中共「千人計画」の髑髏杯…膿と肥が溜まるアカデミー
米アカデミズムを震撼させた大物教授の逮捕劇。中共「千人計画」学者の“本職”にFBI捜査のメスが入った。そして我が国は、既に東洋有数の“草刈り場”となっている。
地方の党書記を歴任し、中南海の政争にも関連する幹部候補は時折、話題にのぼる。しかし、アカデミズム畑にいる技術系の中共党エリートは、押し並べて無名だ。
そうした人物の一人に路甬祥(リュー・ヨンシャン)がいる。学生時代に入党し、43歳の若さで科協(中共科学技術協会)の副主席に就任。現在は、序列高位者で構成される党中央委員会に名を連ねる。
▽訪日した路甬祥中共党中央委員(日本学術会議HP)
一枚の写真が見つかった。10年以上前の古いスナップだが、右から2番目が路甬祥で、左に陣取るのは日本学術会議の会長ら幹部達だ。この席で路は、同会議との交流拡大を提言した。
「両機関は、本覚書の範囲内で推薦された研究者を、通常の慣行に従って受入れ、研究プ ログラムの調整や、現地サポートの対応を行う」
日本学術会議が5年前に北京で中共科協と交わした覚書も発掘された。共同ワークショップの開催に加え、科学技術の情報交換も謳われる。これが一方的な情報の提供であることは明白だ。
▽情報提供を約束した覚書(日本学術会議HP)
「それは中国工程院と連携していることになり、最終的には軍事科学院・国防工程研究院と提携していることにつながるということである」
支那ウォッチャーの遠藤誉氏は、そう指摘する。中共科協は表向き民間組織だが、路甬祥の経歴で判る通り、党に支配される。更に近年、中共科協は、最高研究機関の工程院と戦略的提携を結んだ。
▽北京にある指導機関の工程院(RFA)
遠藤誉氏の解説には聞き慣れない組織が相次ぎ登場するが、論旨は明快だ。習近平指導部が’15年に公表した覇権戦略「チャイナ製造2025」に全て動きが連動しているという事である。
【千人計画の米被害額は天文学的…】
「ざっくばらんに言えば、チャイナの技術開発費用を払っているのは、米国の納税者なんです」
米シンクタンク・ハドソン研究所で講演したFBIのレイ長官は、そう指摘した。この講演は、ポンペオ国務長官らが披露した「反CCP演説三本の矢」の一つに数えられる重要なものだった。
▽ハドソン研で講演するレイ長官7月7日(FBI公式)
「チャイナ政府は、いわゆる『千人計画』などを通じ、我々の知識と革新的な技術を本国に持ち抱えるよう科学者を誘惑しています」
レイ長官は、中共による違法な工作活動の実態について赤裸々に語った。その中でも千人計画に関しては、犯罪者や浸透機関の固有名詞を包み隠さず出して、舌鋒鋭く批判した。
「例えば、オクラホマの石油会社に勤めていた科学者のホンジン・タン(Hongjin Tan)も千人計画に応募した1人です。彼は10億ドル以上を盗み取り、有罪判決を受けて刑務所に送られました」
▽千人計画の工作員と露見したタン服役囚(SCMP)
永住権を持つ支那系のタンは’18年末、企業秘密を盗んだ罪で逮捕された。盗まれたのは次世代バッテリー技術で、市場価値に換算すると10億ドルを超えるという。
「テキサスの科学者シャン・シー(Shan Shi)は、潜水艦に関連する海軍の重要な技術を盗みました。彼もまた千人計画に応募し、米国の最先端技術を“消化・吸収”することを約束していました」
6月のヒューストン中共総領事館の閉鎖は、この潜水艦技術スパイ事件が波及したものだ。工作拠点と名指しされたが、メディアが千人計画と関連付けて報道したケースは少なかった。
▽証拠隠滅を図ったヒューストン中共総領事館7月(AP)
米国で千人計画がクローズアップされたのは、最近だ。上院の安保関連委員会が昨年11月に報告書をまとめ、年明け1月にハーバード大生物化学部長のチャールズ・リーバーが電撃逮捕される。
▽巨額の資金を得ていたC・リーバー1月(地元紙)
