常識貫いた“仙谷有罪議決”…中共遠洋海軍の傍若無人
警戒監視中の海自機が謎の無人ヘリ撮影に成功した。史上最大規模の中共艦隊が太平洋に荒波を立てる中、侵犯船事件で新たな「起訴相当」議決。国民の常識が不当な政治圧力を裁く。
「ここ数年、太平洋で活動を活発化させていることを踏まえれば、今後も活動領域を拡大し、常態化を図っていくのではないか」
6月23日、会見に臨んだ折木統合幕僚長は中共海軍の遠洋演習を強く警戒、自衛隊による監視活動を強化させる方針を示した。その日の未明までに中共艦隊は再び沖縄本島と宮古島の間を通り抜けた。
海自が確認した中共海軍の艦艇は、最新鋭艦のジャンカイII級フリゲートなど計11隻。6月8日から9日にかけて相次ぎ南下した艦隊と同じ布陣だ。
▼ドンディアオ級情報収集艦6月22日(NHK)
昨年の同海域南下時には、潜水艦2隻が浮上航行したが、今回もダージャン級潜水艦救難艦が随行している。複数の潜水艦も加わっていたことは確実で、防衛省は過去最大規模と分析している。
その最大規模の中共艦隊をNHKと共同通信のカメラが捕らえた。共同通信が撮影したのは、宮古島の東約140キロの海域で、ジャンウェイI級フリゲートの奥には海自の護衛艦「ちょうかい」の船影が見える。
▼ジャンウェイI級と「ちょうかい」6月22日(共同)
NHKは22日夕方、宮古島の北東約120キロの海域で3隻を映像に収めた。TVカメラの望遠性能には限界があることから、かなり接近して撮影したことが窺える。
▼ジャンカイII級フリゲート6月22日(NHK)
参考動画:YouTube『中国艦隊の通過 初めて撮影』
菅政権は「公海上」を理由に沈黙しているが、大艦隊の挑発的な通過だ。昨年は後方支援訓練がメーンだったが、今回は夜間のヘリ発着・洋上補給など難易度の高い訓練も行った。
その中でも注目は“初披露”された無人航空機だ。
【海自機が捕らえた謎の飛行物体】
中共海軍の無人航空機が確認されたのは、これが初めてだ。警戒監視中の空自機が、フリゲートの上空を飛ぶ機体の撮影に成功。防衛省は、その写真を公開した。
▼フリゲートの上空左に無人機(統幕幹部HP)
フリゲートの左上に黒く見える飛行物体が、中共海軍が新たに投入した無人機だ。位置関係は判り難いが、フリゲートが全長110mを超すことから、決して小型機ではない。
無人機は中共海軍が重視する最新装備のひとつで、2009年に行われた天安門広場での軍事パレードにも登場していた。米国のグローバルホークを真似た無人偵察機である。
▼無人機(拡大)と09年の無人偵察機
だが防衛省によると太平洋上で確認したのは無人ヘリで、農薬散布に使う民生機を軍事転用したものと分析している。無人ヘリの軍事転用で思い起こすのは、ヤマハのRMAX事件だ。
参照:H19年2月24日エントリ『和製ヘリが生物兵器運ぶ悪夢…国賊企業の利敵行為』
ヤマハ発動機が高性能無人ヘリを中共軍関連企業に不正輸出していたことが発覚し、平成19年に幹部3人が逮捕された。一部は未遂だったが、10機以上がシナ国内に運び込まれていたのだ。
▼ヤマハの無人ヘリ「RMAX Type II G」
捜査段階で軍事転用が可能と結論付けられたのが「RMAX Type II G」だったが、写真にある無人機と形状は大きく異なる。加えて、このヤマハ機は全長約3.6mで重量も70kgに満たない。
そこで新たに浮かび上がるのが、今年5月初めに中共がプロトタイプを公表した無人ヘリ「V750」だ。重量は約750kgとヤマハ機の10倍以上で、シルエットも似通っている。
▼試験飛行が伝えられた「V750」5月7日(新華社)
中共宣伝機関が伝えるスペックには信用性がないが、最長航行距離は500キロ、積載可能な重量は80kgだという。軍事転用を危険視する声が上がった矢先、中共は大型無人ヘリをお披露目したのだ。
防衛省は精密な写真などを元に無人機の解析を進めるだろう。そして、この太平洋上の大規模訓練を監視していたのは、我が国だけではない。意外な国が艦艇を派遣し、トラブルも発生していた。
【3ヵ国が中共艦隊追った緊迫の海】
