武漢ウイルス逆流宣伝の荒唐…大博打でベットする習近平

春節でアウトブレイク地帯に里帰りした支那移民の土産だったのか…伊の死者急増に伴い、中共が始めたデータ再調整。習近平は感染逆流の“被害国”を強調するというギャンブルに打って出た。
写真は3月16日、上海中心部で撮影(2020年 ロイター.jpg

「突然大きな音が鳴り、爆発と思ってベランダに出てみると向かいのホテルが即座に崩れた」

近隣住民は、そう語った。3月7日夜、福建省泉州市にあるホテルが、轟音と共に崩壊した。このホテルには、武漢ウイルス感染が疑われる者が収容されていたという。

数階建のホテルは区画の内側方向に倒れ、正面の道路は瓦礫もなく、綺麗なままだ。感染者の“爆破処理”という説も一部で飛び交ったが、注目すべき点はそこではない。
▽倒壊したホテル改装隔離施設3月7日(共同)
7日、倒壊した中国福建省泉州市内のホテル=短文投稿サイト「微博」から(共同).jpg

崩壊した際、隔離施設内には70人余りが居た。湖北省や温州市、南鮮などから来た者で、陽性・陰性が確定する間、ここに収容されるという。医療スタッフと疑似症患者の内訳は不明である。

どうも計算が合わない。中共当局が示す福建省の感染者数は3月8日の時点で延べ296人。人口4,000万人に対し、感染者数はごく僅かで、しかも2月末から新しい感染は報告されていない。
▽支那大陸感染マップ3月8日分(日経)
日経3月8日時点の支那感染マップ.png

当局発表によれば、泉州市で判明した感染者は累計47人で、全員が治癒しているという。同市の人口は約850万人で、8,700人以上が感染した伊・ロンバルディア州の人口よりやや少ない程度だ。

更に、疑似症患者の中に湖北省から来た者が含まれるとの説明も矛盾に満ちている。武漢市は1月23日に電撃封鎖され、隣接する13の市も1月24日までに移動が厳しく制限された。
▽封鎖された武漢の高速入口1月25日(AFP)
AFP125封鎖の武漢高速入口.jpeg

都市封鎖から1ヵ月半が経過した中で、泉州市に湖北省から来た者が、確定診断もなく隔離される…封鎖が湖北省全域に拡大されてからも既に2週間が過ぎていた。

ホテル倒壊を中共メディアが報じたのは、“爆破処理”の噂拡散を防ぐ為だったと見るが、慌てて下手を打った。全員が治癒したにも拘らず、泉州市では病院の他に隔離施設を作る必要があったのだ。
▽倒壊した隔離施設の隠蔽作業3月8日(共同)
中国福建省泉州市のホテルの倒壊現場=8日(共同).jpg

泉州市の総感染者数47人も福建省の296人も少なすぎる。中共当局によるデータ偽装は、最悪のタイミングで発生したホテル倒壊で暴かれた。そこに、欧州の実証データが追い討ちを掛ける。

【支那系移民大国の因果律】

僅か4日間で武漢ウイルスは1,000人を超すイタリア人の命を奪い去った。北部でのアウトブレイク発生から3週間余りで伊全土の感染死者数は2,000人を上回った。
▽伊北部国境の体温検査テント前3月10日(ロイター)
3月10日、イタリアとオーストリアの国境で、体温測定するテントの前で車を誘導する警官(ロイター).png

イタリアでは2月6日に武漢から戻った男性の感染が確認される。その後、上海帰りの友人と接触した30代が感染爆発の源になったペイシェント・ゼロと見られていた。しかし、友人は陰性だった。

当初、この友人は感染後に回復したと考えられていたが、推定でしかない。異様なスピードで感染が広まる中、ミラノの専門家チームも「最初の1人」を割り出す余裕がなく、半ば匙を投げる。

「現時点では感染拡大の抑制に努めており、患者ゼロ号を探すことには余り力を入れていない。患者ゼロ号が感染したのは、かなり前であり、突き止めるのは困難だ」
▽伊北部の感染者治療施設3月13日(ロイター)
13日、イタリア北部ブレシアにある病院で治療を受ける新型コロナウイルス感染者ら(ロイター).jpg