直接の逮捕容疑は、ペンタゴンの調査官に対し、千人計画参加に関して虚偽の回答をしたというものだった。アトランタにあるエモリー大の生物学者・李暁江も同様の詐欺申告で逮捕された。
またリーバーが助成金を得ていたNIH(米国立衛生研究所)でも中共からの裏資金受領が発覚。6月までに研究者54人が解雇される大騒動に発展した。
▽中共の標的となった米国立衛生研(file)
「米企業、経済全体への潜在的な被害額は計り知れません」
レイ長官は自戒の念を込めて、そう語った。トランプ政権でさえ、千人計画への対処は後手に回り、気付くと焼け野原だったのだ。工作員天国である我が国の風景は、きっと見るに忍びない…
【千人計画参加を自慢する中共同志】
「日本の研究者・学者で、この千人計画にいったい何人参加しているのか、と科学技術系の公的機関に聞いた。すると『10数名だ』とハッキリ言われた」
甘利明元経済再生担当相は10月11日、出演したCXの報道番組で、そう明かした。甘利氏は8月に日本学術会議と千人計画の繋がりをしたことで、一部から注目されていた。
▽報道番組で解説する甘利元大臣10月11日(CX)
米国内の摘発例と比較し、10数名は規模的に多いのか少ないのか微妙である。これまでに判明している千人計画参加学者は、自白を含めて極少数だ。
「日本や米国でタンパク質の構造などを研究していたが、2015年に千人計画に応募して中国に渡った」
産経新聞の佐々木類論説副委員長は今年5月、接触に成功。取材を申し入れたものの、直ちに拒否された。この学者は、東大で特任助教を務めた後、上海の復旦大学に移ったという。
▽千人計画に参加中の同志(NHKより研究目的引用)
佐々木氏は2年前に放映されたNHKの番組で存在を知ったと明かす。記事ではイニシャル表記だが、NHKは実名も顔も晒している。服部素之、オンエア当時36歳の若き学者同志だ。
「22階の一室で暮らすのは、北京理工大教授の日本人男性(70)」
読売新聞5月4日付け朝刊の1面トップを飾った千人計画の独自情報。こちらも匿名扱いだが、本人が自ら表明している。元東工大教授の廣田薫同志だ。
▽中共工程院とも関わる廣田同志(JSPSより学術的引用)
「設備や研究予算について、あまり心配する必要は無い。中国政府の千人計画プログラムで、十分すぎるほどの研究環境が整っている」
廣田同志が自慢気に語っているのが、哀しい。我が物顔で掲載しているサイトは、国立研究開発法人JST(科学技術振興機構)。文科省の所管で、臨海副都心の未来館など箱物も持つ。
同じ文科省所管の独法に日本学術振興会がある。廣田同志は、この振興会の北京研究連絡センター長任命と同時に、千人計画で招聘された。余りにも都合が良く、偶然の一致とは思えない。
▽拠点設置10周年式典の同志ら(JSPSより学術的引用)
北京連絡センターは、千人計画に参加中のもう1人の学者を紹介している。同じ北京理工大の福田敏男同志で、ロボット研究が専門だという。この魔窟センター周辺を掘れば、まだ逸材が出てきそうだ。
ちなみに学術振興会は日本学術会議との緊密な提携が省令で義務付けられている。そのHPに千人計画の詳細ガイドが掲載されていることは、ある種の清々しさも感じる。
実施部門として「中共党中央組織部」が堂々と明記されているのも好感が持てる。隠す気は、さらさら無いようだ。
【中共警戒で地下プロジェクト化】
中共指導部が2008年に打ち出した千人計画は、高レベルの技術系人材収集が目的などと解説される。しかし、実態は中共の優位性を確保する為の覇権戦略の一環だ。
千人計画の構成員は企業や研究機関から高度技術情報を盗み、本国に引き渡す。米で判明した複数の犯罪から真の目的が浮かび上がった。そこで逮捕される間抜けは、捨て駒として廃棄される。
「中国共産党によるこの千人計画は、参加していることを口外してはならないというのが参加受託の条件になっています」
▽参院財政金融委で質問する有村議員6月2日(YouTube)