沖縄海域を突破して南下した中共艦隊を追跡・監視していたのは、佐世保・海自第2護衛隊群所属の護衛艦「たかなみ」や「ちょうかい」「くらま」だった。
同時に米海軍の艦艇も出動。日米は連携して監視活動を続けていたと見られる。そこにロシア海軍の情報収集艦と見られる艦艇1隻が遅れて現れた。
▼太平洋上の中共艦隊:日時不明(統幕HP)
日時と詳細な状況は明かされていないが、産経新聞の独占記事によると中共側がロシア艦艇を挑発。艦載ヘリを接近させたうえ、艦艇の上空を周回飛行したという。
中共艦隊には、ロシアが売却したソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦3隻が参加。ロシア側は、同駆逐艦の運用形態などを把握する目的があった模様だ。
▼ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦6月22日(共同)
中共海軍ヘリによる異常接近は、海自艦艇に対して繰り返されているが、ロシア海軍への威嚇行為が各国監視の中で行われたケースは初めてだ。現場海域は当時、4ヵ国の艦艇が集まり、緊迫していた。
中共とロシアは協調することも多いが、7月にも進水する中共初の空母「ワリャーグ」艦載機をめぐって紛糾。ロシアはSu-33の売却を拒絶した他、中共海軍の遠洋進出に警戒感を強めている。
▼大連港で修復進む空母ワリャーグ2月(共同通信)
そして今回の大規模訓練に神経を尖らせた国が、もう1ヵ国あった。南シナ海侵略で中共との関係が悪化するフィリピンだ。昨年までの2年間、中共海軍は沖ノ鳥島周辺の海域で大規模訓練を強行した。
▼中共艦隊のルートと訓練海域(産経新聞)
とろこが今年、沖縄・宮古島間を抜けて中共艦隊が向かったのは、フィリピン・ルソン島の近海だった。中共艦隊は、反発するフィリピンを脅す狙いで進路を変えたのか…
訓練海域決定の経緯は不明だが、直後の6月23日に開かれた米比外相会談では、中共との武力衝突も視野に入れた同盟関係の強化で合意。共同会見でデルロサリオ比外相は、こう宣言した。
「我が国は小国だが、裏庭で発生するいかなる攻撃的な行為に対しても、必要とあらば立ち向かう準備ができている」
▼共同会見する米比外相6月23日(AFP)
比海軍は就役から60年以上の旧型フリゲートが旗艦という有り様だが、外相として堂々たる発言だ。最強レベルのイージス艦を持ちながら、中共に屈服する民主党政権とは比較にならない。
一歩退けば、中共は一気に踏み込んで来る。菅政権は昨年の侵犯船事件で取り返しのつかない失態を犯したのだ。そして、あの“無罪放免”から9ヵ月、再び仙谷由人を死地に誘う審判が下された。
【暴力船長4容疑で起訴相当議決】
シナ侵犯船の主犯・詹其雄に対し、那覇検察審査会は6月22日、新たに「起訴相当」と議決した。今度は、外国人漁業規制法違反など3つの容疑である。
強制起訴に繋がる2度目の議決ではない。別の容疑事実に関する判定で、4月18日に出た公務執行妨害罪の「起訴相当」議決と異なり、都内の男性が5月に審査を申し立てたものだ。
「外国人漁業の規制に関する法律違反及び『よなくに』と『みずき』に対する建造物等損壊並びに漁業法違反について、本件各不起訴処分は不当であり、起訴を相当とする」
▼漁網を引き上げるシナ侵犯船9月7日
議決要旨の冒頭には、そう記されている。公務執行妨害についても審査が申し立てられていたが、4月に議決が出ていることから却下。また13人のシナ人乗組員は悪質性が低いと見なされた。
起訴相当の議決は全て詹其雄に対するものである。4月に出た公務執行妨害を含めると計4件の容疑でクロ。9ヵ月前、詹其雄のピースサインに髪の毛を逆立てた日本国民にとって痛快極まりない展開だ。
▼全4件で起訴相当“達成”した詹其雄(新華社)
今回、那覇検審による議決要旨を入手することが出来た。この議決に関して報道各社はベタ記事レベルで扱っているが、内容は前回と同様に興味深く、事件の知られざる側面が浮かび上がってくる。
「海上保安官が本件漁船に立入後、漁獲物の調査を行っていること、『よなくに』の乗組員の報告によれば、衝突される前に立入検査を行うか検討していたと述べていること」
