骨格を失った6ヵ国協議…金桂冠 謎めいた微笑の暗示
位置付けが曖昧だった今回の6ヵ国協議。「次の段階の措置」は先送りされたが、金桂冠は満面の笑み…米朝交渉がメーンとなる中、4年も続く協議は形骸化が加速している。
「北朝鮮はすべての核計画を申告し、既存の核施設を無能力化するという約束を責任を持って果たすと、改めて述べました」
中共代表の武大偉は閉幕後、そう語って協議に一定の意味があったことを強調した。しかし期間を1日延長した今回の6ヵ国協議は、目新しい成果もなく、煮え切らない話し合いで次回の日程を決めるに留まった。
その中、金桂冠の満面の笑顔がだけが異彩を放っていた。そんなに嬉しいことがあったのだろうか…薄気味悪いスマイルだ。
▽閉幕時の金桂冠(ロイター)
18日から北京で開かれていた6ヵ国協議は7月20日、プレス・コミュニケ(共同報道文)を出して閉幕した。当初は、より重い議長声明が出される手筈だったが、それも実現しなかった。
参照:外務省HP『代表者会合のプレスコミュニケ』
焦点となっていた「次の段階の措置」に関しても手順や履行期限を明示したロードマップは作成されず、これまで報道されている限りでは、顔合わせレベルの中途半端なテーブルだった。
テクニカルな見方だが、今回3日間に及んだ6ヵ国協議は「本会合」ではなかかった。外務省によれば正式名称は「第6回六者会合に関する首席代表者会合」で、これまでにない位置付けだ。
2・13合意が発表された2月の協議は「第5回6ヵ国協議第3次会合」。3月は「第6回6ヵ国協議第1次会合」…そして今回は第6回協議の第2ステージと捉えていたが、実際は違った。
「第6回6ヵ国協議第2次会合」は9月上旬に開くことで合意している。いったい、今回の協議は何だったのか?
▽閉幕時のヒル次官補(ロイター)
メディアもその辺りの事情について詳しく解説していない。当初から重みのある議長声明を出す見通しはなかったのではないか…4年前の夏にスタートした6ヵ国協議は、いよいよ寿命を全うし、形骸化しそうな風向きだ。
【次の段階の措置に早くも暗雲】
「初期段階措置」をめぐる動きは、6ヵ国協議を前に加速度的に進展していた。
▽平壌入りしたIAEA査察官チーム(AP)
IAEA(国際原子力機関)の査察団は7月14日、予定通り平壌に到着。その翌日、北朝鮮外交部は老朽核施設の稼働停止を発表し、15日にはエルバラダイ事務局長が、現地入りした査察団からの停止の報告を受けたとコメント。
「初期段階措置」が恙無く履行されたことで障害はオールクリアー。6ヵ国協議での進展が予想され、焦点は一気に「次の段階の措置」に移っていた。
キーワードである「次の段階の措置」とは何か? その内容は2・13合意に明記されている。
1:北朝鮮による全ての核計画についての完全な申告
2:黒鉛減速炉、再処理施設を含む既存の全ての核施設の無能力化
▽寧辺の核施設内部(AP)
極めて曖昧な表現だった。「全ての核計画」にはHEU(高濃縮ウラン)計画が含まれているのか否か。そして「無能力化」とは具体的に解体なのか凍結・封印止まりなのか…
3日間の協議では特に「無能力化」の規定をめぐって紛糾し、加えてそれに伴う追加エネルギー支援の時期などが噛み合なかったと見られている。
▽19日朝記者団に答えるヒル次官補
「今日が最終日になる」
19日朝、記者団の前に登場したヒル次官補は、自信ありげに見通しを語った。相変わらず楽観的な男だ。しかし、協議は延長、議長声明も出せずに灰色のまま閉幕。発言は一気にトーンダウンした。
「運が良ければ今年中に(次の段階の措置)履行が可能だと今でも思っています。難しいのは間違いないが、出来る限りの事をします」
ヒル次官補は年内の履行を目標に据えていたが、それも今や運次第だそうだ。閉幕後、記者からの質問に対しては少々キレ気味だった。
▽閉幕後に答えるヒル次官補(FNN)
果たして不機嫌なヒルの表情が示す通り、米朝の交渉は不調に終わったのか?
