民主党政権が生んだ外交空白…普天間移設案の幽愁
浮上した徳之島案はダミーの疑いが濃厚。普天間飛行場の移設問題は現行案微修正で決着か?無能な防衛相と確信犯の外相…鳩山内閣が立ち往生する中、深刻化しているのは米国との外交空白だ。
「事実ではない。辺野古の海が埋め立てられるのは自然に対する冒涜だ」
鳩山首相は、普天間飛行場移設に関して日本政府側が現行案修正を受け入れたとする米紙の報道を慌てて否定。更に勢い余って、キャンプ・シュワブ沿岸部に移す選択肢が消失したことも明言した。
「現行案が受け入れられるというような話はあってはならない」
▼群馬県内を視察する鳩山首相4月24日(FNN)
自ら退路を断つ発言だ。4月24日付けの米ワシントン・ポスト紙は、岡田外相がルース駐日米大使に対し、日米合意案の微修正で受け入れを表明したと報道。鳩山発言は、それを受けたものだった。
会談で岡田外相はV字滑走路の形状変更を希望し、海兵隊施設の一部を沖縄から“160㌔離れた島”に移すことも提案したという。米紙は固有名詞を掲げなかったが、その島は徳之島だ。
▼徳之島空港周辺エリア4月17日(時事通信)
岡田外相による現行案修正提案は米紙だけではなく、国内メディアも裏をとっている。会談が行われたのは4月23日で場所は米大使館だった。ところが会談の日時について、鳩山首相はトボケて見せる。
「岡田大臣は今、昨日でしょうか、一昨日でしょうか、昨日かな。ルース大使と話し合ったという、そのことは事実だと思っておりますが」
▼他人事のように語る鳩山首相4月24日(FNN)
岡田外相が赤坂の米国大使館を訪れたのは、その前日の出来事だ。鳩山首相が知らなかったということは有り得ない。なぜボカすのか、まるで岡田外相が独断で動いているかのような口ぶりだ。
少しでも都合が悪くなると、部下の責任に擦り付ける…無責任宰相による“言われなき非難”は、つい最近もあった。
【「徳之島の反対」で奇妙な報道相次ぐ】
「どのような思いで、瀧野(官房)副長官が電話をされたか分かりません。まとまった段階で、移設先になる地域にお願いをされるということはあろうかと思っておりますが、まだその段階ではありません」
▼シラを切る鳩山首相4月20日(FNN)
4月20日、瀧野欣弥官房副長官が徳之島の3町長に電話連絡し、平野官房長官と近く会談するよう打診。政府側として初の公式接触だったが、3人の町長は揃って会談を拒絶した。
赤っ恥をかかされた格好の鳩山首相は、電話での要請を瀧野副長官のスタンドプレイと詰った。瀧野副長官は議員ではなく総務事務次官も務めた人物で、元官僚が普天間問題で独走したのなら大事である。
▼副長官から電話受ける伊仙町長4月20日(読売)
しかし、この3町長への会談打診に関しては奇妙な報道が確認された。伊仙町の大久保町長が官邸から電話を受ける瞬間をメディアがキャッチしているのだ。
読売新聞が、その“決定的な瞬間”の撮影に成功している他、JNNも町長と官邸側のやり取りを映像に収めていた。丁度その時、報道陣が詰めかけていたことが判る。
▼電話受けた“決定的瞬間”の映像(JNN)
会見場ではなく、場所は町長の執務室。偶然に複数の記者が居合わせて取材を続けていたとは考えられない。官邸記者クラブから事前に情報を得て、報道カメラが待ち構えていたのだ。
JNNの映像を見ると、受話器を手にした直後に町長の顔へ素早くズームイン。カメラワークも構図もバッチリで、単なる事務連絡の電話ではないことを事前に知っていた撮り方である。
▼的確な構図で“決定的瞬間”を撮影(JNN)
ちなみに、読売新聞が掲載した“決定的瞬間”の画像を良く見ると、右端に人が映り込んでいる。手にしているのは音声を拾うマイクのブームで、間違いなくJNN取材班のVEだ。
▼ブームを握り、構えるJNNの取材クルー
鳩山首相のボケを額面通り受け取れば、メディア各社が官邸からの電話連絡を事前に知りながら、首相や官房長官がうっかり気付かなかったことになる…
「この件に関しては平野官房長官が瀧野副長官に、指示をしたというふうに伺いました」