ペイシェント・ゼロの追跡は重要と思えるが、歯切れが悪い。イタリアはEUが提示した財政緊縮策を受け、医療費を大幅削減。医師・看護師が不足し、病院のベッドは直ちに満杯になった。

典型的な医療崩壊である。内外のメディアはイタリアの混乱ぶりを詳細に伝えるが、アウトブレイクの原因には迫らない。その背後には、伊政府を始め、安易に踏み込めない領域があった。
▽習近平を迎える伊コンテ首相'19年3月23日(AP)
ローマを訪問した中国の習近平国家主席(右)。コンテ首相との会談で、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の協力に関する覚書に著名した(3月23日撮影)=AP.png

伊・コンテ首相は昨年3月、習近平をローマに迎え、G7諸国では初となる“植民地ベルト構想”への参画を表明。関係強化に伴い、支那人観光客も増え、年間600万人台に達したという。

支那人観光客が蔓延の下地になった可能性を示唆する専門家もいるが、それは我が国や欧米も同じだ。イタリアは古くからの移民大国で、支那系住民は約40万人に上る。
▽ミラノ暴動で警官隊威圧する支那移民’07年4月(AP)
capt.mil10304121722.italy_clash_mil103.jpg

2007年4月には、ミラノで支那人暴動が発生。些細な駐車違反が大規模デモに発展し、街は五星紅旗で埋め尽くされる。えらく昔の記事だが、拙ブログでは暴動と支那人流入の経緯を辿った。

参照:H19年4月15日エントリ『ミラノ支那人暴動の異様…中華街=ミニ国家の危険性』

我が国も米国も支那人移民大国である。また東南アジアの一部には華僑が多く暮らす。だがイタリアの場合は、支那人の出身地別構成で他の国と特徴的な偏りがあった。

【春節里帰り移民の“温州土産”】

中共は1月末に国内外の団体ツアー旅行を禁じた。観光客流入が止まる中、なぜ少し遅れて伊で蔓延したのか…その手掛かりとなる推論を台湾国の元台南県長・蘇煥智氏がSNSで提示した。

「繊維産業の街プラートの多くの工場経営者と働き手は、チャイニーズです」
▽アパレル系工場が集中する伊・プラート(FB)
イタリアのミラノの生産都市プラート.jpg

フィレンツェ北西にある人口20万人程のプラートには繊維・皮革工場などが集中し、イタリアン高級ブランドを下支えしている。激震地のミラノ周辺とは少し距離があるが、関係は密接だ。

プラートには80年代から支那人移民が集まり始めた。その数は、近年激増し、次々に工場を買収。宮崎正弘氏によれば不法移民を含めると8万人を超え、生徒の過半数を支那系が占める学校もあるという。
▽全てが漢字併記のプラートの看板(伊メトロ紙)
伊メトロ資料プラートの看板.jpeg

伊の支那人移民は7割が浙江省温州市にルーツを持つとされる。これは、以前から欧州各地にいた温州人が伊の移民合法化政策を受けて再移住した為だ。潮州人がメーンの東南アジアとは大きく異なる。
▽プラート中心部を行進する支那移民’10年(Flickr)
Flickrプラート行進する支那移民10年.jpg

プラートを侵食した支那移民の中心も温州人だった。温州市は、2月上旬の時点で感染爆発が隠し切れなくなり、我が国も湖北省と同等の「危険レベル3」に引き上げた。

参照:日経新聞2月14日『中国温州市に渡航中止勧告 外務省が感染症危険情報』

「温州人たちは春節の期間中、感染が広がる故郷に帰国した。元からファッション業界にも移民が多く、彼らのネットワークが伊の感染爆発を引き起こした可能性がある」(蘇煥智氏)
▽プラートを“制圧”した支那移民’16年(AFP)
AFP16年Prato is home to one of the biggest Chinese communities in Europe2.png

推定で30万人近い伊在住温州人のうち何割が春節で里帰りしたのか不明だ。今年の春節休暇は1月24日から30日で、中共当局が温州市を封鎖したのは2月2日のことだった。

参照:AFP2月2日『武漢から遠く離れた温州も都市封鎖、買い出しは「2日に1度 各世帯1人」中国』

温州系移民が伊に舞い戻った時期と感染蔓延のタイミングは一致する。伊当局が本格的に調査すべき事柄だが、蘇煥智氏は悲観的な見方を示す。

「伊政府は高級ブランドの価値が下がることを懸念している」
▽プラートの支那人経営工場’13年(ロイター)
ロイター13年プラートの支那人経営工場.png

支那人経営の工場で支那人労働者が生産するミラノ製の高級ブランド。made in italyの正体はmade in chinaに等しかった…伊メディアも、この闇を追及することはないだろう。