【再び中華テーブルを囲んだ米朝】
今回の北京会合の目玉は、6ヵ国の協議ではなかったようにも見える。協議スタートの前日に行なわれた米朝の直接交渉。それが本命だったのではないか。
各国の代表は17日の時点で北京入りしていた。北朝鮮代表の金桂冠も午前中に高麗航空で現地に到着。直ぐさま向かったのは、米国大使館だった。異例の展開である。
▽北京入りした金桂冠(AP)
6ヵ国協議に絡んで北朝鮮代表が米国大使館に足を踏み入れたのは、これが初めてのケースだ。更に、直接対話は北京市内のレストランに場所を移して続行される。
ベルリン会談を思い起こさせる中華テーブル会談。いわゆるワーキングランチだ。時間にして約1時間半。少し長目の昼食である。ヒル次官補は感想を、こう語る。
「とても美味しい食事だった」
▽レストラン前での記者会見(AP)
ナメた態度だ。
そしてランチ後、今度はヒル次官補を乗せた車が北朝鮮大使館に滑り込む。交渉時間は約1時間40分。一連の会談のテーマは「次の段階の措置」の年内履行だったとしているが、その後の不調ぶりを見ると実に怪しい。
一方の金桂冠は記者団に対して「雑談をした」と話している。こちらもナメた態度だ。コメントと裏腹に、断続的に4時間に渡って行なわれた直接交渉では、突っ込んだ話がなされたと見て良いだろう。
▽レストランを出る金桂冠(朝日新聞)
そこで何が話し合われたかが、今回の最大のポイントだ。
米国務省はまだしも、北朝鮮当局は既に6ヵ国協議を明らかに蔑ろにし始めているように思える。4年前から北朝鮮が一貫して訴えていたのは米国との2国間交渉だった。それが実現した今、他の4ヵ国は余計な存在でしかない。
では、突然行なわれた日朝交渉は、どうだったのか?
【予想外だった日朝交渉の開催】
2日目の19日午後、釣魚台迎賓館で佐々江局長と金桂冠による日朝代表者協議が行なわれた。3月のハノイ日朝作業部会以来、4ヵ月ぶりとなる日朝間の本格的なテーブルだが、対面は僅か1時間余り。
「協議は非常に真剣かつ率直なものだった」
▽日朝会談後の佐々江局長(読売新聞)
会談後、佐々江局長は、そう感想を述べたものの、内容に関する言及は避けた。不気味なのは、日朝双方が今回の会談内容について具体的な詳細を明かさない点で合意したことだ。
今までと雰囲気が異なる会談であった。北朝鮮側が発狂していないのも気になる。前日18日まで日朝交渉は開催が危ぶまれていたが、日本側が申し入れたところ、北が応じたという。ある政府関係者は、こう漏らしている。
「受けると思っていなかったので驚いた」
北朝鮮に限っては、いつも通り不逞な言動を繰り返していた方が逆に安心できる。麻生外相も日朝交渉を好意的に受け止めているが、何か、佐々江局長がボールを投げたように見えて少々嫌な予感がする。
▽記者会見に臨む佐々江局長19日(ロイター)
たった1時間余りの交渉だが、批難の応酬に終始したムードではなさそうだ。日朝作業部会の8月中の開催も確定した。北朝鮮のペースで進んでいる以上、安易な対話には充分に警戒した方が良い。
やる気があるのかないのか、金桂冠は交渉のテーブルで、最近の定型文である「経済制裁への恫喝」を口にしなかった。しかし、やはり一筋縄では行かない国だ。同じ日、別の方角から珍妙な攻撃を仕掛けてきた。
【北朝鮮外交部が放った側面射撃】
日朝交渉が開かれた19日、北朝鮮外交部は『備忘録』の形式で対日非難の談話を発表した。ちなみに『備忘録』は2年前、横田めぐみさんのニセ遺骨事件の際にも出されている。
7月19日付け『備忘録』のタイトルはちょっと長めだった…
『安倍一味の拉致騒動は自滅を招くだけだ』
相変わらず、一国の外交当局が書き上げたとは思えない幼稚な題名である。中身の全貌はまだ和文で公表されていないが、8,000字を超すボリュームで安倍政権や「救う会」などを誹謗中傷しているという。
参照:「北朝鮮外務省の拉致問題備忘録を許さない」-家族会・救う会声明7月20日
一部報道によれば『備忘録』は安倍内閣が拉致事件を“北朝鮮脅威論として悪用”し、総連への“弾圧を強化”、国内の“右傾化”を進めていると非難してるようだ。我が国の金正日サポーターズとほぼ同じ論旨である。
▽画像:AP
北朝鮮当局としては悪口のつもりだろうが、逆に安倍政権の対北外交が正しいことを証明している。ヒルの弱腰姿勢に左右されず、更なる経済制裁の強化が必要だ。対北政策は圧力と恫喝が最も効果的である。
また『備忘録』は「日本の意向が通るなら、朝鮮半島の核問題は永遠に解決不可能になる」と吠え、日本の責任にして核無効化を睨んでいる気配も濃厚だ。遠吠えは取り敢えず無視してOK。
加えて総連本部の差し押さえについても金桂冠が交渉の席で触れたことが判っているが、法治国家のシステムを知らない未開人の放言だ。粛々と整理・回収すれば良い。
現在、気になるのは北朝鮮の動きではなく、前のめりで突進する米国務省の「勇み足」だ。
【ロシアの夏休みが教える不毛な協議】
8月1日に北京で6ヵ国外相会議が予定されていたが、キャンセルされた。各国の調整が付かないとしてライスが先送りにした格好だ。本当の理由は判然としないが、舞台に添える花が用意できなかったと考えられる。
また、ロシアのラブロフ外相の参加が見込めなかった可能性もあるだろう。今回の6ヵ国協議では、形骸化・空洞化を象徴する異例の事態も表面化していた。
20日の記念ショットを見ると、新顔の人物が1人紛れ込んでいる。左端の白人男性は誰?