翌21日、鳩山首相はアッサリと瀧野副長官の独断ではなかった事実を認めたが、ここでも嘘を重ねている。指示をしたのは鳩山本人で、官房長官が首相の決裁を経ずに動くことは有り得ない。
自らの巨額脱税も金庫番に罪をなすり付けて平然としているのが鳩山由紀夫だ。都合が悪くなると部下に押し付けて逃げ通す…ただし、官邸が進める「徳之島案」は、ダミーの疑いが濃厚である。
【現行案微修正で決着図る鳩山の詭弁】
官邸側は、昨年末から密使を徳之島入りさせるなど、半ば公然と動いてきた。今年1月には鳩山外交ブレーンの1人である須川清司・内閣官房専門調査員も派遣したが、裏交渉は進まなかった模様だ。
その後、4月上旬になって公安調査庁の職員が4月上旬に徳之島入りしていた事実が“発覚”する。過激派の動きを探る戸別訪問だったのだが、公安調査庁の動きが表面化することは異例である。
▼徳之島空港周辺4月(時事通信)
報道機関が公安調査庁の動きをキャッチすることは不可能で、官邸のリーク以外にはない。「町長への電話」も含め、官邸側が徳之島ダミー案を意図的にクローズアップさせているようだ。
これは、県外移設を訴える鳩山首相が、将来的に「努力していた事実」として言い訳に利用するだけで、本命はキャンプ・シュワブ沿岸部の修正案。米国側も現状では唯一に近いアイデアと見なしている。
「最近の協議の中で、日本が提示した要素を好感している」
▼キャンベル次官補4月25日(FNN)
来日を目前に控えた米国のキャンベル国務次官補は4月25日、日本メディアの取材に対し、そう答えた。具体的な内容については触れなかったが、協議で提示されたのは現行案の微修正だろう。
微修正案とは、V字型滑走路を1本にし、杭打ち桟橋方式にするもので、過去にあった「浅瀬案」に近い。これならば鳩山首相が否定した「埋め立て」「現行案」と異なるが、言葉遊びの言い逃れだ。
▼キャンプ・シュワブ沿岸部(時事通信)
この現行案微修正を落とし所に決定すれば、事態が進展する可能性もある。しかし、与党内の調整すら終っていない状況だ。未だ米国と最終的な協議に臨む段階にはない。
タイム・リミットは、残すところ1ヵ月余り…
【交渉テーブル中断で防衛相“追放”】
「何も進んでいないではないか。最後までやり通せるのか」
オバマ大統領は鳩山首相に、そう迫り、強い不信感を表したという。4月12日に行われた「10分間トーク」の一幕だ。トーク内容に関する公式発表はないが、実際の会話に近いものと想像する。
「5月末までに決着することは申し上げた」
▼会談直後に答える鳩山首相4月13日(NNN)
直後のぶら下がりインタビューで、鳩山首相は「5月末決着」を約束したと明かす一方、オバマ大統領のリアクションについてはノーコメントを貫いた。これはオバマ発言が厳しかったことを示唆している。
鳩山首相は政権発足後、普天間問題の早期決着を主張した。最初に示したのは「年内決着」で、オバマ大統領の訪日までに具体的な方向性を決めるとの見方が有力だった。昨年11月中旬のことだ。
普天間移設に関する交渉のテーブルとして、鳩山政権がセットしたのが「日米閣僚級作業グループ」。オバマ訪日直前に構想を発表し、第1回会合は昨11月17日に外務省内で開かれた。
▼初会合後のルース駐日大使11月17日(産経新聞)
閣僚級と名付けた通り、岡田外相と北沢防衛相が出席した。対する米国側の顔ぶれは、ルース駐日大使とグレグソン国防次官補。これが普天間をめぐる日米交渉の公式な舞台となった。
ところが12月4日の第2回会合で、日本側が表明したのは「年内決着の先送り」だった。いきなりの反故に、米側は態度を硬化させ、この交渉テーブルは、何の中身もないまま僅か2回で吹き飛ぶ。
▼米紙報道を否定する岡田外相4月24日(NHK)
その後、岡田外相とルース大使による水面下交渉等にゲタが預けられるのだが、重要なのは防衛相が交渉当事者の枠から外されたことだ。今や北沢俊美は、部外者の位置に押しやられた。
米軍再編に絡んだ移設問題で、防衛相がカヤの外に置かれる状況は異様だ。2プラス2が開催できる見通しもなく、日米同盟は機能不全に陥っている。そして、これは同盟以前の問題だ。
