薮の中の“野田・谷垣怪談”…敗者連合誕生の白昼夢

与野党党首のダブル嘘か、世紀の大誤報か…メディア横並びの野田・谷垣の極秘会談報道。そこには衆院選以後を睨んだ“敗者連立政権”の種火が見え隠れする。
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「野田佳彦首相が、自民党の谷垣禎一総裁と週末の25日に首相公邸でひそかに会談していたことが29日、分かった。複数の関係者が明らかにした」

産經新聞ウェブ版の一報に目を疑った。3月1日未明のことである。この記事によると「野田・谷垣極秘会談」は2月25日午後、サッカー日本女子ユース東北選抜メンバーが公邸を訪問した後だという。
▼選抜メンバー迎える野田2月25日(代表)
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ウェブ版にアップした時刻から1面用のスクープと想像したが、最初の報じたのは29日夜のNNNだった。更に続々と報道各社も「極秘会談」を報じ始める。

「野田首相と自民党の谷垣総裁が2月25日、極秘に会談していたことがわかった」

NNNに次いでFNNが29日の夜刊で報道。会談場所は公邸ではなく、都内のホテルで、藤村修も同席したとしている。産経の一報を除き、各社が伝える会談場所は「都内ホテル」で一致する。
▼FNNの第一報2月29日深夜
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「25日に都内のホテルで会談していたとの臆測が29日、与野党内を駆け巡った」

時事通信が最初に報じたのは、3日零時過ぎ。「憶測が駆け巡った」という曖昧な表現だ。それが約40分後の続報では、断定に変わる。記者が裏を取ったのである。

「都内のホテルで極秘に会談していたことが分かった。複数の関係者が29日、明らかにした」

共同通信もほぼ同時刻に記事を配信し、朝までに毎日新聞、読売新聞が断定的に報道。大きく出遅れた朝日新聞も1日午後に「会談していたことがわかった」と伝えた。

主要な報道機関が横並びで「極秘会談」が行われたと報道したのだ。ところが当事者の2人は、会談事実・報道記事を明確に否定する。異例の展開だ。

野田と谷垣が揃って嘘を付いているのか、それとも各社横並びの世紀の大誤報なのか?

【忍者訪問のネタは明かせない】

現在の定説では「極秘会談」の舞台は都内のホテルだった。当日の動静記事によると野田は正午前から約1時間、虎ノ門のホテルオークラ内の日本料理店で藤村と会食をしている。

この席に谷垣総裁が現れたとの観測がある一方、ホテル内の別の場所で密会したとの情報もある。2月25日は日曜だったが、総理番の記者はどこに行っていたのか…
▼ホテルオークラを出る野田2月25日(FNN)
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FNNのカメラは、ホテルオークラを出て公用車に乗り込む野田の姿をキャッチしていた。少なくともカメラクルーはホテルロビー附近に控えていたのだ。

そんな所に谷垣がノコノコとやって来たら、極秘会談にならない。各社の報道が事実であれば、谷垣は誰にも気付かれず、ホテル内に侵入し、去ったことになる。そんな忍者みたいこと出来るのか?

報道各社とも、その重要な点にツッコミを入れていない。白昼のミステリーなんだが、種を明かせば、何ということもない。実は、ホテルにはVIPが利用する秘密通路があるのだ。
▼公用車に乗り込む野田2月25日(FNN)
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館内の案内図などには決して記載されない秘密通路&エレベーター。都内の主要な老舗高級ホテルには、こうしたイリュージョンな仕掛けが用意されている。

余談だが、ここで解説者をめぐるTV局同士の“争奪戦”を紹介しよう。かつて上海列車事故が起きた際、現地の状況を解説できる鉄道専門家が当時日本国内になんと1人しか見当たらなかったという。

某局がこの専門家を確保し、都内のホテルに24時間以上“監禁”。そこで、ホテルに知り合いがいる別の局のディレクターが秘密通路から部屋に接近して拉致を試みた…という逸話を聞いたことがある。
▼進入口多数&別館からの通路もある
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結果がどうだったのか、そのホテルがどこだったのか忘れたけど、マスコミ的には高級ホテルにシークレット・ルートがあることを公言しちゃダメなんだろう。

ともあれ「極秘会談」報道は“忍者訪問”が前提になっているが、谷垣自身は完全に否定。これが今後、どう推移して如何なる結果を招くのか…そして、野田も軽い火傷を負いかねない。

【虚偽答弁連発は許されない】

「わが家におりました。会っていない。それだけです」

3月1日の会見で谷垣総裁は、そう明言した。問題の2月25日は自宅に居たと言うのだ。もし会談の明白な証拠が示されれば、党内から突き上げを受け、窮地に追い込まれる。
▼記者会見で否定する谷垣3月1日(FNN)
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総選挙を睨み、自民党内で“谷垣降ろし”の動きがある中、極秘会談に参加して尚かつ嘘を付いたとなれば、致命的。一方の野田も似たり寄ったりの状況である。

「会っていません」

報道が噴出した直後、記者団の問い掛けに対して野田佳彦も、そう投げ返した。4日に出演した日テレの番組でも改めて否定。しかし野党党首と違って、総理の捏造発言は重大だ。
▼「バンキシャ」出演の野田3月4日(時事)
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国会質問で否定した後、事実が明らかになれば虚偽答弁となる。民主党政権は2年前に虚偽答弁を容認する驚愕の政府方針を示した。その時メディアは封殺したが、世論は「総理の嘘」を許さないだろう。