▽閉幕後のコミュニケ発表(AP)
答えはロシアのラフマニン特命大使。ロシア首席代表のロシュコフ外務次官は出席をドタキャンした。その理由が面白い…「夏休み」なんだそうだ。大胆過ぎるキャンセル理由。見上げた根性である。
追加のエネルギー支援でロシアは無駄金をビタ一文払う気がないだろう。ほとんどオブザーバーの感覚である。
▽最後尾がロシア臨時代表(AP)
6ヵ国協議は米朝直接対話が始まったことで、既に変質している。今回もヒル次官補が協議日程の見通しを語るなど、ホスト役の武大偉を差し置いて、完全に“主人公”の立ち位置をキープ。中共もメンツ丸潰れだ。
北朝鮮の関心は6ヵ国協議の進展ではなく、米中南北による朝鮮半島平和体制協議に移っている。更にその先で「テロ支援国家指定の解除」と「体制保証」を目指していると想像できる。
もはや「次の段階の措置」などは視野の外にあるのではないか。年内履行に暗雲が垂れ込めた現状は、同時に、北朝鮮が残り95万トン相当の追加支援を年内に受け取れない可能性を高めている。
▽笑顔の絶えない金桂冠(ロイター)
支援が遠のいたにも関わらず、金桂冠は満面の笑みを浮かべていた…今回の中途半端な性格の協議には裏のウラがありそうな気配である。
恐らく早い時期に、再び電撃的な米朝会談がどこかでセットされるだろう。そこにライスが登場しないことを祈るばかりだ。
〆
最後まで読んで頂き有り難うございます♪
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発 となります
↓

河野洋平は22日までシナ滞在中

【side story】
一部報道は19日閉幕後の発表文を「議長声明」と表現していますが、外務省の表現通り「プレス・コミュニケ」と解釈しました。国連安保理など国際会合の一般例では、両者は明確な違いがありますが、当該協議では厳密に区別されていないようです。
参考記事:
産経新聞7月20日「無能力化」期限示さず 6カ国協議閉幕 次回は9月
読売新聞7月20日『次段階の措置、完了期限明記せず…6か国協議閉幕』
AFPBB7月20日『6か国協議、履行期限明示せず終了』
中日新聞7月19日『北朝鮮、軽水炉支援を要求 敵視政策解消も 「次の段階」の見返り』
毎日新聞7月18日『6カ国協議:「米朝中心」際立つ4カ国承認役に』
「北朝鮮はすべての核計画を申告し、既存の核施設を無能力化するという約束を責任を持って果たすと、改めて述べました」
中共代表の武大偉は閉幕後、そう語って協議に一定の意味があったことを強調した。しかし期間を1日延長した今回の6ヵ国協議は、目新しい成果もなく、煮え切らない話し合いで次回の日程を決めるに留まった。
その中、金桂冠の満面の笑顔がだけが異彩を放っていた。そんなに嬉しいことがあったのだろうか…薄気味悪いスマイルだ。
▽閉幕時の金桂冠(ロイター)
18日から北京で開かれていた6ヵ国協議は7月20日、プレス・コミュニケ(共同報道文)を出して閉幕した。当初は、より重い議長声明が出される手筈だったが、それも実現しなかった。
参照:外務省HP『代表者会合のプレスコミュニケ』
焦点となっていた「次の段階の措置」に関しても手順や履行期限を明示したロードマップは作成されず、これまで報道されている限りでは、顔合わせレベルの中途半端なテーブルだった。
テクニカルな見方だが、今回3日間に及んだ6ヵ国協議は「本会合」ではなかかった。外務省によれば正式名称は「第6回六者会合に関する首席代表者会合」で、これまでにない位置付けだ。
2・13合意が発表された2月の協議は「第5回6ヵ国協議第3次会合」。3月は「第6回6ヵ国協議第1次会合」…そして今回は第6回協議の第2ステージと捉えていたが、実際は違った。
「第6回6ヵ国協議第2次会合」は9月上旬に開くことで合意している。いったい、今回の協議は何だったのか?