これは最も地味ながら意外だった漁業法違反に関する記述だ。焦点は立入検査忌避についてだが、否定する検察に対し、検審メンバーは事実関係から立入検査の実施も目的に停船を求めたと導き出した。
▼乗組員を抑えシナ侵犯船を制圧9月7日
確かに昨9月7日の事件発生直後は、海上保安官12人が立入検査忌避の漁業法違反容疑で捜査していると報道されていた。それが検察の取調べの過程で、なし崩し的に不問となったのだ。
参照:時事通信9月7日『中国漁船が海保巡視船に衝突=尖閣付近海上、警告に逃走図る-けが人なし』
発生時の海保の捜査方針を再発掘し、検察の異常性を解き明かす検審の鋭い指摘である。更に、検審は詹其雄の前科にも迫っていた。
【被疑者を庇い、人命尊重を放棄…】
「記録上、日本領海内の魚釣島付近で本件以外にも違法操業をしたことがあり、被疑者は、海上保安庁の巡視船に拿捕されることはなく、射撃をされることもないと考えた上で日本領海内で違法操業しているので、その態様は悪質である」
被疑者とは詹其雄を指す。検察が外国人漁業規制法違反で「特に悪質ではない」と裁定したことに異議を唱えているのだが、文言にある「記録上」とは何を示すのか…
▼巡視船前方を横切る「閩晋漁5179」
「閩晋漁5179」が過去に違法操業をしていた記録が海保に残っていたと考えられる。検察側は海保から資料の提供を受けながら、握り潰した可能性も浮上した。検審による非常に重大な指摘だ。
「海上保安官撮影による動画を見る限り、被疑者が、故意に本件漁船を衝突させたことは明らかであり、この意味で当該行為は悪質である」
▼市販ビデオカメラで撮影中の「みずき」乗組員
残る容疑の建造物等損壊について検察は「咄嗟の行動で被害は軽微」と裁定したが、検審は「納得できない」として猛反論。その視点は、検察官の“非情ぶり”を浮き彫りにするものだった。
「特に『みずき』に対する衝突行為は、巡視船及び本件漁船の乗組員をも危険にさらす無謀なものであり、『みずき』の損傷の程度も大きい」
双方の乗組員のリスクを同列で見詰めた衝撃的な指摘。つまり検察は詹其雄を庇う余り、人命尊重の立場を放棄したと言うのである。それは司法に携わる人間が決して越えてはならない一線だ。
▼石垣港で寛ぐシナ人乗組員9月9日(新華社)
侵犯船事件について多くの識者が様々な論評を加えたが、こうした視点は寡聞にして知らない。無作為で検審メンバーに選ばれた一般市民の知恵に驚く。
【国民の常識が糾す仙谷の政治圧力】
今年1月、侵犯船事件の捜査終結を宣言した検察は、尖閣海域で操業するシナ漁船が激減したと胸を張った。それに対しても検審は議決文の最後で批判し、さらに海保の対応能力にも言及している。
「中国の漁業監視船が尖閣諸島の本邦領海付近に接近したとの報道が多くなされており、今後の紛争が懸念される。当検察審査会は、本邦領海警備のために日々苦労している海上保安官の権限強化を望むものである」
尖閣周辺に出没するシナ漁船は斥候で、母船は武装監視船だ。検審が指摘する通り、詹其雄の釈放直後から相次いで漁政シリーズが接続水域に侵入。中共海軍機が初飛来するなど状況は確実に悪化した。
▼尖閣海域上空の中共情報収集機3月(空自撮影)
そして海上保安官の権限強化とは、詹其雄が追跡されても逃げ切れると想定していたことを踏まえたものだ。巡視船による船体射撃はハードルが高く、それが2度の体当たり攻撃を引き起こす結果を招いた。
今回の議決も徹底した検察批判で貫かれ、論旨も明快だ。何故、そうなったのか…改めて考える必要はない。これが侵犯船事件に対する国民の常識的な判断なのだ。
▼那覇検審が入る沖縄地裁支部(FNN)
間違っていたのは検察だった。そして那覇地検の検察官も非常識な裁定を下したことを承知していた。政治圧力による釈放措置が、今年1月の論理破綻した不起訴処分に繋がった。
4月の起訴相当議決と同様、ここで真に批判されているのは、釈放劇の黒幕=仙谷由人と隷従した検察庁上層部。「仙谷有罪」の審判が下ったのである。
▼官邸を仕切っていた往時の仙谷11月(産経)