【感染輸出国が輸入国に変身】

伊全土での武漢肺炎死者数は3月17日、2,500人を突破した。中共の党認定死者数は3,200人余りで、今月中にも伊が支那大陸を上回る増加ペースだが、それは中共にとって体裁が悪い。

武漢ウイルスが特定の人種・民族に重篤な症状をもたらすというデータはない。人口規模からも、ステルス流行の長さからも伊の死者数が支那全土を追い越すことは不自然である。
▽発生から5ヵ月目に入った武漢3月4日(ロイター)
写真は3月4日中国の武漢で撮影(2020年 ロイター).jpg

「支那本土=349人 香港=299人」

繰り返し、SARSの死者数に関して指摘しているが、これは中共が香港の死者数を下回らないよう操作した結果だ。同様に伊の急増で、中共の死者数カウンターは調整局面に入った。

暫くはSARS当時の胡錦濤方式を踏襲すると見られる。しかし、習近平の手口はもっと悪辣で、薄汚い。新たな感染者数を微増させつつ、内訳を操作するのだ。
▽習近平の武漢視察を垂れ流す街頭モニタ3月10日(共同)
共同3月10日武漢視察を宣伝.jpg

3月17日に党が認定した新たな感染者は21人だったが、うち20人が海外から入国した者だと嘯く。この感染者流入というトリッキーな新方式は、早い段階から布石が打たれていた。

浙江省の衛生当局は3月3日、伊北部から脱出して故国に戻った華僑一族7人が軒並み感染者だったと発表する。詳細は明かされていないが、恐らく感染一家は温州人である。
▽プラートの服飾工場で働く支那人(AP)
AP通信プラートの支那人経営工場.png

中共当局は2月末、我が国等から北京入りした渡航者の隔離を始めた。これは「感染拡大地域」の汚名を着せるプロパガンダと思われたが、想像以上にドス黒い思惑が秘められていた。

中共は武漢市の蔓延から2カ月以上、世界各国にウイルスをばら撒いた。それが今、ウイルスが持ち込まれる“感染輸入国”として被害者ポジションの強調に躍起なのだ。
▽臨時病院撤収の政治宣伝3月10日(新華社)
臨時医療施設「武昌方艙医院」が閉鎖され、治療を終えた最後の患者を見送った後、記念撮影する医療従事者(2020年3月10日撮影).jpg

中共指導部は国内向けに「対ウイルス闘争勝利」を宣伝し、対外的には感染逆流に苦しむ“被害国”を演じる。本末転倒の滑稽な水際作戦は間延びして続くだろう。

だが欧米を始めとする諸国民は、中共の嘘と臭い芝居を黙って受け流すだろうか。既に犠牲者数はSARSとは比較にならない程多い。その中で習近平はギャンブルに打って出たのだ。
▽武漢視察を延々報じるCCTV3月10日(ロイター)
ロイター3月10日視察報道の北京tv.jpg

結果が凶となるか大凶となるか…ノーモア・ベットのコールが響く審判の日は、遠からずやって来る。



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参照:
□蘇煥智Facebook2月27日『義大利為什麼疫情大爆發?』

参考記事:
□ロイター3月3日『アングル:イタリアが「欧州の武漢」に、なぜ感染は広がったのか』
□大紀元3月10日『<武漢肺炎>今こそ中国共産党と決別せよ』
□読売新聞3月12日『イタリア、急速に深化した対中関係が裏目に?「感染拡大の要因」指摘の声』
□ZAKZAK3月5日『【断末魔の中国】新型コロナ感染者、イタリア北部が欧州でも突出して多い理由は…
□JB Press3月14日『「世界で最も安全な場所は中国」自信取り戻す中国人』
□ニューズウィーク3月17日『中国、新型コロナウイルス新規感染者が増加 北京など海外からの入国者の感染が原因
□ゴゴ通信3月8日『中国の新型コロナウィルス患者候補隔離施設が倒壊 これまでに70名が生き埋めに 爆破されたと証言も

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