▽閉幕時のヒル次官補(ロイター)
メディアもその辺りの事情について詳しく解説していない。当初から重みのある議長声明を出す見通しはなかったのではないか…4年前の夏にスタートした6ヵ国協議は、いよいよ寿命を全うし、形骸化しそうな風向きだ。
【次の段階の措置に早くも暗雲】
「初期段階措置」をめぐる動きは、6ヵ国協議を前に加速度的に進展していた。
▽平壌入りしたIAEA査察官チーム(AP)
IAEA(国際原子力機関)の査察団は7月14日、予定通り平壌に到着。その翌日、北朝鮮外交部は老朽核施設の稼働停止を発表し、15日にはエルバラダイ事務局長が、現地入りした査察団からの停止の報告を受けたとコメント。
「初期段階措置」が恙無く履行されたことで障害はオールクリアー。6ヵ国協議での進展が予想され、焦点は一気に「次の段階の措置」に移っていた。
キーワードである「次の段階の措置」とは何か? その内容は2・13合意に明記されている。
1:北朝鮮による全ての核計画についての完全な申告
2:黒鉛減速炉、再処理施設を含む既存の全ての核施設の無能力化
▽寧辺の核施設内部(AP)
極めて曖昧な表現だった。「全ての核計画」にはHEU(高濃縮ウラン)計画が含まれているのか否か。そして「無能力化」とは具体的に解体なのか凍結・封印止まりなのか…
3日間の協議では特に「無能力化」の規定をめぐって紛糾し、加えてそれに伴う追加エネルギー支援の時期などが噛み合なかったと見られている。
▽19日朝記者団に答えるヒル次官補
「今日が最終日になる」
19日朝、記者団の前に登場したヒル次官補は、自信ありげに見通しを語った。相変わらず楽観的な男だ。しかし、協議は延長、議長声明も出せずに灰色のまま閉幕。発言は一気にトーンダウンした。
「運が良ければ今年中に(次の段階の措置)履行が可能だと今でも思っています。難しいのは間違いないが、出来る限りの事をします」
ヒル次官補は年内の履行を目標に据えていたが、それも今や運次第だそうだ。閉幕後、記者からの質問に対しては少々キレ気味だった。
▽閉幕後に答えるヒル次官補(FNN)
果たして不機嫌なヒルの表情が示す通り、米朝の交渉は不調に終わったのか?
【再び中華テーブルを囲んだ米朝】
今回の北京会合の目玉は、6ヵ国の協議ではなかったようにも見える。協議スタートの前日に行なわれた米朝の直接交渉。それが本命だったのではないか。
各国の代表は17日の時点で北京入りしていた。北朝鮮代表の金桂冠も午前中に高麗航空で現地に到着。直ぐさま向かったのは、米国大使館だった。異例の展開である。
▽北京入りした金桂冠(AP)
6ヵ国協議に絡んで北朝鮮代表が米国大使館に足を踏み入れたのは、これが初めてのケースだ。更に、直接対話は北京市内のレストランに場所を移して続行される。
ベルリン会談を思い起こさせる中華テーブル会談。いわゆるワーキングランチだ。時間にして約1時間半。少し長目の昼食である。ヒル次官補は感想を、こう語る。
「とても美味しい食事だった」
▽レストラン前での記者会見(AP)
ナメた態度だ。
そしてランチ後、今度はヒル次官補を乗せた車が北朝鮮大使館に滑り込む。交渉時間は約1時間40分。一連の会談のテーマは「次の段階の措置」の年内履行だったとしているが、その後の不調ぶりを見ると実に怪しい。
一方の金桂冠は記者団に対して「雑談をした」と話している。こちらもナメた態度だ。コメントと裏腹に、断続的に4時間に渡って行なわれた直接交渉では、突っ込んだ話がなされたと見て良いだろう。
▽レストランを出る金桂冠(朝日新聞)
そこで何が話し合われたかが、今回の最大のポイントだ。
米国務省はまだしも、北朝鮮当局は既に6ヵ国協議を明らかに蔑ろにし始めているように思える。4年前から北朝鮮が一貫して訴えていたのは米国との2国間交渉だった。それが実現した今、他の4ヵ国は余計な存在でしかない。
では、突然行なわれた日朝交渉は、どうだったのか?
