遠い戦場が参院選を揺るがす…政治家が憲法語る“快挙”
ウクライナ戦争の砲声に有権者は耳を澄ます。参院選争点をめぐる地方調査で「外交・安全保障」が1位を奪取。改憲議論から逃げ続ける売国野党にとっては悪夢の始まりだ。
「台湾海峡の平和と安定は、我が国のみならず国際社会にとっても極めて重要だ」
岸防衛相は6月12日、中共国防部長・魏鳳和に直言した。約2年半ぶりに開かれた日支防衛相会談。我が国の安全保障環境は、中共側の一方的な“戦域拡大”で悪化している。
▽シャングリラで演説する岸防衛相6月11日(ロイター)
再度5月にも我が国周辺で繰り広げられた中露軍の爆撃機による共同飛行を「示威行動」と批判。中共海軍空母の挑発的な訓練についても重大な懸念を表明した。
5月2日に沖縄本島横を抜けた中共のアドミラル・クズネツォフ級空母「遼寧」は戦闘機の発着艦訓練を行い、回数は300回を超えた。海域は沖大東島の南で、これまで最も我が国の領土領海に近かった。
▽発着艦訓練を繰り返す空母「遼寧」5月15日(産経)
「台湾有事の際、横須賀基地の米空母機動部隊が東シナ海に入らないよう、太平洋側で阻止することを想定した動きだ」
米軍関係者は、そう警戒を強める。同クズネツォフ級は発着艦訓練に先立ち、石垣島の南方を航行し、台湾国に近い海域に留まった。防衛省は、こうした中共空母打撃群の動きが常態化することを憂慮する。
台湾情勢に関しては11日に行われた日米南国防相会談でも共同声明に盛り込まれた。主流メディアは南鮮とのコンタクトに注目したが、重要だったのは、日米豪会談である。
▽会談に臨む日米豪国防相6月11日(時事)
「中国の南シナ海における不法な海洋権益に関する主張及び活動に強く反対する」「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」
日米豪3ヵ国は、共同訓練の強化や防衛装備・技術協力の拡大で一致。労働党政権の誕生で豪の“ハト化”も懸念されたが、今のところ日米豪3軍の連携に支障はない模様だ。
【戦後初の異例な選挙戦争点に刮目】
「ロシアによるウクライナ侵略は、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすもので、断じて認められない」
岸防衛相は、そう力強く述べて中共国防部長を牽制した。一方的な現状変更、侵略に対して曖昧な態度は許されない。シャングリラ・ダイアローグで基調講演した岸田首相も同じ趣旨の発言をしている。
「ルールに基づく国際秩序が守られ、平和と繁栄の歩みを継続できるか。力による一方的な現状変更が堂々と罷り通る、強い国が弱い国を軍事的・経済的に威圧する弱肉強食の世界に戻ってしまうのか」
▽基調講演を終えた岸田首相6月10日(AFP)
岸田演説はロシア非難ではなく、南シナ海・台湾情勢に関する文脈での問い掛けだ。我が国は「歴史の岐路」に直面し、選択を迫られていると説く。
ウクライナ戦争は、台湾国防衛というテーマを突き付けると同時に、我が国の危うい安全保障環境を浮き彫りにした。短期決戦と見られた欧州の戦争は予想と異なり、選挙期間を貫くことになったのだ。
「ロシアのウクライナ侵攻に端を発した、世界情勢の変化が影響しているものと考えられます」
▽要衝セヴェロドネツクの最前線6月8日(AP)
今春、選挙ドットコムとJX通信社が行った共同世論調査で、興味深い集計結果が出た。夏の参院選で重視する政策に「外交・安全保障」と答える割合が急増。電話調査では3位に食い込んだ。
調査は戦争勃発から1ヵ月に満たない頃で、報道量も圧倒的だった。戦況が膠着状態に陥る中、国民の関心も低下すると見られたが、逆だった。