その容疑は、外交や法のシステムを歪め、破壊しただけではない。中共海軍を増長させ、将来的に国家と国民を危機的状況に陥れる大罪だ。
〆
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参照:
統合幕僚監部HP6月23日『中国海軍艦艇の動向について』(PDF)
参考記事:
■産経社説6月24日『再び「起訴相当」 主権揺らぐおざなり対応』
■共同通信6月22日『中国船長、艦船損壊も起訴相当 尖閣事件で那覇検審議決』
■読売新聞6月23日『尖閣沖衝突の中国船長、建造物損壊も起訴相当』
■毎日新聞6月23日『中国漁船衝突:船長は起訴相当 那覇検察審議決』
■朝日新聞6月22日『中国人船長、別の容疑でも「起訴相当」那覇検審』
■産経新聞6月24日『中国ヘリがロシア艦に接近威嚇、フィリピン東方海域』
■産経新聞6月24日『東シナ海から危険な高波、中国が無人機、海上戦闘能力を誇示』
■産経新聞6月23日『中国の無人航空機を初確認 中国海軍、太平洋上訓練で』
■読売新聞6月23日『無人機飛行や夜間訓練…中国艦艇の太平洋上活動』
■CRI5月8日『無人ヘリコプター、試験飛行に成功』
■産経新聞6月14日『中国海軍、フィリピン東方海域まで進出 米軍戦略拠点グアム島にらみ「示威行動」か』
■NHK6月23日『統幕長 中国海軍の活動は拡大』(魚拓)
■NHK6月23日『中国艦隊の通過 初めて撮影』(魚拓)
■ロシアの声6月10日『中国海軍の拡大はどのような影響を与えるか』
■AFP6月24日『米国、フィリピン海軍に装備支援 南シナ海めぐり中国をけん制』
「ここ数年、太平洋で活動を活発化させていることを踏まえれば、今後も活動領域を拡大し、常態化を図っていくのではないか」
6月23日、会見に臨んだ折木統合幕僚長は中共海軍の遠洋演習を強く警戒、自衛隊による監視活動を強化させる方針を示した。その日の未明までに中共艦隊は再び沖縄本島と宮古島の間を通り抜けた。
海自が確認した中共海軍の艦艇は、最新鋭艦のジャンカイII級フリゲートなど計11隻。6月8日から9日にかけて相次ぎ南下した艦隊と同じ布陣だ。
▼ドンディアオ級情報収集艦6月22日(NHK)
昨年の同海域南下時には、潜水艦2隻が浮上航行したが、今回もダージャン級潜水艦救難艦が随行している。複数の潜水艦も加わっていたことは確実で、防衛省は過去最大規模と分析している。
その最大規模の中共艦隊をNHKと共同通信のカメラが捕らえた。共同通信が撮影したのは、宮古島の東約140キロの海域で、ジャンウェイI級フリゲートの奥には海自の護衛艦「ちょうかい」の船影が見える。
▼ジャンウェイI級と「ちょうかい」6月22日(共同)
NHKは22日夕方、宮古島の北東約120キロの海域で3隻を映像に収めた。TVカメラの望遠性能には限界があることから、かなり接近して撮影したことが窺える。
▼ジャンカイII級フリゲート6月22日(NHK)
参考動画:YouTube『中国艦隊の通過 初めて撮影』
菅政権は「公海上」を理由に沈黙しているが、大艦隊の挑発的な通過だ。昨年は後方支援訓練がメーンだったが、今回は夜間のヘリ発着・洋上補給など難易度の高い訓練も行った。
その中でも注目は“初披露”された無人航空機だ。
【海自機が捕らえた謎の飛行物体】
中共海軍の無人航空機が確認されたのは、これが初めてだ。警戒監視中の空自機が、フリゲートの上空を飛ぶ機体の撮影に成功。防衛省は、その写真を公開した。
▼フリゲートの上空左に無人機(統幕幹部HP)
フリゲートの左上に黒く見える飛行物体が、中共海軍が新たに投入した無人機だ。位置関係は判り難いが、フリゲートが全長110mを超すことから、決して小型機ではない。
無人機は中共海軍が重視する最新装備のひとつで、2009年に行われた天安門広場での軍事パレードにも登場していた。米国のグローバルホークを真似た無人偵察機である。
▼無人機(拡大)と09年の無人偵察機
だが防衛省によると太平洋上で確認したのは無人ヘリで、農薬散布に使う民生機を軍事転用したものと分析している。無人ヘリの軍事転用で思い起こすのは、ヤマハのRMAX事件だ。