【予想外だった日朝交渉の開催】
2日目の19日午後、釣魚台迎賓館で佐々江局長と金桂冠による日朝代表者協議が行なわれた。3月のハノイ日朝作業部会以来、4ヵ月ぶりとなる日朝間の本格的なテーブルだが、対面は僅か1時間余り。
「協議は非常に真剣かつ率直なものだった」
▽日朝会談後の佐々江局長(読売新聞)
会談後、佐々江局長は、そう感想を述べたものの、内容に関する言及は避けた。不気味なのは、日朝双方が今回の会談内容について具体的な詳細を明かさない点で合意したことだ。
今までと雰囲気が異なる会談であった。北朝鮮側が発狂していないのも気になる。前日18日まで日朝交渉は開催が危ぶまれていたが、日本側が申し入れたところ、北が応じたという。ある政府関係者は、こう漏らしている。
「受けると思っていなかったので驚いた」
北朝鮮に限っては、いつも通り不逞な言動を繰り返していた方が逆に安心できる。麻生外相も日朝交渉を好意的に受け止めているが、何か、佐々江局長がボールを投げたように見えて少々嫌な予感がする。
▽記者会見に臨む佐々江局長19日(ロイター)
たった1時間余りの交渉だが、批難の応酬に終始したムードではなさそうだ。日朝作業部会の8月中の開催も確定した。北朝鮮のペースで進んでいる以上、安易な対話には充分に警戒した方が良い。
やる気があるのかないのか、金桂冠は交渉のテーブルで、最近の定型文である「経済制裁への恫喝」を口にしなかった。しかし、やはり一筋縄では行かない国だ。同じ日、別の方角から珍妙な攻撃を仕掛けてきた。
【北朝鮮外交部が放った側面射撃】
日朝交渉が開かれた19日、北朝鮮外交部は『備忘録』の形式で対日非難の談話を発表した。ちなみに『備忘録』は2年前、横田めぐみさんのニセ遺骨事件の際にも出されている。
7月19日付け『備忘録』のタイトルはちょっと長めだった…
『安倍一味の拉致騒動は自滅を招くだけだ』
相変わらず、一国の外交当局が書き上げたとは思えない幼稚な題名である。中身の全貌はまだ和文で公表されていないが、8,000字を超すボリュームで安倍政権や「救う会」などを誹謗中傷しているという。
参照:「北朝鮮外務省の拉致問題備忘録を許さない」-家族会・救う会声明7月20日
一部報道によれば『備忘録』は安倍内閣が拉致事件を“北朝鮮脅威論として悪用”し、総連への“弾圧を強化”、国内の“右傾化”を進めていると非難してるようだ。我が国の金正日サポーターズとほぼ同じ論旨である。
▽画像:AP
北朝鮮当局としては悪口のつもりだろうが、逆に安倍政権の対北外交が正しいことを証明している。ヒルの弱腰姿勢に左右されず、更なる経済制裁の強化が必要だ。対北政策は圧力と恫喝が最も効果的である。
また『備忘録』は「日本の意向が通るなら、朝鮮半島の核問題は永遠に解決不可能になる」と吠え、日本の責任にして核無効化を睨んでいる気配も濃厚だ。遠吠えは取り敢えず無視してOK。
加えて総連本部の差し押さえについても金桂冠が交渉の席で触れたことが判っているが、法治国家のシステムを知らない未開人の放言だ。粛々と整理・回収すれば良い。
現在、気になるのは北朝鮮の動きではなく、前のめりで突進する米国務省の「勇み足」だ。
【ロシアの夏休みが教える不毛な協議】
8月1日に北京で6ヵ国外相会議が予定されていたが、キャンセルされた。各国の調整が付かないとしてライスが先送りにした格好だ。本当の理由は判然としないが、舞台に添える花が用意できなかったと考えられる。
また、ロシアのラブロフ外相の参加が見込めなかった可能性もあるだろう。今回の6ヵ国協議では、形骸化・空洞化を象徴する異例の事態も表面化していた。
20日の記念ショットを見ると、新顔の人物が1人紛れ込んでいる。左端の白人男性は誰?