6月2日の参院財政金融委で自民党の有村治子議員が、千人計画を追求した。秘密参加の条件は、文科省所轄法人が公表する「自慢話」とは矛盾するが、最近になって中共が方針を転換した模様だ。
「かつては日本人のどういう方が千人計画に参加しているか、誇りを持って掲示されていたホームページの情報も全て消されています」
▽文科省所管独法の「千人計画」ガイド
米上院のリポートが契機になったのか、現在は、千人計画の用語を隠す動きもあるという。同時に、中共マネーを喰む反日メディアの中には、千人計画を擁護するプロパガンダ記事も増えてきた。
参照:毎日新聞8月8日『中国「千人計画」を一律に「スパイ作戦」扱いするリスク』
6月2日の質疑は、日本学術会議の“対日協力拒否”を批判したことで再注目されるが、白眉は千人計画の実態把握に関する政府側の答弁だ。文科省の統括官は、こう答える。
「個別具体には把握していません」
「10数名参加」とする甘利情報とは大きく違う。また問題は日本人の学者だけではない。米国の犯行履歴から類推すれば、支那系の技術者が極秘で工作活動に従事している恐れが高い。
「大学の研究機関への外国企業からの寄附や研究費は、各大学や研究機関で管理されていますが、政府への報告義務はありません」
文科省側の答弁は、いかにも無関心な他人事だ。しかし構造は米国も同じで、大学は聖域と化し、当局が迂闊に立ち入ることは出来なかった。中共は、その隙をついて工作拠点を築いたのである。
▽千人計画の関連式典'18年(香港経済日報)
千人計画の全貌把握は米でも始まったばかりで、我が国は端緒にも就いていない。今後の本格的な実態調査に期待を寄せるが、そこには確実に、中共に侵食された暗い荒野が広がっている。
〆
最後まで読んで頂き有り難うございます
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発となります
↓


参照:
□FBI公式サイト7月7日『The Threat Posed by the Chinese Government and the Chinese Communist Party to the Economic and National Security of the United States』
□国立研究開発法人JST(科学技術振興機構)HP’18年11月20日『中国の日本人研究者便り〜東工大から北京へ―躍進する中国の研究環境』
□日本学術振興会HP「中国の科学技術の今を伝えるScience portal China『海外人材呼び戻し政策「千人計画」』
参考記事:
□MAG2ニュース10月9日『中国を擁護か。「千人計画はデマ」というデマを流す日本学術会議』
□JB Press7月15日『科学者を犯罪に走らせる中国「千人計画」の正体(古森義久)』
□WiLLオンライン6月11日『祖国を「中国に売る」人たち~中国「千人計画」の脅威(門田隆将)』
□ZAKZAK9月18日『米国激怒!中国の頭脳狩り「千人計画」 表向きは「ウィン、ウィン」うたうが…実態は“知財の窃取”』
□大紀元6月22日『世界中の頭脳に触手伸ばす中国の「静かなる侵略」「千人計画」の甘い罠(佐々木類)』
□ニューズウィーク10月10日『「日本学術会議と中国科学技術協会」協力の陰に中国ハイテク国家戦略「中国製造2025」(遠藤誉)』
□ZAKZAK10月5日『菅首相は「学術会議の問題点」正々堂々と説明するべきだ 八幡和郎氏緊急寄稿 中国「千人計画」に協力!?』
□大紀元6月16日『米国立衛生研究所、外国政府の資金提供隠蔽で54人を解雇 資金の9割超が中国から』
□大紀元8月3日『米企業機密盗んだ中国人女性科学者、千人計画参加を認める』
□大紀元9月17日『中国「千人計画」参加の米エネルギー専門家に有罪判決』
□NHK’18年『“科学技術強国”中国の躍進と日本の厳しい現実』
□読売新聞1月29日『中国「千人計画」参加隠した米ハーバード大教授を起訴…世界トップ研究者を好待遇招聘』
□WSJ2月3日『中国の人材引き抜き計画、米国で灯る危険信号』