【民主党の本音記した沖縄ビジョン】
国会審議で米軍基地を「迷惑施設」と一刀両断した北沢防衛相。米国がこの無能大臣を信頼していないのは当然だが、岡田外相にも不審の眼が向けられている。
「一国二制度」「自立・独立」を謳った民主党の「沖縄ビジョン」。そこには、在沖海兵隊の県外分散と国外移設も示されている。その理由は「戦略環境の変化」に伴うものだという。
▼普天間飛行場H17年(時事通信)
売国にも程がある…との非難を浴びた「沖縄ビジョン2005」だが、これを策定・発表したのが当時の岡田克也代表だった。在沖米軍基地は正に“迷惑施設”扱いで、認識も視点も化石左翼と変わりがない。
鳩山・オバマの「10分トーク」に先立って3月30日、カナダで開かれたG8外相会合。岡田外相はクリントン国務長官と会談したが、普天間問題で何ら進展はなく、会合では影も薄かった…
▼記者会見するG8外相3月30日(ロイター)
現行案修正を提示した4月23日の岡田・ルース会談の時間は僅か40分で、4月21日に開かれた志位・ルース会談と同じ長さだった。米大使館側は、代々木の委員長と同じ時間しか割かなかったのである。
民主党政権で顕著なのは外交の無策だ。特に日米という重要な二国間関係に空白が生じている。
▼G8撮影会で談笑する各国外相3月30日(ロイター)
かつて靖国参拝をめぐって日支外交が滞った際、反日メディアは「アジア外交の空白」と政権批判を繰り返し、それが経済面にも影響すると脅し続けた。しかし、対米外交の停滞はアッサリ見逃して沈黙だ。
首相らの靖国不参拝は中共指導部との密約レベルだったが、普天間移設は日米両政府による公式な合意事項。民主党政権は、それを根拠のない「戦略環境の変化」を理由に掲げ、白紙撤回した。
▼鳩山・オバマの10分トーク(WH提供)
米国は共和党政権が下野しても基本的な安保政策は変わらず、まして政権交代したからといって他国とのアグリーメントを覆すことはない。これは米国に限らず、通常の外交ルールで国家の信用性に関わる。
既存メディアは普天間問題の混乱を「鳩山内閣の迷走」と揶揄するが、内閣改造や首相の顔を変えるだけでは解決にならない。
問題の根には「沖縄ビジョン」に見られる旧社会党的な民主党の古めかしい反米イデオロギーがある。
〆
最後まで読んで頂き有り難うございます
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参照:
民主党HP「沖縄ビジョン2005」
民主党HP「沖縄ビジョン2008(PDF)
参考記事:
■イザ4月27日『政府、「浅瀬案」で米側と最終調整 26日から審議官級協議』
■産経新聞4月26日『普天間移設で日米攻防 米側「怒り心頭」機密漏洩に厳重抗議 日本「メモを取るな」首脳会談の記録残さず』
■日経新聞4月24日『普天間「現行案修正で受け入れ」 米紙報道』
■産経新聞12月5日『ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で』
「事実ではない。辺野古の海が埋め立てられるのは自然に対する冒涜だ」
鳩山首相は、普天間飛行場移設に関して日本政府側が現行案修正を受け入れたとする米紙の報道を慌てて否定。更に勢い余って、キャンプ・シュワブ沿岸部に移す選択肢が消失したことも明言した。
「現行案が受け入れられるというような話はあってはならない」
▼群馬県内を視察する鳩山首相4月24日(FNN)
自ら退路を断つ発言だ。4月24日付けの米ワシントン・ポスト紙は、岡田外相がルース駐日米大使に対し、日米合意案の微修正で受け入れを表明したと報道。鳩山発言は、それを受けたものだった。
会談で岡田外相はV字滑走路の形状変更を希望し、海兵隊施設の一部を沖縄から“160㌔離れた島”に移すことも提案したという。米紙は固有名詞を掲げなかったが、その島は徳之島だ。
▼徳之島空港周辺エリア4月17日(時事通信)
岡田外相による現行案修正提案は米紙だけではなく、国内メディアも裏をとっている。会談が行われたのは4月23日で場所は米大使館だった。ところが会談の日時について、鳩山首相はトボケて見せる。