▽閉幕後のコミュニケ発表(AP)
答えはロシアのラフマニン特命大使。ロシア首席代表のロシュコフ外務次官は出席をドタキャンした。その理由が面白い…「夏休み」なんだそうだ。大胆過ぎるキャンセル理由。見上げた根性である。
追加のエネルギー支援でロシアは無駄金をビタ一文払う気がないだろう。ほとんどオブザーバーの感覚である。
▽最後尾がロシア臨時代表(AP)
6ヵ国協議は米朝直接対話が始まったことで、既に変質している。今回もヒル次官補が協議日程の見通しを語るなど、ホスト役の武大偉を差し置いて、完全に“主人公”の立ち位置をキープ。中共もメンツ丸潰れだ。
北朝鮮の関心は6ヵ国協議の進展ではなく、米中南北による朝鮮半島平和体制協議に移っている。更にその先で「テロ支援国家指定の解除」と「体制保証」を目指していると想像できる。
もはや「次の段階の措置」などは視野の外にあるのではないか。年内履行に暗雲が垂れ込めた現状は、同時に、北朝鮮が残り95万トン相当の追加支援を年内に受け取れない可能性を高めている。
▽笑顔の絶えない金桂冠(ロイター)
支援が遠のいたにも関わらず、金桂冠は満面の笑みを浮かべていた…今回の中途半端な性格の協議には裏のウラがありそうな気配である。
恐らく早い時期に、再び電撃的な米朝会談がどこかでセットされるだろう。そこにライスが登場しないことを祈るばかりだ。
〆
最後まで読んで頂き有り難うございます♪
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発 となります
↓

河野洋平は22日までシナ滞在中

【side story】
一部報道は19日閉幕後の発表文を「議長声明」と表現していますが、外務省の表現通り「プレス・コミュニケ」と解釈しました。国連安保理など国際会合の一般例では、両者は明確な違いがありますが、当該協議では厳密に区別されていないようです。
参考記事:
産経新聞7月20日「無能力化」期限示さず 6カ国協議閉幕 次回は9月
読売新聞7月20日『次段階の措置、完了期限明記せず…6か国協議閉幕』
AFPBB7月20日『6か国協議、履行期限明示せず終了』
中日新聞7月19日『北朝鮮、軽水炉支援を要求 敵視政策解消も 「次の段階」の見返り』
毎日新聞7月18日『6カ国協議:「米朝中心」際立つ4カ国承認役に』
この記事へのコメント
私もニュースの映像みたんですが、いやこの世の春、といった印象をうけました。
やはりアメリカとの交渉で彼らの要求が通った、と判断するしかないでしょう。無論、早とちりは禁物ですが。
これで、また「日本が孤立する」と主張する方々がでてくるんでしょうね。「ワン、パターン」の一言でかたづせけていい方々ですが。
ロシアのやる気のなさは「口は出さないが、金も出さない。資源も出さない」という姿勢の堅持でしょう。日本も「拉致被害者全員帰ってくるまで、金は出さない」という姿勢を堅持していればいいでしょう。
うすら笑いを浮かべた金桂冠に、「今度は5カ国が義務を履行する番」などと口にさせているのだから、何をかいわんや。
19日の日朝協議も気になる。「何かボールを投げたのでは?」というご指摘には同感だ。
「問題先送り」が六者会合の存在意義だったが、今や米朝2国間の出来レースになってしまったのだから、わが国はもう席を蹴る段階ではないか?