□WSJ2月25日『中国軍の極秘研究やスパイ活動、米大学が隠れみの』
地方の党書記を歴任し、中南海の政争にも関連する幹部候補は時折、話題にのぼる。しかし、アカデミズム畑にいる技術系の中共党エリートは、押し並べて無名だ。
そうした人物の一人に路甬祥(リュー・ヨンシャン)がいる。学生時代に入党し、43歳の若さで科協(中共科学技術協会)の副主席に就任。現在は、序列高位者で構成される党中央委員会に名を連ねる。
▽訪日した路甬祥中共党中央委員(日本学術会議HP)
一枚の写真が見つかった。10年以上前の古いスナップだが、右から2番目が路甬祥で、左に陣取るのは日本学術会議の会長ら幹部達だ。この席で路は、同会議との交流拡大を提言した。
「両機関は、本覚書の範囲内で推薦された研究者を、通常の慣行に従って受入れ、研究プ ログラムの調整や、現地サポートの対応を行う」
日本学術会議が5年前に北京で中共科協と交わした覚書も発掘された。共同ワークショップの開催に加え、科学技術の情報交換も謳われる。これが一方的な情報の提供であることは明白だ。
▽情報提供を約束した覚書(日本学術会議HP)
「それは中国工程院と連携していることになり、最終的には軍事科学院・国防工程研究院と提携していることにつながるということである」
支那ウォッチャーの遠藤誉氏は、そう指摘する。中共科協は表向き民間組織だが、路甬祥の経歴で判る通り、党に支配される。更に近年、中共科協は、最高研究機関の工程院と戦略的提携を結んだ。
▽北京にある指導機関の工程院(RFA)
遠藤誉氏の解説には聞き慣れない組織が相次ぎ登場するが、論旨は明快だ。習近平指導部が’15年に公表した覇権戦略「チャイナ製造2025」に全て動きが連動しているという事である。
【千人計画の米被害額は天文学的…】
「ざっくばらんに言えば、チャイナの技術開発費用を払っているのは、米国の納税者なんです」
米シンクタンク・ハドソン研究所で講演したFBIのレイ長官は、そう指摘した。この講演は、ポンペオ国務長官らが披露した「反CCP演説三本の矢」の一つに数えられる重要なものだった。
▽ハドソン研で講演するレイ長官7月7日(FBI公式)
「チャイナ政府は、いわゆる『千人計画』などを通じ、我々の知識と革新的な技術を本国に持ち抱えるよう科学者を誘惑しています」
レイ長官は、中共による違法な工作活動の実態について赤裸々に語った。その中でも千人計画に関しては、犯罪者や浸透機関の固有名詞を包み隠さず出して、舌鋒鋭く批判した。
「例えば、オクラホマの石油会社に勤めていた科学者のホンジン・タン(Hongjin Tan)も千人計画に応募した1人です。彼は10億ドル以上を盗み取り、有罪判決を受けて刑務所に送られました」
▽千人計画の工作員と露見したタン服役囚(SCMP)
永住権を持つ支那系のタンは’18年末、企業秘密を盗んだ罪で逮捕された。盗まれたのは次世代バッテリー技術で、市場価値に換算すると10億ドルを超えるという。
「テキサスの科学者シャン・シー(Shan Shi)は、潜水艦に関連する海軍の重要な技術を盗みました。彼もまた千人計画に応募し、米国の最先端技術を“消化・吸収”することを約束していました」
6月のヒューストン中共総領事館の閉鎖は、この潜水艦技術スパイ事件が波及したものだ。工作拠点と名指しされたが、メディアが千人計画と関連付けて報道したケースは少なかった。
▽証拠隠滅を図ったヒューストン中共総領事館7月(AP)
米国で千人計画がクローズアップされたのは、最近だ。上院の安保関連委員会が昨年11月に報告書をまとめ、年明け1月にハーバード大生物化学部長のチャールズ・リーバーが電撃逮捕される。
▽巨額の資金を得ていたC・リーバー1月(地元紙)
直接の逮捕容疑は、ペンタゴンの調査官に対し、千人計画参加に関して虚偽の回答をしたというものだった。アトランタにあるエモリー大の生物学者・李暁江も同様の詐欺申告で逮捕された。