「岡田大臣は今、昨日でしょうか、一昨日でしょうか、昨日かな。ルース大使と話し合ったという、そのことは事実だと思っておりますが」
▼他人事のように語る鳩山首相4月24日(FNN)
岡田外相が赤坂の米国大使館を訪れたのは、その前日の出来事だ。鳩山首相が知らなかったということは有り得ない。なぜボカすのか、まるで岡田外相が独断で動いているかのような口ぶりだ。
少しでも都合が悪くなると、部下の責任に擦り付ける…無責任宰相による“言われなき非難”は、つい最近もあった。
【「徳之島の反対」で奇妙な報道相次ぐ】
「どのような思いで、瀧野(官房)副長官が電話をされたか分かりません。まとまった段階で、移設先になる地域にお願いをされるということはあろうかと思っておりますが、まだその段階ではありません」
▼シラを切る鳩山首相4月20日(FNN)
4月20日、瀧野欣弥官房副長官が徳之島の3町長に電話連絡し、平野官房長官と近く会談するよう打診。政府側として初の公式接触だったが、3人の町長は揃って会談を拒絶した。
赤っ恥をかかされた格好の鳩山首相は、電話での要請を瀧野副長官のスタンドプレイと詰った。瀧野副長官は議員ではなく総務事務次官も務めた人物で、元官僚が普天間問題で独走したのなら大事である。
▼副長官から電話受ける伊仙町長4月20日(読売)
しかし、この3町長への会談打診に関しては奇妙な報道が確認された。伊仙町の大久保町長が官邸から電話を受ける瞬間をメディアがキャッチしているのだ。
読売新聞が、その“決定的な瞬間”の撮影に成功している他、JNNも町長と官邸側のやり取りを映像に収めていた。丁度その時、報道陣が詰めかけていたことが判る。
▼電話受けた“決定的瞬間”の映像(JNN)
会見場ではなく、場所は町長の執務室。偶然に複数の記者が居合わせて取材を続けていたとは考えられない。官邸記者クラブから事前に情報を得て、報道カメラが待ち構えていたのだ。
JNNの映像を見ると、受話器を手にした直後に町長の顔へ素早くズームイン。カメラワークも構図もバッチリで、単なる事務連絡の電話ではないことを事前に知っていた撮り方である。
▼的確な構図で“決定的瞬間”を撮影(JNN)
ちなみに、読売新聞が掲載した“決定的瞬間”の画像を良く見ると、右端に人が映り込んでいる。手にしているのは音声を拾うマイクのブームで、間違いなくJNN取材班のVEだ。
▼ブームを握り、構えるJNNの取材クルー
鳩山首相のボケを額面通り受け取れば、メディア各社が官邸からの電話連絡を事前に知りながら、首相や官房長官がうっかり気付かなかったことになる…
「この件に関しては平野官房長官が瀧野副長官に、指示をしたというふうに伺いました」
翌21日、鳩山首相はアッサリと瀧野副長官の独断ではなかった事実を認めたが、ここでも嘘を重ねている。指示をしたのは鳩山本人で、官房長官が首相の決裁を経ずに動くことは有り得ない。
自らの巨額脱税も金庫番に罪をなすり付けて平然としているのが鳩山由紀夫だ。都合が悪くなると部下に押し付けて逃げ通す…ただし、官邸が進める「徳之島案」は、ダミーの疑いが濃厚である。
【現行案微修正で決着図る鳩山の詭弁】
官邸側は、昨年末から密使を徳之島入りさせるなど、半ば公然と動いてきた。今年1月には鳩山外交ブレーンの1人である須川清司・内閣官房専門調査員も派遣したが、裏交渉は進まなかった模様だ。
その後、4月上旬になって公安調査庁の職員が4月上旬に徳之島入りしていた事実が“発覚”する。過激派の動きを探る戸別訪問だったのだが、公安調査庁の動きが表面化することは異例である。
▼徳之島空港周辺4月(時事通信)
報道機関が公安調査庁の動きをキャッチすることは不可能で、官邸のリーク以外にはない。「町長への電話」も含め、官邸側が徳之島ダミー案を意図的にクローズアップさせているようだ。
これは、県外移設を訴える鳩山首相が、将来的に「努力していた事実」として言い訳に利用するだけで、本命はキャンプ・シュワブ沿岸部の修正案。米国側も現状では唯一に近いアイデアと見なしている。