参照:H19年2月24日エントリ『和製ヘリが生物兵器運ぶ悪夢…国賊企業の利敵行為』
ヤマハ発動機が高性能無人ヘリを中共軍関連企業に不正輸出していたことが発覚し、平成19年に幹部3人が逮捕された。一部は未遂だったが、10機以上がシナ国内に運び込まれていたのだ。
▼ヤマハの無人ヘリ「RMAX Type II G」
捜査段階で軍事転用が可能と結論付けられたのが「RMAX Type II G」だったが、写真にある無人機と形状は大きく異なる。加えて、このヤマハ機は全長約3.6mで重量も70kgに満たない。
そこで新たに浮かび上がるのが、今年5月初めに中共がプロトタイプを公表した無人ヘリ「V750」だ。重量は約750kgとヤマハ機の10倍以上で、シルエットも似通っている。
▼試験飛行が伝えられた「V750」5月7日(新華社)
中共宣伝機関が伝えるスペックには信用性がないが、最長航行距離は500キロ、積載可能な重量は80kgだという。軍事転用を危険視する声が上がった矢先、中共は大型無人ヘリをお披露目したのだ。
防衛省は精密な写真などを元に無人機の解析を進めるだろう。そして、この太平洋上の大規模訓練を監視していたのは、我が国だけではない。意外な国が艦艇を派遣し、トラブルも発生していた。
【3ヵ国が中共艦隊追った緊迫の海】
沖縄海域を突破して南下した中共艦隊を追跡・監視していたのは、佐世保・海自第2護衛隊群所属の護衛艦「たかなみ」や「ちょうかい」「くらま」だった。
同時に米海軍の艦艇も出動。日米は連携して監視活動を続けていたと見られる。そこにロシア海軍の情報収集艦と見られる艦艇1隻が遅れて現れた。
▼太平洋上の中共艦隊:日時不明(統幕HP)
日時と詳細な状況は明かされていないが、産経新聞の独占記事によると中共側がロシア艦艇を挑発。艦載ヘリを接近させたうえ、艦艇の上空を周回飛行したという。
中共艦隊には、ロシアが売却したソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦3隻が参加。ロシア側は、同駆逐艦の運用形態などを把握する目的があった模様だ。
▼ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦6月22日(共同)
中共海軍ヘリによる異常接近は、海自艦艇に対して繰り返されているが、ロシア海軍への威嚇行為が各国監視の中で行われたケースは初めてだ。現場海域は当時、4ヵ国の艦艇が集まり、緊迫していた。
中共とロシアは協調することも多いが、7月にも進水する中共初の空母「ワリャーグ」艦載機をめぐって紛糾。ロシアはSu-33の売却を拒絶した他、中共海軍の遠洋進出に警戒感を強めている。
▼大連港で修復進む空母ワリャーグ2月(共同通信)
そして今回の大規模訓練に神経を尖らせた国が、もう1ヵ国あった。南シナ海侵略で中共との関係が悪化するフィリピンだ。昨年までの2年間、中共海軍は沖ノ鳥島周辺の海域で大規模訓練を強行した。
▼中共艦隊のルートと訓練海域(産経新聞)
とろこが今年、沖縄・宮古島間を抜けて中共艦隊が向かったのは、フィリピン・ルソン島の近海だった。中共艦隊は、反発するフィリピンを脅す狙いで進路を変えたのか…
訓練海域決定の経緯は不明だが、直後の6月23日に開かれた米比外相会談では、中共との武力衝突も視野に入れた同盟関係の強化で合意。共同会見でデルロサリオ比外相は、こう宣言した。
「我が国は小国だが、裏庭で発生するいかなる攻撃的な行為に対しても、必要とあらば立ち向かう準備ができている」
▼共同会見する米比外相6月23日(AFP)
比海軍は就役から60年以上の旧型フリゲートが旗艦という有り様だが、外相として堂々たる発言だ。最強レベルのイージス艦を持ちながら、中共に屈服する民主党政権とは比較にならない。
一歩退けば、中共は一気に踏み込んで来る。菅政権は昨年の侵犯船事件で取り返しのつかない失態を犯したのだ。そして、あの“無罪放免”から9ヵ月、再び仙谷由人を死地に誘う審判が下された。
【暴力船長4容疑で起訴相当議決】