またリーバーが助成金を得ていたNIH(米国立衛生研究所)でも中共からの裏資金受領が発覚。6月までに研究者54人が解雇される大騒動に発展した。
▽中共の標的となった米国立衛生研(file)
「米企業、経済全体への潜在的な被害額は計り知れません」
レイ長官は自戒の念を込めて、そう語った。トランプ政権でさえ、千人計画への対処は後手に回り、気付くと焼け野原だったのだ。工作員天国である我が国の風景は、きっと見るに忍びない…
【千人計画参加を自慢する中共同志】
「日本の研究者・学者で、この千人計画にいったい何人参加しているのか、と科学技術系の公的機関に聞いた。すると『10数名だ』とハッキリ言われた」
甘利明元経済再生担当相は10月11日、出演したCXの報道番組で、そう明かした。甘利氏は8月に日本学術会議と千人計画の繋がりをしたことで、一部から注目されていた。
▽報道番組で解説する甘利元大臣10月11日(CX)
米国内の摘発例と比較し、10数名は規模的に多いのか少ないのか微妙である。これまでに判明している千人計画参加学者は、自白を含めて極少数だ。
「日本や米国でタンパク質の構造などを研究していたが、2015年に千人計画に応募して中国に渡った」
産経新聞の佐々木類論説副委員長は今年5月、接触に成功。取材を申し入れたものの、直ちに拒否された。この学者は、東大で特任助教を務めた後、上海の復旦大学に移ったという。
▽千人計画に参加中の同志(NHKより研究目的引用)
佐々木氏は2年前に放映されたNHKの番組で存在を知ったと明かす。記事ではイニシャル表記だが、NHKは実名も顔も晒している。服部素之、オンエア当時36歳の若き学者同志だ。
「22階の一室で暮らすのは、北京理工大教授の日本人男性(70)」
読売新聞5月4日付け朝刊の1面トップを飾った千人計画の独自情報。こちらも匿名扱いだが、本人が自ら表明している。元東工大教授の廣田薫同志だ。
▽中共工程院とも関わる廣田同志(JSPSより学術的引用)
「設備や研究予算について、あまり心配する必要は無い。中国政府の千人計画プログラムで、十分すぎるほどの研究環境が整っている」
廣田同志が自慢気に語っているのが、哀しい。我が物顔で掲載しているサイトは、国立研究開発法人JST(科学技術振興機構)。文科省の所管で、臨海副都心の未来館など箱物も持つ。
同じ文科省所管の独法に日本学術振興会がある。廣田同志は、この振興会の北京研究連絡センター長任命と同時に、千人計画で招聘された。余りにも都合が良く、偶然の一致とは思えない。
▽拠点設置10周年式典の同志ら(JSPSより学術的引用)
北京連絡センターは、千人計画に参加中のもう1人の学者を紹介している。同じ北京理工大の福田敏男同志で、ロボット研究が専門だという。この魔窟センター周辺を掘れば、まだ逸材が出てきそうだ。
ちなみに学術振興会は日本学術会議との緊密な提携が省令で義務付けられている。そのHPに千人計画の詳細ガイドが掲載されていることは、ある種の清々しさも感じる。
実施部門として「中共党中央組織部」が堂々と明記されているのも好感が持てる。隠す気は、さらさら無いようだ。
【中共警戒で地下プロジェクト化】
中共指導部が2008年に打ち出した千人計画は、高レベルの技術系人材収集が目的などと解説される。しかし、実態は中共の優位性を確保する為の覇権戦略の一環だ。
千人計画の構成員は企業や研究機関から高度技術情報を盗み、本国に引き渡す。米で判明した複数の犯罪から真の目的が浮かび上がった。そこで逮捕される間抜けは、捨て駒として廃棄される。
「中国共産党によるこの千人計画は、参加していることを口外してはならないというのが参加受託の条件になっています」
▽参院財政金融委で質問する有村議員6月2日(YouTube)
6月2日の参院財政金融委で自民党の有村治子議員が、千人計画を追求した。秘密参加の条件は、文科省所轄法人が公表する「自慢話」とは矛盾するが、最近になって中共が方針を転換した模様だ。