「最近の協議の中で、日本が提示した要素を好感している」
▼キャンベル次官補4月25日(FNN)
来日を目前に控えた米国のキャンベル国務次官補は4月25日、日本メディアの取材に対し、そう答えた。具体的な内容については触れなかったが、協議で提示されたのは現行案の微修正だろう。
微修正案とは、V字型滑走路を1本にし、杭打ち桟橋方式にするもので、過去にあった「浅瀬案」に近い。これならば鳩山首相が否定した「埋め立て」「現行案」と異なるが、言葉遊びの言い逃れだ。
▼キャンプ・シュワブ沿岸部(時事通信)
この現行案微修正を落とし所に決定すれば、事態が進展する可能性もある。しかし、与党内の調整すら終っていない状況だ。未だ米国と最終的な協議に臨む段階にはない。
タイム・リミットは、残すところ1ヵ月余り…
【交渉テーブル中断で防衛相“追放”】
「何も進んでいないではないか。最後までやり通せるのか」
オバマ大統領は鳩山首相に、そう迫り、強い不信感を表したという。4月12日に行われた「10分間トーク」の一幕だ。トーク内容に関する公式発表はないが、実際の会話に近いものと想像する。
「5月末までに決着することは申し上げた」
▼会談直後に答える鳩山首相4月13日(NNN)
直後のぶら下がりインタビューで、鳩山首相は「5月末決着」を約束したと明かす一方、オバマ大統領のリアクションについてはノーコメントを貫いた。これはオバマ発言が厳しかったことを示唆している。
鳩山首相は政権発足後、普天間問題の早期決着を主張した。最初に示したのは「年内決着」で、オバマ大統領の訪日までに具体的な方向性を決めるとの見方が有力だった。昨年11月中旬のことだ。
普天間移設に関する交渉のテーブルとして、鳩山政権がセットしたのが「日米閣僚級作業グループ」。オバマ訪日直前に構想を発表し、第1回会合は昨11月17日に外務省内で開かれた。
▼初会合後のルース駐日大使11月17日(産経新聞)
閣僚級と名付けた通り、岡田外相と北沢防衛相が出席した。対する米国側の顔ぶれは、ルース駐日大使とグレグソン国防次官補。これが普天間をめぐる日米交渉の公式な舞台となった。
ところが12月4日の第2回会合で、日本側が表明したのは「年内決着の先送り」だった。いきなりの反故に、米側は態度を硬化させ、この交渉テーブルは、何の中身もないまま僅か2回で吹き飛ぶ。
▼米紙報道を否定する岡田外相4月24日(NHK)
その後、岡田外相とルース大使による水面下交渉等にゲタが預けられるのだが、重要なのは防衛相が交渉当事者の枠から外されたことだ。今や北沢俊美は、部外者の位置に押しやられた。
米軍再編に絡んだ移設問題で、防衛相がカヤの外に置かれる状況は異様だ。2プラス2が開催できる見通しもなく、日米同盟は機能不全に陥っている。そして、これは同盟以前の問題だ。
【民主党の本音記した沖縄ビジョン】
国会審議で米軍基地を「迷惑施設」と一刀両断した北沢防衛相。米国がこの無能大臣を信頼していないのは当然だが、岡田外相にも不審の眼が向けられている。
「一国二制度」「自立・独立」を謳った民主党の「沖縄ビジョン」。そこには、在沖海兵隊の県外分散と国外移設も示されている。その理由は「戦略環境の変化」に伴うものだという。
▼普天間飛行場H17年(時事通信)
売国にも程がある…との非難を浴びた「沖縄ビジョン2005」だが、これを策定・発表したのが当時の岡田克也代表だった。在沖米軍基地は正に“迷惑施設”扱いで、認識も視点も化石左翼と変わりがない。
鳩山・オバマの「10分トーク」に先立って3月30日、カナダで開かれたG8外相会合。岡田外相はクリントン国務長官と会談したが、普天間問題で何ら進展はなく、会合では影も薄かった…
▼記者会見するG8外相3月30日(ロイター)
現行案修正を提示した4月23日の岡田・ルース会談の時間は僅か40分で、4月21日に開かれた志位・ルース会談と同じ長さだった。米大使館側は、代々木の委員長と同じ時間しか割かなかったのである。
民主党政権で顕著なのは外交の無策だ。特に日米という重要な二国間関係に空白が生じている。