▽3月16日結果公表の電話・ネット調査(選挙ドットコム)
地方紙は小規模ながらも活発に参院選の争点に関するアンケート調査を行なっている。最新と思われる神奈川新聞の調査でも「外交・安全保障」は感染症対策を大きく上回る3位に付けた。
更に調べを進めると、5月末集計の中日新聞では2位。そして6月5日発表の神戸新聞では堂々の首位をマークした。選挙で国防・安保問題は争点にならないという定説を覆す異例の事態である。
▽小サンプルながら戦後初の結果と思われる(神戸新聞)
「今回のウクライナ戦争を見て、多くの日本人が初めて『被害者になるかもしれない』と思うようになったのではないだろうか」(『九条という病』38頁)
西村幸祐さんは新著の第1章にそう記す。私たち日本人が「戦後初めて安全保障に関心を持った」との指摘は、最新の世論調査でも裏付けられた。
【反日陣営の争点捏造が始まる】
「夏の参議院選挙の最大の争点は物価高対策だ」
立憲共産党“副代表”の泉健太は6月上旬、そう決め付けて「岸田インフレ」といったレッテル貼りで参院選に臨む姿勢を見せた。物価安を目指すだけに安っぽいスローガンだ。
支持母体の反日メディアが売国野党の選挙スローガンに相乗りすることは確実。報道番組の街頭インタビューを中心に「物価高に悲鳴」的な偏向編集が行われ、印象操作が続く。
▽候補者調整する立共のツートップ3月18日(時事)
インフレ抑制策については専門家に丸投げするが、金利引き上げなど即効性のある政策は全て毒注射。補助金バラ撒きも次世代にツケを回し、電気料金格安化の原発フル稼働は野党には無理な注文だ。
一方、自民党は6月16日発表の参院選公約でトップに「外交・安全保障」を掲げる。国政選挙の定石から逸れる決断にも見えるが、世論調査の傾向を見る限り、冒険も奇策でもない。
▽自民党参院選公約集より(現代ビジネス)
各種の討論会でも総理総裁、幹事長、候補者は臆せずに国防政策に踏み込んで強く主張すべきだ。安全保障問題は最重要テーマであると同時に、売国野党のウィークポイントでもある。
「『日本国憲法』廃棄と自主憲法制定」「皇室の皇統男系男子を絶対護持」
「新党くにもり」は基本政策の上位に惚れ惚れするようなポリシーを掲げる。「参政党」候補者の演説を動画で拝聴すると、これがまた実に良く、激しく共感する。
▽和歌山市内の参院選啓発看板(毎日)
国防を前面に引き出した自民党の参院選公約は、保守系新党の登場が好ましい影響を与えているようにも見える。昔ながらの左右で判断する際、中心軸が少し動くポールシフト理論だ。
そうは言っても筆者の参院比例区投票先は、佐藤正久元外務副大臣と宇都隆史前外務副大臣のローテーション制で今年は宇都議員。自衛隊出身議員の見識が切望される時世である。
▽ホンジュラス大統領就任式の宇都特派大使1月(外務省)
【唐突に終わった空想的平和論】
「覚書の底流はまさに日本国憲法の前文と同じだ」(前掲書62頁)
『九条という病』で西村幸祐さんは我が国とウクライナの類似点を挙る。’94年のブダペスト覚書でウクライナは、核放棄の見返りとして米英露3国から安全保障の約束を取り付けた。
「諸国民の公正と信義に信頼」したウクライナは裏切られ、戦場と化す。同覚書やミンスク合意の詳細な条文とは別に、溢れる戦争報道で日本国民も多くが開戦に至る状況を学び、危険な匂いを嗅ぎ取った。
▽東部戦線訪れるゼレンスキー大統領6月5日(ロイター)
「張りぼての秩序のなかに収められた経緯が、ウクライナと日本は相似系-国民の生存を他国に委ねる-ということだ」(同62頁)