「かつては日本人のどういう方が千人計画に参加しているか、誇りを持って掲示されていたホームページの情報も全て消されています」
▽文科省所管独法の「千人計画」ガイド
米上院のリポートが契機になったのか、現在は、千人計画の用語を隠す動きもあるという。同時に、中共マネーを喰む反日メディアの中には、千人計画を擁護するプロパガンダ記事も増えてきた。
参照:毎日新聞8月8日『中国「千人計画」を一律に「スパイ作戦」扱いするリスク』
6月2日の質疑は、日本学術会議の“対日協力拒否”を批判したことで再注目されるが、白眉は千人計画の実態把握に関する政府側の答弁だ。文科省の統括官は、こう答える。
「個別具体には把握していません」
「10数名参加」とする甘利情報とは大きく違う。また問題は日本人の学者だけではない。米国の犯行履歴から類推すれば、支那系の技術者が極秘で工作活動に従事している恐れが高い。
「大学の研究機関への外国企業からの寄附や研究費は、各大学や研究機関で管理されていますが、政府への報告義務はありません」
文科省側の答弁は、いかにも無関心な他人事だ。しかし構造は米国も同じで、大学は聖域と化し、当局が迂闊に立ち入ることは出来なかった。中共は、その隙をついて工作拠点を築いたのである。
▽千人計画の関連式典'18年(香港経済日報)
千人計画の全貌把握は米でも始まったばかりで、我が国は端緒にも就いていない。今後の本格的な実態調査に期待を寄せるが、そこには確実に、中共に侵食された暗い荒野が広がっている。
〆
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参照:
□FBI公式サイト7月7日『The Threat Posed by the Chinese Government and the Chinese Communist Party to the Economic and National Security of the United States』
□国立研究開発法人JST(科学技術振興機構)HP’18年11月20日『中国の日本人研究者便り〜東工大から北京へ―躍進する中国の研究環境』
□日本学術振興会HP「中国の科学技術の今を伝えるScience portal China『海外人材呼び戻し政策「千人計画」』
参考記事:
□MAG2ニュース10月9日『中国を擁護か。「千人計画はデマ」というデマを流す日本学術会議』
□JB Press7月15日『科学者を犯罪に走らせる中国「千人計画」の正体(古森義久)』
□WiLLオンライン6月11日『祖国を「中国に売る」人たち~中国「千人計画」の脅威(門田隆将)』
□ZAKZAK9月18日『米国激怒!中国の頭脳狩り「千人計画」 表向きは「ウィン、ウィン」うたうが…実態は“知財の窃取”』
□大紀元6月22日『世界中の頭脳に触手伸ばす中国の「静かなる侵略」「千人計画」の甘い罠(佐々木類)』
□ニューズウィーク10月10日『「日本学術会議と中国科学技術協会」協力の陰に中国ハイテク国家戦略「中国製造2025」(遠藤誉)』
□ZAKZAK10月5日『菅首相は「学術会議の問題点」正々堂々と説明するべきだ 八幡和郎氏緊急寄稿 中国「千人計画」に協力!?』
□大紀元6月16日『米国立衛生研究所、外国政府の資金提供隠蔽で54人を解雇 資金の9割超が中国から』
□大紀元8月3日『米企業機密盗んだ中国人女性科学者、千人計画参加を認める』
□大紀元9月17日『中国「千人計画」参加の米エネルギー専門家に有罪判決』
□NHK’18年『“科学技術強国”中国の躍進と日本の厳しい現実』
□読売新聞1月29日『中国「千人計画」参加隠した米ハーバード大教授を起訴…世界トップ研究者を好待遇招聘』
□WSJ2月3日『中国の人材引き抜き計画、米国で灯る危険信号』
□WSJ2月25日『中国軍の極秘研究やスパイ活動、米大学が隠れみの』
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