そのためにも、戦後60余年怠って来た自主防衛に真剣に取り組むべき時期だろう。
クリントン外交の反省から出発した米の対北チームですが、冒険を避けている感じ…時間のロスは倍になって返ってきそうです。
>ミナミ北朝鮮さま
抽出したプルトニウムの検証も曖昧で、非核化も掛け声だけ…カネの話が生臭くなる前に我が国は方向を決定する必要があります。>sdiさま
また一部からバス乗り遅れ論が出るでしょうが、ロシアの姿勢はハッキリしてきました。絶対に安易な支援はしないでしょうね。
>風来坊さま
日朝交渉は具体的な駆け引きがあったとも想像します。善後策としては早めに日米外相会談をセットすべきではないでしょうか。
>「北朝鮮はすべての核計画を申告し、既存の核施設を無能力化するという約束を責任を持って果たすと、改めて述べました」
何一つ進展しては無いですか?寧ろ、これからも弾道ミサイル発射恫喝行為を黙認した事になりませんか?北朝鮮のチンピラ外交に、してやられている風情にしか見えません。その点、ロシア外務次官の「夏休み」は立派です。日本も、ドラえもんのぬいぐるみでも、出席させて措けば良かったのですよ。それにしても、寧辺の封印保管されていた筈の、使用済み核燃料棒1万6千本が消えている事は何故、問題になら無いのですか?プルトニウム25キロ、核弾頭5~6発分。(7/03毎日新聞)。北朝鮮は、03年5月に封印を解いて再処理を終えたと言っているそうです。真剣に、怒るべきでしょ日本人は。
<熱湯欲ゴーリキーのお部屋より引用開始>
金桂寛(キム・ケグァン)外務次官は21日、北京空港で記者団に、19日に行われた日朝会談で、日本首席代表の佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長に対し、「(日本は)金融制裁よりさらに深刻な政治危機を(北朝鮮側に)もたらしている。これ以上進めば災難を招くので、気をつけるべきだ」と警告した。
<引用終わり>
でも確かに、柏崎原発の被害情況をTVでみるに、震度6強であの被害はちょっと怖い気がする、よもや原子炉には何も起こっていないのだろうが、付属機器や配管については、些か疑問が有るのではないか、例えば、運転停止から2日目なのに、紹介された映像では、もぅタービンの開放点検が中盤にさしかかっているのをみて、聊か驚いた、偶々予定していたモノと重なって、人員確保が早かったのかも知れないが、もしかすると、事故直後から「止める気」が有った、「別に止めなければ成らない理由があった」のかも知れないと勘ぐってしまう。
864 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/22(月) 10:36:39
マスコミやってると、様々な裏情報に接するが、日本が半ば在日に乗っ取られているのは間違いないよ。
犯罪界、宗教界、政界、芸能界(笑)と至るところ在日が主導権を握っている。
在日が裏で操っている
創価学会=公明党だけには、絶対に投票したり献金したりすべきではないね。
でも、政治家の秘書として統一教会信者が百人以上も入り込み、さらに朝鮮総連からも賄賂がいってるんで、政治家がこの問題で動くこともないだろう。
まったく「在日は差別されてる可哀想な少数民族だ」なんて、トンデモねえ(笑)。
これは連中が広めた最大の嘘だ。日本最大の産業は年間30兆円を売り上げるパチンコ産業だが、
その8割を在日が握っている。
在日は疑いもなく「世界一リッチなマイノリティー」というのが真実だよ。
そして有り余った金を政界にばら撒いている。
自民党や社民党の大半の議員は、完全に連中の賄賂で拘束されているよ。
だから不正融資で潰れかけた朝鮮銀行に国民の税金1兆円を平気でつぎ込んじゃうんだ。
彼らは韓国や北朝鮮に対して土下座外交するしかないんだよ。
哀しいかな、今の世の中、金を持ってるやつが一番強いんだな。
今や彼らは日本国民になる気もないのに、「選挙権をよこせ!」と運動をはじめ、国際社会に対して
「日本は我々に市民権を与えない。我々は迫害されている」などと宣伝して回っている。
在日がよく口にする「日本はアジアの隣人と共存せよ」という言葉を額面どおり受け取ってはいけないね。
彼らが「共存」とか「友好」とかいう場合、それは「日本人はおれたちの言いなりになれ」という意味なんだ。あくまでエゴだね。
彼らはとにかく自分の利益のことしか頭にない連中で、日本の国益とか日本人の側の利益とか、一切、関心がない。
日本人には「謝罪せよ、補償せよ!」とねじ込むが、自分たちの過ちは絶対、認めないし、ましてや
謝罪なんて死んでもしない。
在日朝鮮人の賄賂に篭絡されているのは、自民党じゃなくて、民主党でしょ?
小沢一郎の秘書も朝鮮人です。在日朝鮮人に参政権付与とか、民主党は掲げていませか?絶対おかしいって。洒落にならんです。マスゴミといい、政界といい、本来なら外国人勢力と一番遠い処に在るべき筈です。国籍条項は絶対必要だし、何より固有の日本国や日本人を大事に思う心が大前提では無いですか?