ウクライナ戦争は遠い欧州からの砲声だったが、ロシアは隣国で伝統的な北方の脅威である。参院選を睨んだ帯広市の集会で麻生副総裁は6月4日、こう話した。
「ロシアの西隣がウクライナで、東隣が北海道だ。ロシアは西に行ったが、東に行かないと誰が保証できるのか」
▽帯広集会で話す麻生副総裁6月4日(十勝毎日)
相変わらず直球のキレは抜群だ。軍事大国の横暴は安保理の機能不全を浮き彫りにし、台湾危機も炙り出した。中東地域における近年の戦争とは全く異なった捉え方が広まっている。
売国野党は国民が抱く危機感を汲み取れず、今も「些細な物価高に喘ぐ貧民」と見下しているのではないか。空想的な平和論を弄ぶ時代は唐突に終わりを告げたのだ。
▽ウ支援物資を欧州に運ぶ空自輸送機3月8日(産経)
先述の争点世論調査でも「憲法」が上位にランクインし、「ジェンダー」とかパヨク臭が濃いテーマを一蹴。自民党の公約7本柱に「憲法改正」が含まれたのも当然の成り行きである。
「他国への侵略が出来ないようにする為の条項が憲法9条なのです」
開戦直後、代々木の序列2位が本音を漏らしたことは記憶に新しい。カルト勢が唱える「9条があるから侵略されない」という教義を革命的に覆す新解釈で、「外国の為の9条」であることを自白した。
▽特亜3国の国益に資する憲法9条(file)
自民改憲案の9条修正は建軍の本義を回復するものとは程遠い。筆者の持論は治安出動、クーデター方式による占領憲法の破棄。政官財・メディアに巣食う反日勢力の一網打尽を望む。
理想と夢想は傍に置き、自民党が参院選で「早期の改正」を打ち出す方針に異議はない。立憲共産党もMPD市民の党も議論の土台に登らないだろうが、逃げの姿勢を有権者に見せ付けることが肝要である。
▽廃墟と化したドンバス地方の街5月25日(AFP)
ウクライナ戦争が継続する中での参院選。改憲論議の絶好のチャンスが到来したのでない。いま憲法問題を政治のテーマにせず、何を討論するのか。政治家が政治に向き合う時が来たのだ。
〆
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【告知】
エントリで引用させて頂いた西村さんの新刊『九条という病』(ワニブックスPLUS新書)が発売になりした。「改憲派vs護憲派」という二項対立の構図に、議論を封じる根源的な問題があるとの指摘は示唆に富んでいて、追及すべき大きなテーマと思えます。

参照:
□防衛省HP6月11日『日米豪防衛相会談共同声明(仮訳)』
□首相官邸HP6月10日『シャングリラ・ダイアローグ(アジア安全保障会議)における岸田総理基調講演』
参考記事:
□神戸新聞6月5日『今夏の参院選、安全保障や経済に関心 ウクライナ情勢が背景、日本への影響を懸念する声多く』
□中日新聞5月31日『【参院選の争点は】「物価高対策」「国防」問う声多く』
□神奈川新聞6月12日『参院選アンケート あなたの争点は? 比例どこへ投じる?』
□現代ビジネス6月14日『【独自】参院選の「自民党公約」22ページを発表前に先出し!強気で憲法改正も打ち出す岸田は大勝するか』
□産経新聞6月9日『<独自>自民の参院選公約全容判明 憲法改正「早期に実現」』
□読売新聞2月25日『志位委員長「他国へ侵略できないようにするのが9条」…「外国攻めてきたらどうするの」と批判』
□産経新聞6月12日『岸防衛相「台湾海峡の平和と安定、極めて重要」 一方的な現状変更の自制を要求、日中防衛相会談』
□産経新聞5月19日『中国空母「遼寧」発着艦が300回超に 官房長官「警戒監視に万全期す」』
