、日本国に対しては無性に情けなく感じたのも事実です。今回も、全く同じです。いち早くダルフール問題を提唱したフランスには尊敬の念を禁じ得ないです。理由の如何を問わず。アメリカ合衆国もそうです。「お前が言うな!」と言う気が強烈にしますが、なぜかアメリカ人は立派に見えます。それに引き換え日本は今、年金の事ばかり。やはりあの時感じた情け無さを感じます。
日本は堂々たる先進国である。にもかかわらず、先進諸国が知恵を出し合ってダルフール虐殺が続くことを、止めさせようとしているのに、その事実をネットでしか知ることが出来ない。
これを日本マスコミの異常事態といわずして何と言うべきか。この異常事態、つまり日本のテレビニュースで流されない、そのことを誇らしげに、自慢している輩が居る。
言論の自由を自ら否定する行為を日本の言論界はしているのだ。
もうネット世代は、言論界が、理不尽な言語空間に自らを置き、妄想をこね回していることを良く知っている。
ネット世代の興味は、日本の言論界が、このような状況になった、経緯・原因に興味がある。
どのような、共産支那や半島からの工作がなされているのかについては、興味深深ではあるものの、ネット世代には、その工作は無効だ。
ご参考までに。
百合子・110ウルマ 裏ファミリー 〇 美しい失楽園のすすめ
イイジマ・不治3軽 裏性界 〇 呆治 日本
北朝鮮・裏工作 I am sorry 〇 予防的先制攻撃
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