先日テロ朝報ステで、年金月9万円前後で細々行き続ける孤独な日本人の老人達の特集見ました。泣けてきました。日本に巣食う在日共は、月二十万前後貰っているわけでしょ?約四十万人。この朝鮮人に対する怒り、私が間違っていますのか?朝鮮人に果敢に立ち向かっている様に見えるから、安倍総理大臣はマスゴミから異常に叩かれているのでは無いですか?安倍政権の支持率の低さ、マスゴミの情報操作によるものにしか思えません。
その時点で、ダウト・嘘。その運動集会は、主催者達がどう思っていようと、日本国日本人の為のものとは看做せないです。反日スパイ破壊活動にしか看做せないです。広島長崎は、今や日本国日本人の敵性地域です。『間違いない』です。
産経新聞と朝日新聞に同じ場面の写真があり、誰が見ても朝日が反日偏向報道をしているとはっきり分かる写真がありましたので、管理者様に是非この写真を載せて広めて頂きたくコメントさせて頂きました。このブログを訪れて当コメントをご覧頂いた皆さん方も
Sankeiwebの、ホーム>国際>朝鮮半島と進んで行きますと【6カ国協議 米、成果へ「前のめり」ヒル次官補、人道支援にも言及】という記事の写真と
asahi.comの、ホーム→国際→アジア(地図)と進んで行きますと【核無力化は困難に、6者協議閉幕 8月中に作業部会】という記事の写真を見比べて下さい。
いかに朝日が反日報道をしているかがはっきり見て取れます。
安倍総理大臣の後を受継ぐべき政治家は、既に存在し体制を整えつつあるとは思います。しかし、戦後レジームを打破し、朝鮮人と戦い続ける安倍総理大臣の代わりはいません。日本国総理大臣に相応しい「華」ある国会議員なんて、そんなにいない。なんとしても安倍さんに勝たせたいです。
>>闇に消えた封印されていた筈の寧辺の使用済み核燃料棒一万六千本を不問に付した、IAEAなど最早信頼に値し無いです
御意!!
裏で、米朝支露韓(もしかすると日も)の合意が成立して居る可能性が有りますね、そうなると、中立機関としての機能は端から喪われている事になります、視察は形だけの実績造りに過ぎず、唯の茶番と言うことです。
マスゴミも、市井の人間でしかない筈の神谷さんが持っている至極当然な疑問「16,000本もの使用済み核燃料の処分先」について、IAEAの視察に先立って、ナンの言明も求めていないのには、得意の不作為を感じます。
情報によっては、社会に危険をもたらす集団を利する事になるモノも有るわけですから、情報を握った側の判断で、非公開情報が有っても仕方がないでしょうが、プルトニウムが2種類ある核兵器の一方の原料である事を知っていれば、視察のキモは、そのプルトニウムの行方でしょう、視察前に処理法が決まっていて、マスゴミへの不作為による報道管制協力が為されていたのかもしれません。
然も無くば、プルサーマル計画に未練たっぷりな日本が、亦引き取っているではないのか、其れも違うとすれば、米国が、「朝鮮が更に核兵器を増産する目的で秘匿した事を黙認した」と云う可能性すら出てきますが、もし、ソウなら、最早米国は、日本の同盟者ではないと言うことになりますから、其処までは疑いたくありませんが。
誰に向かって言っているのだ?相変わらず、この手の者は言葉の使い方が意味不明。その程度の事しか言えないのなら、出て来るなよ、見苦しい。
そういう意味では目安として貴重な方々です。
大切にしてあげましょう(笑)。
あれですよ。
地震の時用に飼ってるナマズとか、何かそんな感じっぽい、役に立つのか立たないのか分からない生き物。そんな扱いで良い感じかと思われます。
ナイスフォロー、又後で。
キリスト教徒、orz・・・_| ̄|○
イスラムは危険な宗教だからキリスト教への改宗をお手伝いしたかった!と見ました。
キリスト教は安全で平等で正しい宗教だって思い込んでるんだろうなぁ。朝鮮人は...
「キリスト教は安・全・で・正・し・い」・・・自分で言ってて困惑してしまった。
イスラム教徒の前でイスラムを悪く言えば、そりゃ、罰せられますわな。
そういうことではないでしょうか。
ナイスフォロー、又後で。
『様』が抜けていますね。陳謝。
神社を幾つも巡って思う事は、「神道・神社信仰共、宗教ではない」、です。何度考えても、そこに辿り着きます。神社信仰は、『今生きている、生者の未来の安全を願う信仰心』です。この信仰心では、『今そこにある苦しみ』は救えない。死別。病。老い。悩み。それらの苦しみから救うのが、宗教に思えて仕方が無いです。腐れサヨクがいつも主張する、『靖国参拝は政教分離違反』と言う政教分離違反。腐れサヨクより、よっぽど神社信仰の方が、らしい左翼思想世界観に思えてなら無いです。
神道・神社信仰に対して、悪意はありません。お気を悪くされた方がいらしたら、陳謝。
てゆーか、言われるまで気がつきませんでしたよ(笑