▼G8撮影会で談笑する各国外相3月30日(ロイター)
かつて靖国参拝をめぐって日支外交が滞った際、反日メディアは「アジア外交の空白」と政権批判を繰り返し、それが経済面にも影響すると脅し続けた。しかし、対米外交の停滞はアッサリ見逃して沈黙だ。
首相らの靖国不参拝は中共指導部との密約レベルだったが、普天間移設は日米両政府による公式な合意事項。民主党政権は、それを根拠のない「戦略環境の変化」を理由に掲げ、白紙撤回した。
▼鳩山・オバマの10分トーク(WH提供)
米国は共和党政権が下野しても基本的な安保政策は変わらず、まして政権交代したからといって他国とのアグリーメントを覆すことはない。これは米国に限らず、通常の外交ルールで国家の信用性に関わる。
既存メディアは普天間問題の混乱を「鳩山内閣の迷走」と揶揄するが、内閣改造や首相の顔を変えるだけでは解決にならない。
問題の根には「沖縄ビジョン」に見られる旧社会党的な民主党の古めかしい反米イデオロギーがある。
〆
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参照:
民主党HP「沖縄ビジョン2005」
民主党HP「沖縄ビジョン2008(PDF)
参考記事:
■イザ4月27日『政府、「浅瀬案」で米側と最終調整 26日から審議官級協議』
■産経新聞4月26日『普天間移設で日米攻防 米側「怒り心頭」機密漏洩に厳重抗議 日本「メモを取るな」首脳会談の記録残さず』
■日経新聞4月24日『普天間「現行案修正で受け入れ」 米紙報道』
■産経新聞12月5日『ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で』
この記事へのコメント
なるほど!その疑いは濃厚ですね。徳之島へ派遣した密使や公安調査庁職員をメディアの目に触れさせた事実からして間違いなくダミーだったのでしょう。
別件ですが、韓国人による尼崎での子供手当554人分の申請受付拒否もヤラセだったのでは?不正申請に対する対応策が機能していることをPRするためのヤラセだったとしか思えない。5人か6人ならいざ知らず、本気で554人分も申請する馬鹿がいるとは思えない。
いずれにしても低能内閣のやることはすべて眉唾だと思っていた方がよいでしょう。
鳩山も岡田も北沢も…いずれ劣らぬ低能人間ばかり。この内閣が発足したときに真っ先に思い浮かべたのは、サミットで鳩山が各国首脳から無視されている姿でした。サミットを待たずして世界中から無視されてしまいました。
これだけ無能でバカ、卑怯な首相は見たことがありません。こんな内閣にいまだに20%以上の支持率があるとは信じられません。
全く…(脳みそが)ハト並は救いようが無い大馬鹿野郎です。あの案がまとまるまでにどれほど難しい調整をしてきたのか…全くわかっていません。ここまで事態がこじれてしまったのは、国防を集票の道具に使ったツケです(それすらも理解できないでしょうが…)。
先日アニマルの番組を見ておりましたらハイエナが鹿を捉えて食べる場面が有りました、ハイエナと言う動物は弱いと見ると殺す努力はしない、いちばん軟な腹から食うのです。
その間十数分、鹿は頭を擡げ、首を振り苦しみながら食われ死んでいく場面が有りました。
人間社会でも同じと思いますよ。残虐さは無いでしょうが一番弱い処を食いちぎられ国民が苦しみながら終焉を迎える。
自然の摂理、「強者」が「弱者」を食い物にする。一国の首相が「友愛」なんて媚びを外国に売ってるうちに参政権・人権擁護など綺麗な言葉を使い日本の臓物を食い散らされる。
小沢一郎・民主党幹事長(67)の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京第5検察審査会は、同法違反容疑で刑事告発され、東京地検特捜部が不起訴(嫌疑不十分)とした小沢氏について、「起訴相当」と議決した。
議決は27日付。
(2010年4月27日15時32分 読売新聞)
鳩山と近衛がタブって見えます。
パンドラの箱が開いた!“独裁者”小沢一郎とフジテレビ「黒い密約」