□時事通信5月19日『中国空母活動、常態化を警戒 台湾有事想定訓練か―日米試す動きも・防衛省』
「台湾海峡の平和と安定は、我が国のみならず国際社会にとっても極めて重要だ」
岸防衛相は6月12日、中共国防部長・魏鳳和に直言した。約2年半ぶりに開かれた日支防衛相会談。我が国の安全保障環境は、中共側の一方的な“戦域拡大”で悪化している。
▽シャングリラで演説する岸防衛相6月11日(ロイター)
再度5月にも我が国周辺で繰り広げられた中露軍の爆撃機による共同飛行を「示威行動」と批判。中共海軍空母の挑発的な訓練についても重大な懸念を表明した。
5月2日に沖縄本島横を抜けた中共のアドミラル・クズネツォフ級空母「遼寧」は戦闘機の発着艦訓練を行い、回数は300回を超えた。海域は沖大東島の南で、これまで最も我が国の領土領海に近かった。
▽発着艦訓練を繰り返す空母「遼寧」5月15日(産経)
「台湾有事の際、横須賀基地の米空母機動部隊が東シナ海に入らないよう、太平洋側で阻止することを想定した動きだ」
米軍関係者は、そう警戒を強める。同クズネツォフ級は発着艦訓練に先立ち、石垣島の南方を航行し、台湾国に近い海域に留まった。防衛省は、こうした中共空母打撃群の動きが常態化することを憂慮する。
台湾情勢に関しては11日に行われた日米南国防相会談でも共同声明に盛り込まれた。主流メディアは南鮮とのコンタクトに注目したが、重要だったのは、日米豪会談である。
▽会談に臨む日米豪国防相6月11日(時事)
「中国の南シナ海における不法な海洋権益に関する主張及び活動に強く反対する」「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」
日米豪3ヵ国は、共同訓練の強化や防衛装備・技術協力の拡大で一致。労働党政権の誕生で豪の“ハト化”も懸念されたが、今のところ日米豪3軍の連携に支障はない模様だ。
【戦後初の異例な選挙戦争点に刮目】
「ロシアによるウクライナ侵略は、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすもので、断じて認められない」
岸防衛相は、そう力強く述べて中共国防部長を牽制した。一方的な現状変更、侵略に対して曖昧な態度は許されない。シャングリラ・ダイアローグで基調講演した岸田首相も同じ趣旨の発言をしている。
「ルールに基づく国際秩序が守られ、平和と繁栄の歩みを継続できるか。力による一方的な現状変更が堂々と罷り通る、強い国が弱い国を軍事的・経済的に威圧する弱肉強食の世界に戻ってしまうのか」
▽基調講演を終えた岸田首相6月10日(AFP)
岸田演説はロシア非難ではなく、南シナ海・台湾情勢に関する文脈での問い掛けだ。我が国は「歴史の岐路」に直面し、選択を迫られていると説く。
ウクライナ戦争は、台湾国防衛というテーマを突き付けると同時に、我が国の危うい安全保障環境を浮き彫りにした。短期決戦と見られた欧州の戦争は予想と異なり、選挙期間を貫くことになったのだ。
「ロシアのウクライナ侵攻に端を発した、世界情勢の変化が影響しているものと考えられます」
▽要衝セヴェロドネツクの最前線6月8日(AP)
今春、選挙ドットコムとJX通信社が行った共同世論調査で、興味深い集計結果が出た。夏の参院選で重視する政策に「外交・安全保障」と答える割合が急増。電話調査では3位に食い込んだ。
調査は戦争勃発から1ヵ月に満たない頃で、報道量も圧倒的だった。戦況が膠着状態に陥る中、国民の関心も低下すると見られたが、逆だった。
▽3月16日結果公表の電話・ネット調査(選挙ドットコム)