シナ侵犯船の主犯・詹其雄に対し、那覇検察審査会は6月22日、新たに「起訴相当」と議決した。今度は、外国人漁業規制法違反など3つの容疑である。
強制起訴に繋がる2度目の議決ではない。別の容疑事実に関する判定で、4月18日に出た公務執行妨害罪の「起訴相当」議決と異なり、都内の男性が5月に審査を申し立てたものだ。
「外国人漁業の規制に関する法律違反及び『よなくに』と『みずき』に対する建造物等損壊並びに漁業法違反について、本件各不起訴処分は不当であり、起訴を相当とする」
▼漁網を引き上げるシナ侵犯船9月7日
議決要旨の冒頭には、そう記されている。公務執行妨害についても審査が申し立てられていたが、4月に議決が出ていることから却下。また13人のシナ人乗組員は悪質性が低いと見なされた。
起訴相当の議決は全て詹其雄に対するものである。4月に出た公務執行妨害を含めると計4件の容疑でクロ。9ヵ月前、詹其雄のピースサインに髪の毛を逆立てた日本国民にとって痛快極まりない展開だ。
▼全4件で起訴相当“達成”した詹其雄(新華社)
今回、那覇検審による議決要旨を入手することが出来た。この議決に関して報道各社はベタ記事レベルで扱っているが、内容は前回と同様に興味深く、事件の知られざる側面が浮かび上がってくる。
「海上保安官が本件漁船に立入後、漁獲物の調査を行っていること、『よなくに』の乗組員の報告によれば、衝突される前に立入検査を行うか検討していたと述べていること」
これは最も地味ながら意外だった漁業法違反に関する記述だ。焦点は立入検査忌避についてだが、否定する検察に対し、検審メンバーは事実関係から立入検査の実施も目的に停船を求めたと導き出した。
▼乗組員を抑えシナ侵犯船を制圧9月7日
確かに昨9月7日の事件発生直後は、海上保安官12人が立入検査忌避の漁業法違反容疑で捜査していると報道されていた。それが検察の取調べの過程で、なし崩し的に不問となったのだ。
参照:時事通信9月7日『中国漁船が海保巡視船に衝突=尖閣付近海上、警告に逃走図る-けが人なし』
発生時の海保の捜査方針を再発掘し、検察の異常性を解き明かす検審の鋭い指摘である。更に、検審は詹其雄の前科にも迫っていた。
【被疑者を庇い、人命尊重を放棄…】
「記録上、日本領海内の魚釣島付近で本件以外にも違法操業をしたことがあり、被疑者は、海上保安庁の巡視船に拿捕されることはなく、射撃をされることもないと考えた上で日本領海内で違法操業しているので、その態様は悪質である」
被疑者とは詹其雄を指す。検察が外国人漁業規制法違反で「特に悪質ではない」と裁定したことに異議を唱えているのだが、文言にある「記録上」とは何を示すのか…
▼巡視船前方を横切る「閩晋漁5179」
「閩晋漁5179」が過去に違法操業をしていた記録が海保に残っていたと考えられる。検察側は海保から資料の提供を受けながら、握り潰した可能性も浮上した。検審による非常に重大な指摘だ。
「海上保安官撮影による動画を見る限り、被疑者が、故意に本件漁船を衝突させたことは明らかであり、この意味で当該行為は悪質である」
▼市販ビデオカメラで撮影中の「みずき」乗組員
残る容疑の建造物等損壊について検察は「咄嗟の行動で被害は軽微」と裁定したが、検審は「納得できない」として猛反論。その視点は、検察官の“非情ぶり”を浮き彫りにするものだった。
「特に『みずき』に対する衝突行為は、巡視船及び本件漁船の乗組員をも危険にさらす無謀なものであり、『みずき』の損傷の程度も大きい」
双方の乗組員のリスクを同列で見詰めた衝撃的な指摘。つまり検察は詹其雄を庇う余り、人命尊重の立場を放棄したと言うのである。それは司法に携わる人間が決して越えてはならない一線だ。
▼石垣港で寛ぐシナ人乗組員9月9日(新華社)
侵犯船事件について多くの識者が様々な論評を加えたが、こうした視点は寡聞にして知らない。無作為で検審メンバーに選ばれた一般市民の知恵に驚く。
【国民の常識が糾す仙谷の政治圧力】
今年1月、侵犯船事件の捜査終結を宣言した検察は、尖閣海域で操業するシナ漁船が激減したと胸を張った。それに対しても検審は議決文の最後で批判し、さらに海保の対応能力にも言及している。