福島みずほ「1億4千万円定期預金」はなぜ出来た?
(週刊文春 5/6・13号 GW特集)
http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/
普天間移設を迷走させた「鳩山幸」夫人の「インド人予言者」 週刊新潮 2010年5月6・13日号
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/index.html
此度のエントリでは、普天間問題の詳細なご案内を頂き有難うございます。
>「町長への電話」も含め、官邸側が徳之島ダミー案を意図的にクローズアップさせているようだ。
鳩山の発言を聞いていると、そのような曲がりなりにも「戦略」のようなものがこの男の頭の中にあるんだろうか、心もとない限りです。
それにしても、
>かつて靖国参拝をめぐって日支外交が滞った際、反日メディアは「アジア外交の空白」と政権批判を繰り返し、それが経済面にも影響すると脅し続けた。しかし、対米外交の停滞はアッサリ見逃して沈黙だ。
中京の走狗、売国奴、利敵行為?
なんと言ったらいいのでしょうか。
現在の日本のマスコミは、アホな売国政治家以上に日本に害をなすものであることを、国民の」一人ひとりが理解することが急務でありましょう。
普天間基地移設問題を、こつこつほじくっていましたが正直、とっ散らかって私自身訳判らなくなっていました。このエントリは、とても助かりました。
>少しでも都合が悪くなると、部下の責任に擦り付ける… (本文引用)
聞いていない。知らない。判らない。秘書がやった。ママンがやった。官房副長官が勝手にやった。
こんなのばかりです。『ある意味に於いて・・・w』、この普天間基地移設問題は、鳩山政権そして鳩山由紀夫総理大臣の、卑劣下劣悪辣ぶりを余す所無く顕している問題だと考えています。
>「私の考え方、腹案は用意してある」。
先の党首討論って、3月の何日でしたっけ?谷垣自民党総裁に、普天間基地移設問題の進展の無さ振りを追及されて、苦し紛れに口にした言葉です。
『腹案』。
>「私は腹案を持ち合わせている。関係閣僚もその認識で行動している」、「腹案は現行案と同等か、それ以上に効果があると自信を持っている」。
その様なモノがある筈が無いです。自民党政権と地元沖縄県民と、アメリカ合衆国が10年以上掛けて練り上げた合意事項です。橋本元総理大臣は、17回も現地入りし地元住民と車座になって、語り合ったそうです。
それが、半年やそこらでそれ以上のモノができると真剣に考えていた鳩山総理大臣が、如何に無能であったか証明されてしまいました。
それ以前に、国会に於いて国民注視の党首討論の場で、平然と口からでまかせの嘘が吐ける鳩山総理大臣の「人間性」そのものが、日本国民にとって脅威以外の何者でも無く感じられてしまいます。
これから先、『お上』、国の発表の何を信じれば良いのかと。
日本女性の面汚しのブルセラばばあの嫁を寝取った時の尻拭いの様に・・・・w。
例えば、八ツ場ダム問題などこれに該当するかも知れません。前自民党政権と合意取り決めした事柄も、民主党日本政府が全てひっくり返してしまいました。それでも地方地元住民は、泣き寝入りです。
しかし、普天間移設問題はアメリカ合衆国と言う、極めて強力な国外の交渉相手が存在しました。鳩山総理大臣にとって、初めて金だけでは解決できない相手なのです。
日曜日、殆どテレビを見なかった私は、沖縄県内移設反対県民大会の様子を、月曜日仕事から帰ってニュースで見ようとして当てが外れてしまいました。
事業仕分け。しかも、日本の科学技術関連施設を狙い打つものばかり。不思議と総務省関連、例えば放送事業関連独立法人などは、対象になっていないみたいです。
民主党政権と腐れマスゴミ共等との密約ぶりが想像できます。
そんな中、テレビ朝日報道ステーションは、普天間基地問題を取り上げたかと思ったら、夜間飛行訓練の約束違反を独占スクープしていました。『たった6分間の超過』です。
そもそも約束を反故にしたのは、誰なのか?