地方紙は小規模ながらも活発に参院選の争点に関するアンケート調査を行なっている。最新と思われる神奈川新聞の調査でも「外交・安全保障」は感染症対策を大きく上回る3位に付けた。
更に調べを進めると、5月末集計の中日新聞では2位。そして6月5日発表の神戸新聞では堂々の首位をマークした。選挙で国防・安保問題は争点にならないという定説を覆す異例の事態である。
▽小サンプルながら戦後初の結果と思われる(神戸新聞)
「今回のウクライナ戦争を見て、多くの日本人が初めて『被害者になるかもしれない』と思うようになったのではないだろうか」(『九条という病』38頁)
西村幸祐さんは新著の第1章にそう記す。私たち日本人が「戦後初めて安全保障に関心を持った」との指摘は、最新の世論調査でも裏付けられた。
【反日陣営の争点捏造が始まる】
「夏の参議院選挙の最大の争点は物価高対策だ」
立憲共産党“副代表”の泉健太は6月上旬、そう決め付けて「岸田インフレ」といったレッテル貼りで参院選に臨む姿勢を見せた。物価安を目指すだけに安っぽいスローガンだ。
支持母体の反日メディアが売国野党の選挙スローガンに相乗りすることは確実。報道番組の街頭インタビューを中心に「物価高に悲鳴」的な偏向編集が行われ、印象操作が続く。
▽候補者調整する立共のツートップ3月18日(時事)
インフレ抑制策については専門家に丸投げするが、金利引き上げなど即効性のある政策は全て毒注射。補助金バラ撒きも次世代にツケを回し、電気料金格安化の原発フル稼働は野党には無理な注文だ。
一方、自民党は6月16日発表の参院選公約でトップに「外交・安全保障」を掲げる。国政選挙の定石から逸れる決断にも見えるが、世論調査の傾向を見る限り、冒険も奇策でもない。
▽自民党参院選公約集より(現代ビジネス)
各種の討論会でも総理総裁、幹事長、候補者は臆せずに国防政策に踏み込んで強く主張すべきだ。安全保障問題は最重要テーマであると同時に、売国野党のウィークポイントでもある。
「『日本国憲法』廃棄と自主憲法制定」「皇室の皇統男系男子を絶対護持」
「新党くにもり」は基本政策の上位に惚れ惚れするようなポリシーを掲げる。「参政党」候補者の演説を動画で拝聴すると、これがまた実に良く、激しく共感する。
▽和歌山市内の参院選啓発看板(毎日)
国防を前面に引き出した自民党の参院選公約は、保守系新党の登場が好ましい影響を与えているようにも見える。昔ながらの左右で判断する際、中心軸が少し動くポールシフト理論だ。
そうは言っても筆者の参院比例区投票先は、佐藤正久元外務副大臣と宇都隆史前外務副大臣のローテーション制で今年は宇都議員。自衛隊出身議員の見識が切望される時世である。
▽ホンジュラス大統領就任式の宇都特派大使1月(外務省)
【唐突に終わった空想的平和論】
「覚書の底流はまさに日本国憲法の前文と同じだ」(前掲書62頁)
『九条という病』で西村幸祐さんは我が国とウクライナの類似点を挙る。’94年のブダペスト覚書でウクライナは、核放棄の見返りとして米英露3国から安全保障の約束を取り付けた。
「諸国民の公正と信義に信頼」したウクライナは裏切られ、戦場と化す。同覚書やミンスク合意の詳細な条文とは別に、溢れる戦争報道で日本国民も多くが開戦に至る状況を学び、危険な匂いを嗅ぎ取った。
▽東部戦線訪れるゼレンスキー大統領6月5日(ロイター)
「張りぼての秩序のなかに収められた経緯が、ウクライナと日本は相似系-国民の生存を他国に委ねる-ということだ」(同62頁)
ウクライナ戦争は遠い欧州からの砲声だったが、ロシアは隣国で伝統的な北方の脅威である。参院選を睨んだ帯広市の集会で麻生副総裁は6月4日、こう話した。