「中国の漁業監視船が尖閣諸島の本邦領海付近に接近したとの報道が多くなされており、今後の紛争が懸念される。当検察審査会は、本邦領海警備のために日々苦労している海上保安官の権限強化を望むものである」
尖閣周辺に出没するシナ漁船は斥候で、母船は武装監視船だ。検審が指摘する通り、詹其雄の釈放直後から相次いで漁政シリーズが接続水域に侵入。中共海軍機が初飛来するなど状況は確実に悪化した。
▼尖閣海域上空の中共情報収集機3月(空自撮影)
そして海上保安官の権限強化とは、詹其雄が追跡されても逃げ切れると想定していたことを踏まえたものだ。巡視船による船体射撃はハードルが高く、それが2度の体当たり攻撃を引き起こす結果を招いた。
今回の議決も徹底した検察批判で貫かれ、論旨も明快だ。何故、そうなったのか…改めて考える必要はない。これが侵犯船事件に対する国民の常識的な判断なのだ。
▼那覇検審が入る沖縄地裁支部(FNN)
間違っていたのは検察だった。そして那覇地検の検察官も非常識な裁定を下したことを承知していた。政治圧力による釈放措置が、今年1月の論理破綻した不起訴処分に繋がった。
4月の起訴相当議決と同様、ここで真に批判されているのは、釈放劇の黒幕=仙谷由人と隷従した検察庁上層部。「仙谷有罪」の審判が下ったのである。
▼官邸を仕切っていた往時の仙谷11月(産経)
その容疑は、外交や法のシステムを歪め、破壊しただけではない。中共海軍を増長させ、将来的に国家と国民を危機的状況に陥れる大罪だ。
〆
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参照:
統合幕僚監部HP6月23日『中国海軍艦艇の動向について』(PDF)
参考記事:
■産経社説6月24日『再び「起訴相当」 主権揺らぐおざなり対応』
■共同通信6月22日『中国船長、艦船損壊も起訴相当 尖閣事件で那覇検審議決』
■読売新聞6月23日『尖閣沖衝突の中国船長、建造物損壊も起訴相当』
■毎日新聞6月23日『中国漁船衝突:船長は起訴相当 那覇検察審議決』
■朝日新聞6月22日『中国人船長、別の容疑でも「起訴相当」那覇検審』
■産経新聞6月24日『中国ヘリがロシア艦に接近威嚇、フィリピン東方海域』
■産経新聞6月24日『東シナ海から危険な高波、中国が無人機、海上戦闘能力を誇示』
■産経新聞6月23日『中国の無人航空機を初確認 中国海軍、太平洋上訓練で』
■読売新聞6月23日『無人機飛行や夜間訓練…中国艦艇の太平洋上活動』
■CRI5月8日『無人ヘリコプター、試験飛行に成功』
■産経新聞6月14日『中国海軍、フィリピン東方海域まで進出 米軍戦略拠点グアム島にらみ「示威行動」か』
■NHK6月23日『統幕長 中国海軍の活動は拡大』(魚拓)
■NHK6月23日『中国艦隊の通過 初めて撮影』(魚拓)
■ロシアの声6月10日『中国海軍の拡大はどのような影響を与えるか』
■AFP6月24日『米国、フィリピン海軍に装備支援 南シナ海めぐり中国をけん制』
この記事へのコメント
東京電力福島第1原発で進められる事故収束作業に従事したはずの作業員69人の所在が分からなくなっている。臨時雇用が終わって連絡が取れない人がいるとみられるが、偽名登録が疑われるケースも目立つ。原発への立ち入りは厳重な管理が求められていることもあり、専門家からは「テロ対策上の不備をさらけ出した」との批判も上がる。(原子力取材班)
「当該企業に確認したら、そんな人物はいないとのことだった」
今月20日夕、作業員の被曝(ひばく)状況を説明していた東電の松本純一原子力・立地本部長代理からこんな言葉が漏れた。
(略)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110624/dst11062421260024-n3.htm
今まで不自然な程、東電の失敗や基本的ミス、機械の不具合等が重なっておりました。
また、民主党政府の失態を、東電に一部責任転嫁した疑いが、極めて濃厚と言わざるを得ません。
原発の恐怖感を煽り立てて今一番得をするのは、一体どこの誰なのでしょう?