国家の外交、安全保障問題である筈の普天間基地移設問題を、夜間騒音問題や個人の地主の土地収用問題に摩り替えて行く、テレビ朝日報道ステーションの卑劣振りには辟易しました。
それでいながら、報道ステーションなど中国艦隊の公海上ではあるがEEZ通過や、沖の鳥島を1周した事など完全黙殺です。
スパイゾルゲと結託して、日本国民を騙してアメリカ合衆国と戦う様に戦意高揚報道を為し、思惑通り、破滅的な対米開戦に向かわせた朝日新聞。(朝日新聞敗戦革命論)
古館も鳥越も、その朝日新聞の思想を受け継ぐ者共等なのかしらと、余計な勘ぐりをしていまいます。
連投スマソでした。
鳩山総理大臣が就任以来初めて、沖縄を訪問する事が決定したそうです。
>鳩山首相の来訪決定、沖縄県側「理解できない」(2010 年4月28日23時29分)
http://www.asahi.com/politics/update/0428/SEB201004280054.html
5月4日。仲井真弘多知事と会談し、普天間移設問題で政府が検討中の、現行計画の修正案を説明する考えだそうです。 辺野古にも行くそうです。
>鳩山由紀夫首相は19日、4月下旬から5月上旬の大型連休を利用した外国訪問を見送る意向を固めた。複数の政府関係者が明らかにした。
(中略)
歴代の首相は、まとまった日程を確保できる大型連休中に海外を訪問し、首脳外交を展開するのがほぼ通例となっている。鳩山首相は、今月29日に都内で開かれるメーデー中央式典への出席を検討しているほか、
(中略)
しかし、外国訪問は計画していない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100420-00000014-jij-pol
実は鳩山総理大臣、GW中の外遊予定が無いのです。つまり、海外で鳩山総理大臣と会ってくれそうな首脳がいないのです。これこそ、外交の空白そのものです。
どこにも行く当てが無いので、官邸に篭っている訳にもいかず、アリバイ工作として仕方が無く、沖縄に行く訳です。
島民の半数以上が基地受け入れ反対運動に参加した、重病で口も効けない入院中の徳之島の実力者に面会を強要したり、10万人近くの反対運動が起きたばかりの沖縄に、今更の様に行こうとしたりと。
鳩山政権にしろ鳩山総理大臣にしろ、地方の人間をトコトン馬鹿にしていませんか?田舎者と見下しているんだよな。
帰化した国に忠誠を誓い、その国の文化と伝統に敬意を持って誇りをもつ
ことが普通。仮に政治家になるならば、なおさらのことです。
敗戦後のGHQが推進した反日政策が逆に米国の負の遺産になったのかもしれない
日本国民は早く気づくべき
永田町で外国人が日本人のふりをしていることを
厄介なのは反日であることを素のまま気づかない洗脳された人々なの
永田町にもたくさんいる
お金にまみれて