「ロシアの西隣がウクライナで、東隣が北海道だ。ロシアは西に行ったが、東に行かないと誰が保証できるのか」
▽帯広集会で話す麻生副総裁6月4日(十勝毎日)
相変わらず直球のキレは抜群だ。軍事大国の横暴は安保理の機能不全を浮き彫りにし、台湾危機も炙り出した。中東地域における近年の戦争とは全く異なった捉え方が広まっている。
売国野党は国民が抱く危機感を汲み取れず、今も「些細な物価高に喘ぐ貧民」と見下しているのではないか。空想的な平和論を弄ぶ時代は唐突に終わりを告げたのだ。
▽ウ支援物資を欧州に運ぶ空自輸送機3月8日(産経)
先述の争点世論調査でも「憲法」が上位にランクインし、「ジェンダー」とかパヨク臭が濃いテーマを一蹴。自民党の公約7本柱に「憲法改正」が含まれたのも当然の成り行きである。
「他国への侵略が出来ないようにする為の条項が憲法9条なのです」
開戦直後、代々木の序列2位が本音を漏らしたことは記憶に新しい。カルト勢が唱える「9条があるから侵略されない」という教義を革命的に覆す新解釈で、「外国の為の9条」であることを自白した。
▽特亜3国の国益に資する憲法9条(file)
自民改憲案の9条修正は建軍の本義を回復するものとは程遠い。筆者の持論は治安出動、クーデター方式による占領憲法の破棄。政官財・メディアに巣食う反日勢力の一網打尽を望む。
理想と夢想は傍に置き、自民党が参院選で「早期の改正」を打ち出す方針に異議はない。立憲共産党もMPD市民の党も議論の土台に登らないだろうが、逃げの姿勢を有権者に見せ付けることが肝要である。
▽廃墟と化したドンバス地方の街5月25日(AFP)
ウクライナ戦争が継続する中での参院選。改憲論議の絶好のチャンスが到来したのでない。いま憲法問題を政治のテーマにせず、何を討論するのか。政治家が政治に向き合う時が来たのだ。
〆
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エントリで引用させて頂いた西村さんの新刊『九条という病』(ワニブックスPLUS新書)が発売になりした。「改憲派vs護憲派」という二項対立の構図に、議論を封じる根源的な問題があるとの指摘は示唆に富んでいて、追及すべき大きなテーマと思えます。

参照:
□防衛省HP6月11日『日米豪防衛相会談共同声明(仮訳)』
□首相官邸HP6月10日『シャングリラ・ダイアローグ(アジア安全保障会議)における岸田総理基調講演』
参考記事:
□神戸新聞6月5日『今夏の参院選、安全保障や経済に関心 ウクライナ情勢が背景、日本への影響を懸念する声多く』
□中日新聞5月31日『【参院選の争点は】「物価高対策」「国防」問う声多く』
□神奈川新聞6月12日『参院選アンケート あなたの争点は? 比例どこへ投じる?』
□現代ビジネス6月14日『【独自】参院選の「自民党公約」22ページを発表前に先出し!強気で憲法改正も打ち出す岸田は大勝するか』
□産経新聞6月9日『<独自>自民の参院選公約全容判明 憲法改正「早期に実現」』
□読売新聞2月25日『志位委員長「他国へ侵略できないようにするのが9条」…「外国攻めてきたらどうするの」と批判』
□産経新聞6月12日『岸防衛相「台湾海峡の平和と安定、極めて重要」 一方的な現状変更の自制を要求、日中防衛相会談』
□産経新聞5月19日『中国空母「遼寧」発着艦が300回超に 官房長官「警戒監視に万全期す」』
□時事通信5月19日『中国空母活動、常態化を警戒 台湾有事想定訓練か―日米試す動きも・防衛省』
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