もう、お分かりですね。
前々回のコメントにも書きましたが、南シナ海や東シナ海におけるシナの狼藉の狙いには何ら変わるところがない。違うのはその狼藉に対する各国の対応だけ。シナの脅威に対して「いかなる攻撃的な行動をもとる用意がある」とするのがフィリピン。航海上という理由で抗議すらしないのが日本。これでは先行きの結論は見え見えです。
中共海軍も仙石も、海上保安庁の武器使用だけではなく、自衛隊の交戦権をも実現させるために協力してくれているのではないでしょうか?
普通は、一歩退けば敵はその中に踏み込んできます。ソレがまともな外交です。
ただ、日本人にはその常識が通用しません。ぎりぎりまで我慢しますが限度を超えると、100歩押し返します。
仙石のような日本のサヨクもシナも、結局は日本が100歩、シナや朝鮮を押し返すことができるための準備をしているのではないでしょうか。
仙石のようなサヨクさえ、神の見えざる手のうちにある道具に過ぎないのです。
日本や欧州など5か国・地域で進めていることが28日、明らかになった。 中国は日独などからの供与技術をもとに「中国版新幹線」の車両を開発しており、
国際的な特許紛争が起こる可能性が出てきた。 同日付の中国英字紙「チャイナ・デイリー」が中国政府高官の話として報じた。 中国が特許申請の手続きをしているのは、日本、米国、ブラジル、ロシア、欧州。 車両の台車や先端部分など計21件の手続きを進めており、
このうち8件は予備段階の審査をすでに通過したという。 中国は、日本、ドイツ、フランス、カナダの4か国の企業から技術供与を受け、高速鉄道の車両を製造した。関係者によると、中国に供与した技術は、中国国内での使用に限定する契約になっているという。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110628-OYT1T00623.htm
http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000001106280004
一般職国家公務員の手当増額など特例を設ける規則を同日付で施行した。
震災発生の3月11日にさかのぼって適用され、
福島第1原発の原子炉建屋内で活動した場合は、日額最高4万円が支給される。
被災地で活動する自衛隊員の手当は既に増額されている。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011062900343
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110629-00000026-jij-pol
午前11時47分から同50分まで、二階尚人駐ガーナ大使。同56分、執務室を出て、同57分、官邸発。同59分、東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急着。同ホテル内の中国料理店「星ケ岡」で枝野幸男官房長官、蓮舫首相補佐官と食事。
午後6時40分から同7時10分まで、寺田学民主党衆院議員。同12分、執務室を出て、同13分、官邸発。同21分、東京・赤坂のすし店「赤坂 石」着。秘書官らと会食。寺田氏同席。
午後9時7分、同所発。同16分、東京・六本木の焼き肉店「大同苑」着。国家戦略室スタッフと食事。
どこぞのブログで同じ様なご説を窺った様な気がしますね。 自衛隊200万人体制でっか? アホな・・。 近代戦争って白兵戦じゃないんですよ、人数だけ増やしてドゥするんですか? それに、日本の軍事は歴史的には陸軍主体かもしれませんが、世界的に看れば明らかな海洋国です、当然海軍力主体の軍備整備が正解です、それなら、兵の数では無く、装備の充実と其れを扱う人間の教育・訓練の方に予算を割くべきだというのは当然です。
貴方の主張を読んで居れば、何か、日本人が誤った方向へ進む様に焚きつけて居るダケの様に感じます、存在が違憲か合憲かというレベルにあった自衛隊に、200万人の増強の絵を描くのは、如何にも非現実的ですよね、大陸侵略でも企てて居るんですか? 嘗ての朝鮮人の様に。
日本がシナ大陸に進出して何か良い事が有りましょうか?朝鮮・シナでの過去の惨憺たる顛末を知れば、「無い」と断言できると思います。 日本は軍隊と共に大勢の開拓民も送ったのですよ、軍隊は寧ろその開拓民を護るためだったとさえ言えると思いますがね。 何も無かった草原を一面の麦畑、高粱畑にしたり、低湿地や沼を田んぼに変えたり、彼らが事実上開拓者だったと云う事は史実に明らかです。
それを、強盗扱いしたのは、戦後の日本人でしょう。 五味川純平などその筆頭です、開拓者日本人の血と汗を嘲り、その虐殺を手を打って喜んだ売国奴です。
日本人は大陸に進出するべきではありません、強大な陸軍国になる必要も無い。 是が私の意見です。