与野党党首2人が否定する中、報道各社は「会談の真偽」を飛び越して具体的な会談内容にまで踏み込んでいる。そこまで情報源は信頼に値するのか…
▼衆院予算委で答弁する野田3月1日(産経)
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各社の報道に登場する「極秘会談を明かした複数の関係者」は余りにも漠然としている。“リーク元”は官邸筋とも野田側近議員とも囁かれるが、今回の報道で打撃を受けた勢力は明らかだ。

「2人にとっても何も良いことはない。なぜコソコソ会うのか」

露骨に不快感と警戒感を露にしたのは、小沢一郎被告だった。いわゆる「話し合い解散」を嫌う民主党内の被告グループは、脊髄反射で発狂。会談の真偽を問うことすら忘れる慌てぶりである。

そして、被告陣営が最も恐れているのが、会談をめぐる一部報道で浮上した「小沢抜き連立」だ。

【被告抜き大連立の影と陰】

消費増税法案の成立に向けた水面下の動きは、昨年末から藤村修ー大島理ルートで進んでいたとも言われる。その妥協案の一つが「話し合い解散」だが、この時期に党トップが直談判する必要があったのか?

党首同士がサシで会うとすれば、解散後の大連立がテーマとなる可能性が高い。平成19年秋に福田・小沢「大連立会談」をセットし、平成22年末にも連立工作で蠢いたのが、平成の大老害・渡邊恒雄だった。
▼小沢・福田“大連立”会談H19年11月(AFP)
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特に一昨年末の連立工作で渡邊は、小沢抜きの民・自野合を模索したとも言われる。そのシナリオと今回の極秘会談報道の効果がオーバーラップする。

2月29日夜に「極秘会談」をスクープしたのは、NNNだ。読売新聞でないところがミソなのだが、後追いした各社に比べてNNNの表現は、堂々としていた。

「都内のホテルで約1時間、極秘会談を行っていたことが、日本テレビの独自取材でわかった」
▼大連立に関する読売の微妙な解説
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誤報であっても「明かした関係者」に責任を押し付けることが難しい確信表現である。報じたのは午後8時55分からのミニ・ニュース枠。締め切りまでに新聞各社が後追いできる時間帯でもある。

この“ナベツネ暗躍論”は推測というより妄想の域なのだが、悪夢の民自大連立は、最低のパターンとして有り得る。衆院選後の敗者連合だ。結果として大多数の有権者を裏切ることになるかも知れない。
向否定の谷垣会見3月1日(FNN)▼真っ
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次の総選挙で第三極が躍進することは各種の世論調査からも確実だろう。民主党が激減し、自民党も伸び悩む一方、第三極が多くの議席を獲得…そんな展開でも、新たな政権の運営で鍵を握るのが参議院だ。

【“参院支配”が奇形連立を導く】

現在の参院会派は、民主党系が104、自民・たちあがれ日本系が86で、実に定数の約80%を占める。この数は来夏の参院選まで変わらず、第三極勢力は、いずれかの会派と組むしか道はない。
▼3月4日現在の参院主要会派(参院HP)
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日本新党は、平成4年夏の参院選で僅かながら議席を獲得した後、参院での地盤固めを始め、最大野党の社会党も巻き込む。翌夏の衆院選の結果だけで、細川連立政権が誕生することはなかった。

ただし、参院側で社会党が協力に転じただけでは、まだ数が足りない。連立政権発足には自民党の大分裂が欠かせなかった。今回も第三極勢力が政権を奪取するには、民主・自民からの大量離脱が必要だ。
▼QT前に握手する野田・谷垣2月29日(共同)
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果たして、次期衆院選を前に同様の分裂が起きるのか…期待するだけも損のような気がする。自民党内で執行部批判が過熱しても、反増税を掲げて複数の議員が党を飛び出すまでには至らないだろう。

同じように民主党内の被告派も掛け声は勇ましいが、最終局面でヘタれることは昨年の内閣不信任決議騒動で証明済み。増税法案決議の際は、自主投票&小沢欠席でお茶を濁す。
▼会期中も地方行脚の被告3月5日(産経)
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「話し合い解散になれば、我々は帰って来られない」

極秘会談報道を受け、被告グループの会合で山田前農水相は、そう嘆いたという。壊滅的打撃か消滅の危機だ。それでも、次期総選挙で自民党と民主党が共に2桁で終わることはない。
▼外国プレス向けの会見3月3日(ロイター)
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ほぼ全選挙区で候補者を立てる両党は、現行の小選挙区比例代表並立制では一定の議席を得ることができる。参院の議席配分からも、例え衆院選で惨敗しても民主党と自民党が組めば、政権運営は可能だ。

しかも、消費増税推進で一致する既存メディアは、醜悪な“敗者連合”を歓迎するに違いない。横並びの極秘会談報道には、そんなメディアの思惑も透けて見える。



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参考記事:
■NNN2月29日『野田首相と自民党・谷垣総裁が極秘会談』
■産經新聞3月1日『野田-谷垣、週末極秘会談 話し合い解散模索か?』
■時事通信3月1日『首相と谷垣氏、極秘会談情報=両者とも否定』
■時事通信3月1日『首相と谷垣氏が極秘会談=2月25日、消費増税めぐり』
■読売新聞3月1日『首相、谷垣氏と極秘会談…消費税・解散で協議か』
■読売新聞3月2日『小沢氏「どうなんだろうな」…極秘会談に』

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